週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 05月 13日号
銀行団の全面サポートで 「シティーセンター」 実現濃厚に
 観光ガイドブックなどにはまだ詳しく紹介されていない大規模再開発 「シティーセンター」 (写真右、クリックで拡大)。
 これから初めてラスベガスを訪問する者にとっては興味の対象外というよりも名前すら知らない存在だろうが、その一方で、壮大な工事現場を実際に見ているリピーターにとっては大いなる関心事のようで、しばしば問い合わせが寄せられる。

 「あの工事は何?」、「完成はいつ?」、「どこの会社がやっているのか?」 といった単なる好奇心的な質問から、「倒産するのでは」、 「本当に完成するのか」 といった事情を知る者からの問い合わせも少なくない。
 彼らの多くは、完成したら行きつけのカジノを鞍替えしようと考えているハイローラー (高額の賭け金でプレーするカジノの上客。しばしば部屋代や食事代が無料になる) のようだが、日本の金融機関の関係者と思われる者からの問い合わせがあったのには驚いた。
 じつは過去半年間、この大規模プロジェクトは 「頓挫してしまうのではないか」 と心配され続けてきた。日系の某金融機関もこのプロジェクトに融資しているので、日本の経済界における関心も高いようだ。
 約70億ドルだった当初の総工費は、建設費や材料費などの高騰で今では90億ドル前後になっており、日本円で一兆円に迫る。民間企業のプロジェクトとしては米国史上最大とされ、2006年の着工以来、活況を呈するラスベガスのシンボル的存在として常に注目を浴びてきたが、昨今の世界同時不況で、完成が危ぶまれるという予期せぬ展開に。

 その民間企業とは、MGMグランド、ベラージオ、マンダレイベイなどラスベガスに大型カジノホテルを9つも持つ MGM Mirage 社と、ドバイの政府系企業 Dubai World 社。
 本来であれば経営がおかしくなるような企業ではないが、この未曾有の大不況でまさかの事態に陥ってしまった。コンドミニアム、つまり日本でいうところのマンションの極度の販売不振だ。
 シティーセンターはホテル、カジノ、ショッピングモールなど、さまざまな商業施設の複合体だが、その中核を成すのはコンドミニアム。1ユニット100万ドル以上もする高級コンドミニアムが数百も含まれる高層ビルを何棟も建てたわけだが、それがまったく売れない。
 本業である既存カジノの経営がどんなに順調でも、金融機関から借り入れた一兆円規模の建設資金やその金利の返済にはコンドミニアムの売上が不可欠だが、その目算が大きく狂った。さらに追い討ちをかけるように建設費の高騰で、シティーセンターを完成させるためには数億ドル規模の追加資金が必要になってしまった。

 そのような事情もあり、5月15日までに自力で巨額の資金を調達できなければ建設中断および倒産という緊急事態に追い込まれ、その結果、1年半前には 99ドルで取引されていた MGM社の株価は今年3月には1ドル台にまで急落。
 もはやこれでおしまいかという状況にまで追い込まれたが、4月30日、銀行団は倒産や建設中断は得策ではないと判断し、ついに追加融資を含めた救済策を発表。これによって当面の危機を回避することができ、建設中断の可能性もほぼなくなった。工事が順調に進めば年末ごろには部分開業できそうで、株価も現在は12ドル前後にまで回復している。ということで、完成自体はもう心配しなくてよいだろう。

 それでも巨額の借入金が残っていることに変わりはなく、それらの返済は避けて通れない。また、建設資金の追加融資を得ることに成功したことと、業績の回復は別問題で、売り上げなどが好転してきているわけではない。今後の景気も不透明なままだ。コンドミニアムの販売という大きな課題も残っている。
 そんな前途多難な状況でシティーセンターという巨大な施設をオープンさせることになるわけだが、一般観光客にとっての関心は、新しく誕生する施設の内容だろう。(右上の写真は、ボートを多数組み合わせたオブジェで、シティーセンターのほぼ中心部で設置作業が行われている)

 シティーセンター最大の施設はなんといっても4000室を誇る大型カジノホテル 「アリア」で、現時点での開業予定日は12月17日。その公式サイトではすでに宿泊予約の受付が始まっている。
 次に注目したいのがコンドミニアムの 「ヴィダラ」。もともとコンドホテル (オーナーが使用していないときはホテルとして貸し出すことも可能なコンドミニアム) になる予定だったが、販売が思うように進んでいないため、限りなくホテルに近い形での運用になるとの噂も。こちらの開業はアリアよりも早い10月1日だが、多少の遅れは想定しておいたほうがよいだろう。
 高級ホテルとして名高いマンダリンオリエンタルも入居が予定されている (写真左上)。外観はほぼ出来上がっているが、開業日などはまだ明らかにされていない。
 V字型に斜めに建てられた2棟の「ヴィア」は基本的にはコンドミニアムだが、建設が遅れていることもあり、すべてが未定だ。
 ストリップ側から見て一番右端の手前で建設が中断したままになっている 「ハーモンホテル」 は、強度不足につながりかねない施工ミスが発覚したため、検査や設計変更などが行われており、開業は一年以上先になる見通し。
 そのほかの詳しい情報は公式サイト www.citycenter.com などを参考にしていただきたい。なお、アリアとヴィダラの予約サイトへは、このページの下にある [全95ホテルの公式予約サイト一覧] からアクセス可能。



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