週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2009年 01月 14日号
ラスベガスで最もクールな酒場 「minus 5° ICE LOUNGE」
 昨秋、マンダレイベイホテルに、ラスベガスで最もクールな酒場とされる minus 5° ICE LOUNGE がオープンし、そして先月末、それに併設される施設として minus 5° LODGE も開業したので紹介してみたい。(右の写真で実際に見えている部分は LODGE のエリアで、ICE LOUNGE はこの写真の右奥の別室にある)
 この店の大部分を占める LODGE は、いわゆる観光地などにあるロッジのイメージ、つまりインテリアが木目調の山小屋風の雰囲気になっているというだけで、基本的にはただの酒場。したがってその LODGE の説明は割愛することとし、今回紹介するのはあくまでも ICE LOUNGE のほう。

 ではその minus 5° ICE LOUNGE とは何か。「名は体を表す」 とはよく言ったもので、この店の実態はまさにその名前の通り。つまり店内の気温が摂氏マイナス5度で、ほとんどすべてが氷で出来ているラウンジだ。
 カウンターもイスもテーブルもすべて氷。彫刻などの装飾品やカクテルグラスなどは言うにおよばず、壁もシャンデリアも氷だ。(床は滑ると危険なので氷ではない)

 この店のルーツはニュージーランド。店舗数はまだ少なく、ニュージーランドと、となりのオーストラリア、そしてなぜかポルトガルにあるだけで、北米はこのラスベガス店が初めて。全世界でまだ6店目だ。
 ニュージーランドというお国柄か、エコロジー的なコンセプトを大切にしており、テーマは北極。南極に近いこの国がなにゆえ北極なのか理解に苦しむが、19世紀のニュージーランドの冒険家バックロックウェル氏の北極探検にちなんでいるという。
 したがって、このラウンジは北極をイメージしているとのことだが、氷の "原産地" はなぜか北極ではなくカナダで (カナダの北極圏ということか)、カクテルグラスを除くすべての氷はカナダの氷河から持ってきているというから驚きだ。そして口に触れるカクテルグラスだけはニュージーランドから運んできた地下水を凍らせて作っているとのこと。
 水や氷のような重いものの長距離輸送は、費用がかさむばかりかエコロジーにも反しているので、カナダ産もニュージーランド産もどこまで本当かよくわからないが、まぁそのへんのことは追求しないことにして、ここはひとつこの特殊な環境での酒を素直に楽しみたい。(右下の写真がピンクなのは店内の照明がさまざまな色に切り替わるため)

 この店を楽しむためには、環境が特殊であるがゆえに少々変則的なルールや手順があり、それらを事前に学んでおく必要がある。
 まず最初に入店に関するルール。ニュージーランドやオーストラリアなどラスベガス店以外では子供も入店できるようだが、ここでは21才未満の入店は不可。逆に、ラスベガス店以外では、寒すぎて長時間の滞在は体によくないとのことで 「30分ルール」 (30分が経過したら店の外に出なければならない) があるが、ここではよほどの混雑時以外は何時間でも連続滞在が可能。といっても、この寒い環境に1時間以上いる者はまずいないだろう。
 次に支払いだが、これも変則的で、入口の前にあるレジでクレジットカードを預けなければならない。なにやら楽しくないルールだが、そのクレジットカードと引き換えに、首にぶら下げる番号札をもらい、店内ではその番号札でドリンク類の購入を管理し、店を出る際に精算しクレジットカードを返却してもらう。

 入店料は30ドル (地元民割引があり、ネバダ州の運転免許証を提示すると20ドルになる)。
 レジを通り過ぎるとロッカーがあり、不要な荷物などはそこに収納する。同時にそこで、薄着の者やサンダルの者はコートやブーツを借りることになるが (レンタル料は無料)、ゴージャスな白い毛皮のコート (写真右) を希望する場合は別料金になり、そのレンタル料は25ドル。
 次に、非常に薄い透明の使い捨て手袋を渡されるが、それは不特定多数の人が利用する厚手の手袋を使う際の衛生上の目的。ちなみにコートが不要の人でも手袋は全員が必要になる。なぜなら素手ではカクテルグラスが氷で出来ているため冷たいばかりか、すべって持てないからだ。
 最後のステップでは、ビデオもしくは現場スタッフによる注意事項の説明がある。知らなくてもいい常識的なことばかりだが、ひとつだけ重要なルールがある。それはグラスを持つ際は必ず両手で持たなければならない、ということ (写真右)。片手ではすべってグラスを落としてしまうからだ。グラスを床に落として割ったり、テーブルに飲み物をこぼしたりすると、気温が氷点下5度のためアルコール度が薄い液体の場合は拭き取る前に凍り付き、せっかくの美しい氷のテーブルが醜いものになってしまいかねない。

 ちなみに店内に飾ってある氷の彫刻などはもちろんのこと、テーブルやイスなども含めてすべて約1ヶ月ごとに取り替えているという。逆に言うと、使える限りは1ヶ月は取り替えないので、汚したり壊したりしないよう、大切に使うようにしたい。
 もっとも、どんなに大切に使っても、また気温が氷点下のため溶けることがなくても、氷は昇華現象で徐々に消えていってしまうので、あまり長期の利用を真剣に考える必要はないかもしれない。(右上の写真のエルビスプレスリーもかなり昇華している)

 ドリンク1杯までは入店料に含まれているので無料だが、2杯目以降は有料で一般的なカクテルは10ドル。なお、スポンサー(右写真のフィンランディアウォッカ)の関係で、カクテル類は原則としてすべてウォッカをベースにしたものばかりだが、例外としてテキーラベースのマルガリータもある。
 ビールは凍ってしまい保管不能とのことで(ちなみにラウンジ内に冷蔵庫はない)、ラスベガス店以外ではサーブしていないようだが、ここでは隣接する常温の酒場 LODGE の冷蔵庫から持って来てもらえるようになっており、その値段は6ドル。

 店内はかなり狭い。幅は狭い部分で約3メートル、長い部分でも5メートルあるかないか、長さは約15メートル。30人もいたら息苦しさを感じるような空間なので、ゆっくりカクテルを楽しみたい場合は、比較的すいている早い時間帯に入店するようにしたい。昼からオープンしており、営業時間は正午から午前3時まで。(LODGE は2時間早くオープン)。  なお、ときどき専属カメラマンが出没して写真を撮影してくれるが、その料金は3枚セットで25ドル。
 店を出る際は、併設されているギフトショップ側に出て、そこのレジで精算することになるが、レストランなどと同様、署名するクレジットカードの伝票にチップの欄が用意されており、そこにチップの額を書き込むようになっているばかりか、ご丁寧にも 15%だといくら、18%だといくらといったように数字が書かれている。このパーセンテージはニュージーランドの習慣を踏襲していないのが残念だ。(ニュージーランドにはほとんどチップの習慣がないか、あったとしてもほんの数パーセント)

 これだけ景気が冷え切っているご時勢にわざわざ体を冷やしにいく必要もないが、興味がある者は行ってみるのもよいだろう。冬の今の時期は、まだ週末以外はすいているが、猛暑の夏にはかなり人気が出そうな予感がしないでもない。
 場所はマンダレイベイホテルのカジノフロアからショッピングモールに通じる通路に入ってすぐの右側。


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