週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 08月 19日号
高級ブティックホテル HOTEL 32 がモンテカルロにオープン
 先週8月10日、モンテカルロホテルの最上階(32階)に、Hotel-in-Hotel 型のブティックホテル HOTEL 32 がオープンした。
 ホテルという言葉がたくさん出てきて何のことだかわかりにくいので順を追って説明すると、「モンテカルロホテル」は日本人観光客もよく利用する3000部屋規模の既存ホテルの名称で、「Hotel-in-Hotel」は、あるホテルの中に存在する別ブランドのホテルのこと、そして 「ブティックホテル」は小規模なホテル、「HOTEL 32」は今回開業したホテルの名称だ。

 Hotel-in-Hotel は、マンダレイベイホテル内のフォーシーズンズホテルや、MGMグランドホテル内のスカイロフトなどがあるので初めての存在ではないが、ブティックホテルは、巨大ホテルが多いラスベガスのストリップ地区では珍しい。
 ちなみに今回の HOTEL 32 の企画運営は、モンテカルロホテルと同じ MGM Mirage 社で、同社はスカイロフトも運営しているが、スカイロフトにおいては、その規模がやや大きいためか、ブティックホテルという言葉をあまり積極的に使ってこなかった。
 英語におけるこの言葉の響きには、「小さなホテル」はもちろんだが、「他とはどこかちがう小洒落たホテル」といったようなニュアンスもあり、同社はこのホテルをまさにそのような方向でマーケティングしたいようだ。そのことはオープニングセレモニーの際の社長ニコデマス氏(写真右上) のスピーチにも現れていて、「小規模だからこそできる独自のサービスで新たな顧客層を開拓したい」 としている。ちなみに客室数は50。

 「わざわい転じて福となす」 ということわざがあるが、じつはこのホテル、昨年1月25日の火事(バックナンバー576号で既報)がなかったら誕生していなかっただろう。(火災直後の写真
 屋上で行われていた溶接作業のミスが原因で出火したその火災において、人的被害こそほとんどなかったものの、消火活動により上層階が水びたしになり、いくつかのフロアが使用不能となった。
 その修復過程において企画されたのがこの HOTEL 32 というわけだが、今は世界的な大不況。時期が時期だけに、はたして福となるのか。ちなみにこの企画のために2000万ドルを投じているというので、失敗したらそれこそ二重の災いだ。

 このホテルの特徴は、豪華な客室というハード的な部分もさることながら、やはりなんといってもマンツーマンの手厚いサービスだろう。
 最もわかりやすいのがストレッチリムジンによる送迎で、予約時にフライトの情報を伝えておけば、ラスベガス国際空港まで迎えに来てくれる。なお、それは宿泊料金に含まれているので送迎料というものはないが、最低でも30ドル程度の運転手へのチップが必要とのこと。
 ホテルに到着すると、玄関で待機している担当スタッフが笑顔で迎えてくれる。もちろんスーツケースなどを運んでくれるスタッフも待機しており、そのまま専用エレベーターへ直行。「ロビーで並ぶ必要はありません」 の宣伝文句に偽りはない。
 エレベーター内で楽しく歓談していると、すぐに32階に到着。降りたところにフロントロビーがあると思いきや、そこには小洒落たバーラウンジ (写真右下) があるだけ。チェックインはどこでするのか。
 じつはこのホテル、チェックインというものが存在しない。厳密にいえば、チェックインは個々の客室内で行う。つまり、客がリムジンで空港からホテルに向かっている間に、その担当者がルームキーなどをあらかじめ用意しているので、32階へ上がったらそのまま客室へ直行し、その場で簡単な書類にサインしてそれで終わりだ。

 あとはそのスタッフが客室内をていねいに案内してくれる。これを 「不要だ」 と、むげに断ってはいけない。そもそも左の写真のようなバラの花びらが浮いたジャクージ風呂の扱い方や、シアタースタイルのオーディオビジュアルの操作方法などは説明が必要だろう。また、固さや大きさがさまざまな12種類の枕の中から好きなものを選べる話など、聞かなければ損だ(枕リスト)。さらに、グレードの高い部屋の場合、シャワールームにはさまざまな仕掛けがあり、その天井の照明の色を変える方法や、そこから落ちてくるスチームやシャワー(右下の写真はその天井の様子) の操作方法などは聞かなければわからないはずだ。
 ちなみにその担当者は滞在期間中、あなたのバトラーでありコンシアージとなる。毎日顔を合わせる可能性があるので、楽しい滞在にしたければ仲良くしておくべきだろう。したがって、室内を親切に案内してくれたらそれをありがたく受け入れる。それがこの種の高級ホテルでの流儀だ。
 流儀といえばチップも必要だ。ひと通りの説明が終わったら笑顔でチップを渡したい。相場などはあってないようなもので、20ドル程度で十分という人もいれば、50ドル以上渡す人もいる。気持ちの問題なので身分相応でいいが、「この種のホテルに泊まる客」 というだけでそれなりの身分だと思われてしまいがちで、5ドル、10ドルというわけにはいかないかもしれない。

