週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 12月 31日号
10%広くて 20%高いアンコールの客室は赤くなかった!
 クリスマス直前の12月22日、ウィンラスベガスの新館 「アンコール」 がオープンした。
 本館が2716部屋、新館が2034部屋、サイズこそやや異なるものの、外観は右の写真の通り、瓜二つだ。
 もちろん両ホテルは地上階部分でつながっており、4750部屋のひとつの巨大ホテルとして機能するように設計されている。
(右上の写真内の右側の建物がウィン、左側がアンコール。クリックで拡大)

 ここまで似ていると、すでに本館を知っている者にとっては、見に行く楽しみも半減してしまいそうだが、ホテル側いわく、アンコールは単なる本館のコピーではないらしい。明らかにアップグレードされたゴージャス版とのことで、宿泊料金にも差が付けられている (20%ほど高い)。
 また、ただ単にゴージャスな客室を増築したということではなく、アンコールは独立したホテルとしてのアイデンティティーを持っており、チェックインカウンター(写真左上) もカジノ(同、右下)もウィンのものとは別に独自のものがちゃんと用意されている。

 そしてその独自の部分は色も独自で、インテリアカラーの基調はなんとも珍しい驚きの赤。とにかくシャンデリアなども真っ赤で、これには賛否両論、いや賛よりも否が圧倒的に多そうだが、このカラーコーディネートはチャイニーズ系のギャンブラーが好む縁起のいい赤を意識してのことらしい。
 もちろん、「ゴージャスなもてなし」 を意味するレッドカーペット(red-carpet) という英単語もあるぐらいで、アメリカでも赤は高級な印象を与える色とも言えるが、日本人の色彩感覚では、ゴージャスなイメージにはほど遠いような気がするがいかがだろう。
 ブログや動画サイトなどですでにその様子が広く出回っているのか、早くもこちらに 「客室内も真っ赤なのか?」、「アンコールに泊まる価値はあるのか?」 といった問い合わせが寄せられている。ということで、さっそく室内の様子をチェックするためにアンコールに泊まってみた。

 結論から先に書くならば、客室内は赤ではない。赤い家具がある特殊な部屋もあるようだが、少なくとも一般の標準ルーム (現場では 「リゾートスイート」 と呼ばれている) は純白のベッドカバー、そして白に近い淡いベージュを基調としたカーペットや壁に、ところどころ家具などで黒に近い濃いブラウンなどをアクセントに入れたモダンな雰囲気にまとまっている。左上の写真で見ると、ベッドのうしろの壁の赤が気になるが、照明やカメラの関係でそのように見えるだけで、実際にはそれほど赤の存在を意識させられるようなきつい色ではない。そのようなわけで、心配された赤については完全に忘れてよいだろう。

 広さはウィンの標準ルームよりも約10%広い700平方フィート(約65平方メートル)。これは日本の一般的なシティーホテルの標準ルームの倍以上のサイズで、広さ的にはたしかに 「ウィンのゴージャス版」 と言えなくもない。(写真の周辺部分が歪んでいるのは魚眼レンズで撮影したため)
 ただ、このアンコールの宣伝文句が 「全館スイートルーム」 となっており、それを鵜呑みにしてこのホテルに泊まると、「これがスイートか」 と少々不満を感じる可能性がある。なぜなら、ベッドルームとリビングルームの両方を備えているのが本来のスイートルームの定義とするならば、この部屋はどう考えてもスイートとは呼べないからだ。
 もっとも、最近はベッドルーム内に 「リビングルームらしきスペース」 があれば、ミニスイートもしくはジュニアスイートなどと呼んでもいい傾向にあり、そう考えると、広い意味でこのアンコールの部屋もスイートと呼べないこともないわけだが、すぐとなりにあるライバルホテル、パラッツォやベネシアンのように、せめて床に少しの段差をつけて 「リビングルームらしきスペース」を視覚的に区別するなど、なんらかの工夫をして欲しかった。
 ちなみに天井の高さは267cmで、これは一般のホテルよりも約15cm高い。入口のドアから窓までの奥行きは11m 70cm、部屋の横幅の最大長は5m 17cm、窓ガラスのサイズは幅186cm、高さ243cm のものが3枚で、ほぼ床から天井まですべてガラスと考えてよい。

 部屋の装備としては、大型フラットパネルTV (写真左。ホテル側の広報資料では42インチとなっているが、実際にはさらに大きいシャープ製の46インチ液晶テレビ。日本語放送 "TV Japan" も受信可能)、ファックス、電話、無線LAN (接続料は24時間、$13.99)、有線LAN用のケーブル、iPod や MP3 の再生が可能な目覚まし時計付きAM-AFラジオ、リモコン式電動カーテン、アイロン、アイロン台、金庫、冷蔵庫などがあるが、コーヒーメーカーや湯沸しポットはない。また冷蔵庫は、すでに入っているドリンク類を取り出すと自動的に課金されるタイプのもので、自分で買ってきた飲み物を入れるようなスペースはほとんどない。
 ちなみに、一般のホテルでは各階の廊下などに存在しているドリンク類の自動販売機が、このホテルには存在していない。ただし製氷マシン(使用無料)は各階の廊下の一番端にある。

 バスルームは、シャワーブースとバスタブが独立しており、また洗面台もダブルシンクで、広さ的にも機能的にも申し分ない。
 ヘアドライヤーはもちろんのこと、照明付き化粧用拡大鏡、体重計(背面のスイッチで単位をポンドからキログラムに設定変更可能)、バスローブ、さらには19インチの薄型ディスプレイも洗面台脇の壁に取り付けられており、バスタブにつかりながらテレビを楽しめるようになっている。
 そのバスタブは最大長132cm、最大幅62cm、深さ45cm で、サイズ的には申しぶんないが、最高級ホテルを自称するわりにはバブルが出るジャクージタイプになっていないのが残念だ。
 特筆すべきは可動式シャワーヘッドがあるということ。日本のホテルでは当たり前だが、なぜかアメリカのホテルにおいてはシャワーヘッドは固定式が常識。しかしこのアンコールでは、固定式シャワーヘッド以外に、可動式も備わっている。なお、その可動式のヘッド部分は通常のシャワーとしての円形ではなく、棒状になっているため (写真左)、ビデとしての用途を意識して設置されているものと思われるが、一般のシャワーとしての利用にもなんら不便はない。

 バスルームの消耗備品、つまり日本語でいうところのアメニティーは、記載されている名称をそのまま列挙すると shampoo、conditioner、moisturizer、shower gel、bath soap, hand & face soap、dental wash で、これらはウィンとまったく同じ LATHER社製のBAMBU ブランド。
 そのほかシャワーキャップ、靴磨きセット、綿棒などもあるが、アメリカの他の一般的なホテルと同様、歯ブラシはない。

 とりあえずそんなところだが、結局ウィンとの差は、広さが1割ほど広いことと、可動式シャワーヘッド以外に特に大きなちがいはないと考えてよいのではないか。宿泊料金が約20%高く設定されていることを考えると、新しさにこだわる者以外は、少しでも安いウインで十分のような気がする。


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