週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 02月 18日号
2000円で泊まれるダウンタウンの3ホテル、激安競演!
 いま、ホテルが安い。異常なほど安い。100年に一度といわれるほどの大不況で消費マインドは冷え込むばかりだが、需要が減れば価格も下がるのが世の常で、旅行者にとっては 100年に一度の激安旅行のチャンスといえなくもない。
 プライドを捨てた高級ホテルが大幅なディスカウントを打ち出せば、中級ホテルはさらなる激安価格で対抗し、低級ホテルはタダ同然の料金をぶつけてくる。とにかくどのレベルのホテルに泊まっても十分すぎるほどの割安感を味わうことができるが、今は卒業旅行シーズンまっ盛りということもあり、低級ホテルに的を絞って話を進めてみたい。
(右上の写真はダウンタウンの電飾アーケード。クリックで拡大)

 貧しかった昔とちがい、「貧乏学生」、「貧乏旅行」 という言葉は死語になりつつあるようだが、今年は不景気の影響もあってか、その言葉がやけに身近に感じる。
 なぜなら、グランドキャニオンツアーの手配の際など、送迎バスを仕向ける関係で宿泊先を知らせてもらうことになるわけだが、ユースホステルや無名のモーテルが例年になく多いからだ。
 始めからユースホステルやモーテルのほうが安いと思い込んでいる者が多いようだが、今年に限って言えばそれは誤りだ。名の通ったカジノホテルのほうが安い場合が少なくない。(左上はビニオンズで、その写真内の下方に見える網目状のものが電飾アーケード)

 「泊まってもらえればカジノでお金を使ってもらえるので、とにかく部屋を埋めたい」、そんな理論が働いているのだろう。カジノを持たない宿泊施設では不可能なような激安料金がラスベガス中を飛び交っている。(右写真はプラザホテル)
 特にダウンタウン地区の値下げ競争は熾烈で、一泊20ドル台は当たり前、10ドル台も珍しくない。平均すると、コンベンションやスポーツイベントなど特需がある日を除けば平日は20ドルちょっと、日本円でほぼ2000円だ。世界広しといえども、先進国のきちんとしたホテルがそんな料金を出しているのはラスベガスぐらいではないか。
 もちろんこの数字は 「一人いくら」 ではなく 「一泊一部屋」 なので二人で利用すれば一人1000円ということになる。仮にユースホステルがその程度の値段を出してきたとしても、カジノホテルの場合は共同トイレや共同バスではなく、世界標準の施設が備わったきちんとしたホテルだ。どっちが得か比較するまでもないだろう。
 そこで今週は、学生旅行など価格重視派の人たちにとって大いに気になるそれらダウンタウン地区の激安カジノホテルを体験宿泊しながら再調査してきたので報告してみたい。ホテル選びの際の参考にしていただければ幸いだ。

 体験宿泊したのはプラザ、ビニオンズ、ベガスクラブの3ホテル。(ベガスクラブは、かつてラスベガスクラブと呼ばれていたが、現在はベガスクラブ。なお、ネオンサインなどはかつてのラスベガスクラブのままになっている部分もある)
 これらホテルを選んだ理由は、ダウンタウン地区を代表する老舗ホテルであり、なおかつ他のホテルに比べてコンスタントに激安価格を提示しているからだ。そして立地条件が抜群によいところも3ホテルに共通している点だ。(右写真はベガスクラブから見たプラザホテル。左端の網目状に見えるものが電飾アーケード)

 さてさっそく調査の結果だが、改めて料金を確認すると、3ホテルともほぼ同じで、平日はおおむね一泊一部屋 1800円から2000円 (日本語エクスペディア調べ)。
 場所も、3ホテルともに電飾アーケード 「フリーモントエクスペリエンス」 に面した絶好のロケーションで、利便性にほとんど差はない。日本人に人気のコンビニエンスストア ABC Stores (写真左) もすぐ目の前にあり、どこのホテルからも秒単位で行ける距離だ。
 カジノの雰囲気やレストランの顔ぶれなどは多少異なるが、3ホテルとも互いに非常に近く、宿泊場所に関係なくどこのカジノもレストランも徒歩で簡単に行くことができるので、それらをホテル選びの際の検討項目に加える必要はないだろう。結局、判断材料は客室内ということになりそうなので、それに絞って話を進めたい。

