週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 07月 15日号
世界最大の観覧車の建設計画、「5度目の正直」 で実現か
 世界的な不況で、倒産、閉鎖、建設中止など暗いニュースが相次ぐ中、実現が楽しみな新たな計画が浮上した。7月12日に地元有力紙ラスベガス・サンが、ハラズ社のプロジェクトとしてスクープ報道した大観覧車の建設計画だ。
 観覧車の計画はこれまでにもさまざまな会社から過去10年間で少なくとも4回発表され、それらすべてがことごとく頓挫しているので、地元でもこのニュースをにわかに信じる者は少なそうだが、今回ばかりは実現する可能性が今までより多少高いかもしれない。

 ハラズ社は全米各地にカジノを持つこの業界の最大手。もちろんラスベガスでもシーザーズパレス、パリス、バリーズ、フラミンゴ、インペリアルパレス、リオなど大型カジノホテルを多数所有し、MGMグループに次ぐ大きな勢力を誇っている。
 さっそく同社の広報部に問い合わせてみたところ、いつもとちがって歯切れが悪く、観覧車計画については詳しい情報を持ち合わせていない様子。
 ならば情報源のサン紙ということでこちらにもコンタクトしてみたが、担当記者以外は何も情報を持っていないとのこと。記者も不在。
 そのようなわけでラスベガス大全としてはまだ直接ニュースソースへの取材に成功していないが、今回のスクープ記事を書いたのは、サン紙の中でもとりわけ情報の正確さとカジノ業界との人脈の広さで定評のベンストン記者。

 ということでその記事をそのまま信用して引用すると、プロジェクトの概要は、フラミンゴとインペリアルパレスの間にある道路の再開発で、そこに飲食店街を造り、道路の終点付近 (ストリップ大通りから約300メートルほど奥まった場所) に巨大観覧車を造るというもの。
(右の写真の画面中央に小さく写っているタクシーが停車している道が再開発の対象となる道路。画面手前、左右に走る大きな道がストリップ大通り)
 さしずめ 「路地裏再開発」 といった感じのプロジェクトだが、なにやら観覧車のサイズが半端ではない。高さ600フィートという原文をそのままメートルに換算すると180m以上になるが、この数字がもし本当ならば文句なしの世界一で、ラスベガスの新名所になることはまちがいないだろう。
 ただ、予算や着工時期などが明らかにされていないので、どこまで信じてよいのか不明な点も少なくない。ちなみにその記事では、ハラズ社から得た情報として計画そのものをありのまま報じているだけで、実現性などに関しての言及はあまりなされていない。建設資金の調達がむずかしく、着工までにはまだしばらく時間を要するだろう、という程度の不確定要素は書かれているが、論調としては総じてポジティブだ。

 世界最大の観覧車の完成予想図 (ラスベガス・サン紙) ← クリック

 そうはいっても、現在の景気やハラズ社の経営状況を考えると、「計画倒れになるのでは」 と懐疑的に見る人も少なくないだろう。たしかに同社は巨額の借入金の利払いに追われており、財務状況は極めて厳しい。
 それでもなぜか今回ばかりは実現を予感させる何か特別なものを感じる。同社は今まで、「老朽化したインペリアルパレスを爆破解体して、そこに巨大ホテルを建てる」 といったたぐいの大風呂敷を広げるような巨大プロジェクトの話や噂があとを絶たなかったが、今回は、需給バランスを無視した新規ホテルの建設のおろかさに気付き、この厳しい現状を謙虚に受け止めながらのプロジェクト構想といった感じで、過去4回の観覧車プロジェクトよりは地に足が付いたまじめな計画発表という印象を受ける。(実際には世界同時不況が始まる前からこの構想を練っていたらしい)

 ちなみに同社は多額の資金を借り入れシーザーズパレスに新たな客室棟 Octavius Tower (約600部屋、写真右) を建設してしまったが、客室需要が低迷しているため、開業の無期延期を決めている。世界同時不況が始まる前の着工だったので、この新館の建設はやむを得ない部分もあるが、結果的には明らかな失敗だ。そんな厳しい状況下で練られた路地裏再開発だからこそ、信ぴょう性が高いようにも感じるが気のせいだろうか。

 いずれにせよ昨今の不景気や同社の財務状況を考えると、実際に着工されるとしても 2〜3年先の話になるだろう。それでも、もし完成したら、そのインパクトは計り知れない。
 ストリップ大通りから300mほど東側ということは、空港からタクシーなどで市内にアクセスする際、高層のホテル群よりも手前に見えることになり、視覚的な露出度は抜群だ。既存のエッフェル塔やストラトスフィアタワーも露出度は小さくないが、見た際の 「乗って見たい」 と感じるモチベーションは、乗り物として存在する観覧車のほうがはるかに大きいにちがいない。
 またその立地場所は、モノレールの駅 (写真右下) にも非常に近いため、利用者数の低迷に悩むモノレール運営会社にとっても影響は大きく、市内全体の人の流れに変化をもたらす可能性がある。

 そもそも過去に4回も観覧車の建設計画が浮上したということは、それだけ可能性を秘めた魅力的な施設といえる。巨大であればあるほど目立つわけだが、その露出度を集客のための宣伝広告費に換算すると、観覧車は非常に効率の良い投資物件なのかも知れない。
 そうだとすると、いずれどこかの会社が建設することはまちがいないところだが、その数は1機あれば十分で、2機は必要ない。つまり観覧車の建設は早い者勝ちということになる。そのような観点からも今回のプロジェクトの実現性は高いように思われる。1日も早い実現を祈りたい。
 ちなみに過去に頓挫した観覧車計画は、ラスベガス大全が把握しているだけでも4回あり、それらは古い順に以下の通り。

◎ 2000年11月、サハラホテルのローラーコースター "Speed The Ride" をクリエイトした地元のデベロッパー Outland Development 社が、南ストリップ地区に計画した高さ157m の観覧車 "Voyager"。

◎ 2003年12月、北ストリップ地区にあったウォーターテーマパーク Wet'n Wild のオーナー会社が、その跡地に計画したカジノホテルと一緒に建設することにした高さ600フィートの観覧車。

◎ 同じく2003年12月にリオオールスイートホテルが、同ホテルの屋外駐車場の脇に計画した高さ600フィートの観覧車。

◎ 2006年6月、当時のニューフロンティアホテルのオーナーが、Montreux という新設ホテルと一緒に計画したロンドンアイに匹敵する観覧車 "Las Vegas Eye"。



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