週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 05月 27日号
完成度が高い PEEPSHOW、今なら メルB も出演
 プラネットハリウッドホテルで先月から鳴り物入りで始まったバーレスクショー "PEEPSHOW" を観てきた。
 バーレスク(burlesque) とは、こっけいな芝居やパロディーのようなものを意味することもあるが、一般的にはお色気たっぷりの怪しげなアダルト向けの演芸や興行のことを指すことが多い。今回の PEEPSHOW もまさにそのたぐいのもので、18才未満不可のトップレスショーだ。
 この種のショーは、本来ラスベガスにおけるエンターテーメントの本流であり、かつてはたくさん存在していたが、最近はシルク・ドゥ・ソレイユに代表される万人受けするショーに市場を席巻されており、存在感を失いつつあった。

 そんな背景もあり、バーレスクショーの復活を切望する声は少なくなかったわけだが、このショーにはあのスパイスガールズのメルB (写真右) が登場するとあって、開幕前からいろいろ話題に上っていた。
 ちなみにメルBといえば、一昨年、エディ・マーフィーの子供を出産するなど、スパイスガールズのメンバーの中では、サッカーのベッカムの夫人ビクトリアベッカムと並びゴシップが絶えない話題の人物だ。
 その他にも約20人のトップレスダンサーに混じってケリーモナコ (写真右下) も登場する。彼女はアメリカの人気テレビドラマ 「ゼネラルホスピタル」 に出ている役者で、プレイボーイ誌の元人気プレイメイトでもある。
 なお、メルBもケリーモナコも短期契約による特別出演とのことで、いつまでも登場するわけではないので、彼女らを目的とするのであれば、早めに観ておいたほうがいいかもしれない。

 さてさっそく観ての感想だが、とにかく完成度が高いことに驚く。現在のようなハイテク装置がなかった過去の同種のショーとは比べるまでもないが、現存する数少ないアダルト系のショー、たとえばリビエラホテルの 「クレイジーガールズ」 や、ラクソーホテルの 「ファンタジー」 などと比較しても異次元の高いレベルにあるといってよいだろう。
 この種のショーは往々にして色気や美貌などダンサーそのものに頼る部分が多く、装置や演出にあまり金をかけない傾向にあったり、アイデアに乏しかったりするのが普通だが、このショーではまったくそのようなことはない。

 装置でまず驚くのが、床から天井まで細長く伸びた縦6メートル、横2メートルの超高精細の特大ディスプレーだ。それが左右に対になって登場する。
 ハイテク機器に詳しい者なら現場で見た瞬間、この装置がいかにすごいものであるかわかるはずだ。そこに高精細の機能をうまく生かしたカラフルなコンピューターグラフィックスを実にタイミングよく芸術的に描き出す。
 音楽はもちろん生バンドで、録音ではない。ちなみにそのバンドの奏者は全員女性で、舞台の最上部に設けられた空中に浮かぶような空間からセクシーな音を奏でてくれる。

 各シンガーの歌がうまいのも特徴だ。メルBは本職なのでいうまでもないが、男性シンガーも含めてみんな歌唱力がある。口パクでないのもすばらしい。
 バーレスクショーとしては異例のアクロバットやマジックなどがあるのもこのショーの特徴で、そのアクロバットはシルク・ドゥ・ソレイユに勝るとも劣らないレベルにある。セクシーさと力技の融合という意味ではシルクのズーマニティーに似ていなくもない。
 マジックは、セクシーなダンサーが一瞬にしてマッチョな男に入れ替わるというよくあるありふれたものだが、この種のショーでマジックを取り入れたこと自体、高く評価してよいのではないか。

 豊富なアイデアや演出の独創性という意味で忘れてはならないのが、ミルクの風呂だろう。(右の写真はミルクの風呂ではない)
 あまり詳しく明かしてしまうと観るときの楽しみが減ってしまうのでほどほどにしておくべきだが、広報資料などにもすでに公開されているのであえて書いてしまうと、ミルク状の液体が満たされた深いガラス製の浴槽に美人ダンサーが3人、ビキニ姿で入り、浴槽の中で水着を脱ぎ捨てる。水が透明ではないため観客から彼女たちの素肌は見えないが、音楽に合わせてときどき胸や尻をガラスに押し付ける。それがどのように見えるかはだいたい想像のとおりだが、これがこっけいで非常におもしろい。場内も爆笑に包まれる。

 こっけいといえばコミカルな演出は他にもあるが、言葉で表現する通常のコメディーショーなどとはちがい、どの演出も語学力に関係なく楽しめるところがいい。たとえば、会場から男性客をステージに上げ、ベッドに寝かせてセクシーな美女たちがその男のカラダをあれこれさわりながらピンクのペンキで塗ってしまう。
 「あの男は本当に観客だろうか? サクラかも?」 とだれもが思う場面だが、最後まで観客をだますようなことをしないのもこのショーのいいところで、その男はあとになって空中でアクロバットを演じ、サクラであったことを自ら演技で白状する。

 とにかく観る者を飽きさせない完成度の高いショーだが、だれがヒーローもしくはヒロインなのかというと、それはメルBでもケリーモナコでもなく、このバラエティーに富んだ演出をクリエイトしたディレクターのジェリーミッチェル氏だろう。(左写真の中央)
 彼はトニー賞を受賞したこともあり、ブロードウェイミュージカル 「ヘアスプレイ」 の振り付けも手がけた経歴を持つなど、近年この業界で頭角を現してきている。

 アダルトショー、トップレスショーと聞けば、なにやら陰湿でいやらしい感じがしないでもないが、このショーにはそのような要素はまったくなく、ユーモアあふれるたのしい内容に仕上がっており老若男女が楽しめる。(もちろん「若」は18才以上)
 そんな理由もあってか、観客の中にはカップルや女性だけのグループも目立ち、全体のほぼ半数は女性客だ。
 ということで、女性でもなんらためらうことなく鑑賞できるので、興味がある者はぜひ足を運んで見るとよいだろう。

 劇場の場所はプラネットハリウッドホテルのカジノフロアのひとつ上の階。公演日時は、水曜日を除く毎日 8:00pm で、木、金、土は 10:30pm の部もある。ただし、10:30pm の部は中止になることもあるので、そのつど現場で確認したほうがよい。
 料金は $65、$75、$100、$165。一番安い3階席以外はどこからでもステージがよく見えるので、席の位置にあまりこだわる必要はないだろう。
 チケットは劇場前のボックスオフィス以外にも、街中に点在している半額チケットショップでも買うことができるが、現時点では半額になるほど大きなディスカウントはされていない。



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