 客室内はどのホテルも老朽化は否めず、決してきれいとは言えない。また、グレードや格という意味でも似たり寄ったりだ。
 しかし、古めかしい家具や時代遅れのテレビ、そして壁に残されたキズや輝きを失ったドアノブなどには、半世紀に渡る歴史が染み付いており、それが各ホテルの個性のようにも見えてくる。
 そんなダウンタウンのホテルには、単純に割り切れない愛着のようなものも感じられ、どこのホテルがいいか悪いかは、好みの問題ということになってしまいがちだ。したがって、ここでは客室内の施設における物理的な違いだけを客観的に列挙するものとし、あとは各自で判断していただきたい。

 ベガスクラブのバスルームにはヘアドライヤーが用意されているが、プラザとビニオンズにはない。
 一方、アイスマシン(無料の製氷機) はプラザとビニオンズには各階の廊下にあるが、ベガスクラブでは4階と7階にしかない。なおベガスクラブでもノースタワー(北館) の場合は、各フロアにアイスマシンがある (本館サウスタワーよりもノースタワーのほうが宿泊料金が1割ほど高く設定されることが多い)。
 客室内でのインターネット接続に関しては、プラザとベガスクラブでは無線接続が可能だが (1時間$6.99、24時間$11.99)、ビニオンズでは無線も有線もない (もちろん電話機の側面にあるジャックに電話線をつないでのモデム接続は可能)。なお、ビニオンズでも、近隣のホテル(ゴールデンナゲットやフォークイーンズ) の電波をわずかに拾うことがあるが、不安定なので利用できるレベルのものとは考えないほうがいい。
 ドアのロックに関してはビニオンズだけが通常のドアロック以外にドアチエーン(実際にはチエーンではなく金属製の棒状のモノ)もあるので、一人旅の女性などにとっては安心だろう。
 テレビは3ホテルともに LCDやプラズマなどの薄型ではなくいかにも古めかしいブラウン管タイプのもので似たり寄ったりだが、テレビのチャンネルの選択肢だけはプラザが飛びぬけて多く (約70局)、ビニオンズとベガスクラブは地上波の基本チャンネルとそれ以外の数局しか受信できない。
 一方、冷暖房の空調設備はビニオンズだけが集中管理方式であるのに対して、プラザとベガスクラブは個々の客室内(窓際)にエアコン本体が設置されている古いタイプなので、人によってはやや騒音が気になるかもしれない。
 同じだと思われがちなベッドのサイズにも違いが見られた。3ホテルともクイーンルーム(日本でいうところのツイン) をチェックしたが、ビニオンズのベッドの横幅は135cm であるのに対して、プラザとベガスクラブはそれぞれ150cm、155cm とかなり大きい。ちなみに縦のサイズ (身長方向) はどのホテルも同じ200cm。(右写真はベガスクラブの客室内)
 一方、ちがっているのが当たり前と思われがちなシャンプーやコンディショナーなどの浴室消耗備品 (写真右下) は意外にも3ホテルすべてまったく同じだ。ちなみにプラザとベガスクラブは同一の会社による運営。
 客室内金庫は3ホテルともにない。したがって貴重品はフロントロビーに出向いてセーフティーボックスに預ける(無料) ことになる。
 あとうれしいことに、ビニオンズにはコーヒーメーカーと3杯分のコーヒーセットが置かれている (無料)。日本のホテルやアメリカのモーテルなどではよくあるサービスだが、ラスベガスのホテルでは珍しい。
 なおこれは客室内のことではないが、レストランやカジノとちがい、宿泊するからには避けて通れないフロントロビーについてふれておきたい。ベガスクラブのそれは窓口がたったの2つしかないため、チェックインの際にかなり待たされる可能性がある。ちなみにビニオンズもプラザも窓口は5つほどあるが、その数だけスタッフが必ずいるとは限らないので安心はできない。

 以上のように格も料金もロケーションもほとんど同じ3ホテルだが、細かい部分では微妙な違いが見られる。自分の用途に最も合ったホテルを慎重に選べば、2000円でも十分に満足できる快適なダウンタウンライフを楽しめることだろう。どのホテルにすべきかなかなか決められない場合は、それぞれのホテルに一泊ずつ泊まってみるという方法もある。ストリップ地区の大型ホテルとちがい、この3つのホテルは互いに徒歩1分圏内にあるためホテル間の移動はまったく苦にならないはずだ。


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