週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 02月 25日号
盛り上がりに欠けるWBC、日本のオッズは 3〜6倍
 今週は、ラスベガスでの注目度がいまひとつのワールドベースボールクラシック(WBC)と、カジノにおける日本チームの評価についてレポートしてみたい。
(右の写真はラスベガスヒルトンにおける 23日時点の配当倍率。この写真では日本は7倍になっているが、24日の時点では5倍に変わっている)

 WBCに対する日本とアメリカでの温度差はあまりにも大きい。日本では練習の様子までもが連日報道されているが、アメリカではこの話題がメディアで取り上げられることはほとんどない。開幕して試合が始まれば多少は報道されるはずだが (前回がそうだった)、少なくとも今の時点では鳴りをひそめている。といっても開幕は来週だ。この大会、言い出しっぺはアメリカだというのにどうなっているのか。

 まず選手自身に参加意欲が感じられない。彼らの 「職場」 はあくまでもレギュラーシーズンであり、活躍してもほとんど年俸に影響がないWBCには興味がないようだ。また、レギュラーシーズン直前のこの時期にケガでもしたら大変だ、という考えもあるのだろう。それは選手ばかりか、戦力確保が使命の監督やコーチにもあるようで、日本でもドラゴンズの落合監督などはその種のコメントを発している。それでも日本はメディアが盛り上げてくれるからいい。アメリカにはそれがない。

 選手も監督もメディアも及び腰では盛り上がるわけがないが、注目されないのにはもうひとつ別の理由がある。3月という時期が悪い。国民的イベント「マーチマッドネス」 (3月の狂乱) とぶつかるからだ。
 マーチマッドネスとは NCAAの大学バスケットボールのトーナメントのことで (今年の決勝は4月6日)、さしずめ日本の夏の高校野球といったところか。
 どれほどすごいイベントであるかはネットなどで調べればわかることだが、とにかく一般市民の関心度という意味では怪物的なイベントで、少なくとも野球のワールドシリーズ、テニスやゴルフの全米オープン、マスターズ、競馬のブリーダーズカップやダービー、カーレースのインディ500 など、アメリカを代表するそうそうたるビッグイベントと比較してもまったく遜色がないどころか、それらをはるかにしのぐ人気を誇っている。3月から4月にかけては、バスケットに興味がある人もない人も、老若男女が自分の出身校や故郷のチームを仕事そっちのけでテレビ観戦しながら応援するというわけだ。
 プロフットボールの決勝戦 「スーパーボウル」 も怪物イベントだが、1日で終わってしまう一試合だけの単発的なゲームのため、実生活の中における存在感や経済効果という意味ではマーチマッドネスのほうがはるかに大きい。経済効果といえば、職場で仕事をサボってネット中継や試合結果を見たりする者があとを絶たず、それによる経済的損失も毎年大きな話題となるところがおもしろい。

 そのようなわけで、WBCは時期的に話題の外に置かれやすい環境にあり、その部分は気の毒としか言いようがないが、それにしてもメディアや大リーグ機構の無関心ぶりはいかがなものか。
 「野球の中心地はわが国で、世界最高の舞台は大リーグ」、そう位置づけたいと同時に、「アメリカ以外にも野球を広めたい」、そんな思惑もあり、オリンピック野球の権威や求心力を弱め、それに代わる世界大会を作る目的で始めたのがWBCだ。もちろん大リーグ側の計算高いビジネスがその行動の根底にあることは言うまでもないが、とにかく現実は前述の通りで、新聞のスポーツ欄における野球の話題は人気チームの春季キャンプや有名選手の調整具合などばかりで、WBCの記事を目にすることはほとんどない。これでは積極的に盛り上げようとしている日本に対して失礼というもので、開幕まであと一週間、各メディアは真剣に報道し、なんとか盛り上げてもらいたいものである。