 さて、その身分の高い人が泊まるこのホテルの宿泊料金はどれほどか。
 これが思いのほか、それほど高くない。大不況の影響で需要が低迷しているため止むを得ない料金設定とのことだが、一番小さな Studio と呼ばれる部屋 (写真右) なら250ドル前後で泊まれる。ただしこの部屋は広さ的にも内容的にも他のホテル、たとえばベラージオのレギュラールームなどと大差ないのであまり大きな期待は禁物だ。それでも送迎リムジンやマンツーマンのバトラーサービスなどホテル側のコストを考えるとかなり安いといってよいのではないか。
 なお、この Studio には、この写真のようにベッドが二つの部屋 (2 Queen Beds) と一つの部屋 (1 King Bed) があるので予約時に指定する必要がある。

 部屋のタイプは5種類あり、Studio の次に大きいのが Suite と呼ばれる部屋で400ドル前後。
 広さは Studio の1.7倍ほどありかなり大きい印象を受けるが、ベッドルームとリビングルームが完全に分かれているわけではなく、正式なスイート形式にはなっていない。俗にいうところのミニスイートもしくはジュニアスイートで、これはパラッツォやアンコールのレギュラールームと似たようなスタイルということになる。なお、ベッドは一つだけなので、カップル以外は利用しにくい。

 その次に大きいのが Loft と呼ばれるタイプの部屋で、1200平方フィートというからとてつもなく広い。メートル法に換算すると約110平方メートル。
 リビングルーム(写真右) とベッドルームは完全に分かれており、その広さも半端ではない。
 このグレードの部屋からシャワールームがいきなりゴージャスになり、また洗面台の鏡の中央部分にテレビが埋め込まれているなど、すべてにおいて別次元に突入する。宿泊料金は600ドルから。

 その次が 1 Bed Room Penthouse。ベッドルームとリビングルームが完全に分かれていることはいうまでもなく、さらに簡易キッチン、ビリヤードルーム (写真右)、本格的なオーディオビジュアルなどがあり、広さは約150平方メートル。
 バスルームは絶句するほどの広さで、バスダブはダブル構造であふれさせることができるタイプ。そこにバラの花びらを浮かべると このようになり(←クリック)、ここに飛び込むとバラは外側に散り落ちていく。宿泊料金は絶句するほどでもない800ドルから。

 最後は 2 Bed Room Penthouse。つまり、前述の部屋にさらにベッドルームが1つ加わり、2組のカップルが同時に宿泊可能。もちろんビリヤードなどすべて完備。ラスベガスでわざわざやる必要があるのかどうか理解に苦しむが、任天堂の Wii もある。健康関連のソフトなどを毎日欠かさずやっている人などへの配慮ということか。
 広さは約185平方メートル。右の写真はリビングルーム。宿泊料金は1400ドルから。

 反対意見もありそうだが、どうせこのホテルに泊まるなら、Loft 以上の部屋がおすすめだ。Studio や Suite では、普通のホテルとほとんど変わらず、なんら驚きがないばかりか、バトラーを必要とするような部屋ではないのに彼がいること自体、それがかえってわずらわしく感じたりする可能性がある。さらに、Studio や Suite はごく普通の部屋というだけでなく、わずか50部屋しかない小さなこのホテルのコミュニティー内において最低クラスの部屋なので、リッチな気分という意味では中途半端な不完全燃焼に終わりかねない。せっかくこのホテルに泊まって贅沢な気分を満喫できなければ意味がないだろう。

 なお上記の各料金には12%のホテル税が加算される。また季節、曜日、イベントの有無など、料金は需給バランスによって変動し得るものなので、あくまでも目安程度に考えていただきたい。
 またベッドにバラを並べたり浴槽にバラを浮かべたりするサービスは現在 Loft 以上の部屋で行われているが、その種のサービスは日々変わる可能性があるとのこと。
 オンライン予約は、日本語エクスペディアなどにリストされるまでにまだしばらく時間がかかるようなので、現在は www.hotel32lasvegas.com など英語サイトで予約するしかない。



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