 さて、スポーツを賭けの対象とすることが合法的に認められているラスベガスのカジノにおけるWBCはどうか。結論から先に書くならば、ラスベガスの主要カジノホテルの半分以上は WBCに賭けられるようになっており、それぞれオッズ(配当倍率)を発表している。賭けの対象から外されていなかったという意味ではほっとしたが、案の定、マーチマッドネスの陰に隠れてしまい現場での注目度はサッパリだ。
 オッズが電光掲示板の隅っこに追いやられているだけでなく、WBCの不人気ぶりは数字にも表れている。下に示した一覧表の通り、オッズが各カジノでかなり異なっているのである。
 注目度が大きければ、多くの人が有利なカジノを探し求めて投票するため、結果的にどこのカジノも同じようなオッズに収束するものだが、実際にはそうなっていない。これは広範囲にまんべんなく大きな金が投じられていないことを物語っており、それはすなわち、「ここのカジノは日本チームの倍率がいい」 などとと言って、そこでわずかな数の日本のファンが日本チームに賭けるだけでも倍率が変わってしまう可能性を秘めていることになる。実は実際にそれが起こってしまった。
 23日の時点までラスベガスヒルトンは日本チームの優勝に7倍のオッズを付けていた。100ドル賭けて日本チームが優勝すると 700ドルの勝ちになり、賭け金も含めれば 800ドルが戻ってくる。これはおいしいと考え、現場の窓口で日本チームに投票しようとすると、なんと 「オッズは5倍になります」 と言われた。何千ドルも賭けようとしたわけではない。ごく普通の一般的な金額だ。ということは、ヒルトンにおけるWBC全体に投じられている金額が非常に少ないことを物語っているわけだが、連覇にかけて燃えている日本チーム、およびそれを応援している日本人にとってはなんとも寂しい限りだ。どうせ優勝を目指すなら、注目されているイベントのほうがうれしいというものだ。

 そんな感情論はともかく、せっかくラスベガスに滞在するので賭けに参加してみたいという人のために各ホテルでのオッズを調べてみた。24日時点の数値だが、今のヒルトンの例のようにこれら数値は今後変わる可能性があるので、電光掲示板に表示されていても、実際に投票する際には改めて窓口でそのつど確認するようにしたい。

HAR: Harrah's 系列 (Caesars Palace、Paris、Bally's、Flamingo、Harrah's、Rio など)
VEN: Venetian、 Palazzo
WYN: Wynn、 Encore
LVH: Las Vegas Hilton
STN: Station 系列 (Sunset、Texas、Palace、Green Valley、Boulder、Red Rock など)
PLM: Palms

↓ チーム      カジノ → HAR VEN WYN LVH STN PLM
 アメリカ 222.52.51.22
 ドミニカ 2.5221.81.01.5
 日本 465563
 キューバ 610610106
 ベネズエラ 881010815
 プエルトリコ 81018121518
 韓国 101412201820
 メキシコ 151820202520
 カナダ 1825304060100
 パナマ 202040503550
 台湾 25F-2025755050
 イタリア 50F-20100500100100
 オランダ 50F-20100200300150
 オーストラリア 50F-20125300200150
 中国 75F-20100200500150
 南アフリカ 100F-201501000500150
( F は Field、つまり 「その他おおぜい」 の意味で、個別のチームに賭けるのではなく、この6チームのどれかが優勝すれば的中になり、F-20 はそのオッズが20倍という意味)

 以上のように日本チームは現在3倍から6倍という評価を受けていることになる。前回の優勝チームとしてはずいぶん低い評価に驚きを禁じえないが、日本チームに賭けることを考えるとありがたいことだ。
 北京オリンピックでの活躍がそのまま期待できるのであれば、同じアジアの同胞として韓国の20倍はおもしろいかもしれない。中南米のチームは十分に優勝の可能性があるので賭けとしては無視できないが、実際に投票するとなると各ホテルでかなり異なっているので慎重に投票場所を選ぶようにしたい。優勝確率ゼロと思われる南アフリカなどは、オッズをどのように設定しようと実際に払い戻されることはほとんどないわけだが、ホテルによって10倍もの開きがあるのは、そのスポーツブックのサービス精神やポリシーが感じらるようで興味深い。
 この記事を読んだ読者の行動によって日本のオッズがどんどん悪くなってしまう可能性もあるので、賭けるならば早めの行動のほうがよいかもしれない。  


バックナンバーリストへもどる