週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 10月 29日号
スライダーが静かなブーム、12店味比べ徹底調査
 今ラスベガスで静かなブームとなっているのがスライダー。といっても松坂投手の球種のことではない。スライダーとは、小さなハンバーガーのことで、その語源はのどをスライド、つまりのどを簡単にすべるように落ちていくほどサイズが小さいということから、そのように呼ばれている。
(右写真はレストラン Cili のスライダー)

 ブームという言葉を使うと最近登場したかのようにも思えるが、スライダーの歴史は古い。80年ほど前にすでにハンバーガーチエーン店 White Castle がこの種のミニバーガーの販売を始めており、スライダーの名前自体はかなり一般的な存在だ。そもそもスーパーマーケットなどでは、外食でブームになる前から冷凍食品として広く市販されている。
 そんな長い歴史を持つスライダーがなぜ今レストランでブームなのか。おしゃれだから、かわいらしいから、カロリーが低そうだから、などいろいろ言われているが、本当の理由は定かではない。ただ、とにかくよく売れることだけはたしかなようで、ラスベガスのレストランの多くがこれをメニューに取り入れ始めている。
 もちろんまだメニューに載せていない店のほうが多数派なので、黙って店に入れば必ず遭遇できるというものではないが、どこのホテルにもスライダーを扱っている店は一軒ぐらいあるので、これを探し求めること自体、特にむずかしいことではない。

 ではどのような店に行けばこのスライダーに出会えるのか。残念ながら 「発見のための法則」 のようなものはなく、「嗅覚」に頼るしかないのが現状だ。 つまり、慣れてくれば、店の外観や雰囲気などでなんとなく 「この店にありそうだな」 と見分けがつくようになるが、その嗅覚を身につけるまでは、店頭に 掲示されているメニュー内をつぶさに探すしかない。
 あえて傾向やヒントを書くならば、超高級店でもなければ、極端に安い店でもなく、いま風を売りにしたおしゃれなカジュアル系の店で、なおかつフレンチとかイタリアンとかジャンルに強くこだわりを見せていない店、といったところか。また、新しい店か古い店かというと、新しい店に多い。もちろん例外があることはいうまでもない。
 なお、必ずしもメニュー内で単純に Slider と表記されているとは限らず、Kobe Slider など独特な名前が付けられていることもあるので注意が必要だ。また、品数が多い店でこのスライダーをメニュー内から探し出す際、店によっては「ハンバーガー」や「サンドイッチ」の項目ではなく「アペタイザー」(前菜) のところに記載されていることもあるので、それを知っておかないと見落とすことになりかねない。

 スライダー1オーダーに対するミニバーガーの数は3個が標準だが、2個の場合も4個の場合もある。また、ポテトなどがセットで付いてくる場合とそうでない場合があり、味付けも軽い塩味のみ、ケチャップ系、ソース系、マヨネーズ系など、特に決まりはない。レタス、トマト、オニオン、チーズ、ピクルスなどを使うか使わないかも店によってまちまちで、さらに3個それぞれを別の味付けにしている店も少なくない。

 直径5センチほどの小さな世界。そこにその店の個性と主張が凝縮され、食べる側の味覚と視覚を刺激しながら楽しい気分にさせてくれるスライダー。そこにはどことなく遊び心も感じられ、そんなユニークな特徴が、今のブームを支えているのかもしれない。
 以下は今回試食した12店でのスライダー。もちろんこれらがすべてというわけではなく、探せば他にもまだたくさんあるので、ぜひ自分の口に合った店を探してみるとよいだろう。ちなみに以下のリスト以外にも著名店としては MGMグランドの L'ATELIER de Joel Robuchon、べラージオの FIX、ラクソーの Company American Bistro などにも個性豊かなスライダーがある。
 なお、以下の写真は、かなり見てくれの悪いものもあるが、あくまでも出されたままの状態で撮影。つまり、くずれていようが、ソースがこぼれていようが、撮影のために形を整えたりはしていない。クリックで拡大表示。

MONTE CARLO BREW PUB − モンテカルロホテル

Super Sliders  $10.95
3つの中身は同じ。パンはほんのり甘い柔らかいタイプ。トマトやレタスは入っていないので、基本的にはシンプルなチーズバーガーということになるが、それゆえ、肉が肉らしい味がして美味。写真の奥にある黒い器の中はマヨネーズで、好みに合わせて使用。
なお、この店は長らく地ビールパブとして知られていたが、現場でのビール製造は 2006年12月に打ち切られ、現在この店にあるビール製造施設は単なるインテリアデザインとなっている。

BURGER BAR − マンダレイベイホテル

Burger Bar Sliders  $9.95
3つの中身がそれぞれ異なる。向かって左が平地の牧場ではなく山で育てられた牛に、チーズ、トマト、サニーレタス、ピクルス。中央はバッファローの肉にトマト、サニーレタス、キャラメライズドオニオン。右はアンガス牛にベーコン、トマト、ほうれん草。3種類の味を楽しめるのはよいが、パンがややパサついていたのが残念。
店の雰囲気は、スポーツバータイプでカウンター席に大型ディスプレイが4台、ブース席にはそれぞれに16インチの個別ディスプレイ。インテリアはイングリッシュパブに似た雰囲気。

CILI − パリハイゴルフクラブ (マンダレイベイのすぐ南側)

Kobe Beef Sliders  $15.00
3つとも中身は同じだが、上の串に刺さっているものが異なるので、見た目がきれいで楽しい。中身の肉は炭火焼のこうばしい香りがする。パンは表面が固めのフランスパン風。メニュー内ではアペタイザーの部分に掲載されているが、3つ食べると普通のハンバーガーよりも量が多いので、オーダーしすぎに注意。
ゴルフ場のクラブハウス内ではあるが、ゴルファー以外の客がほとんど。インテリアもゴージャスで服装も総じてきちんとしている人が多い。ランチタイムのみで(11:30am〜3:00pm)、ディナータイムは営業していない。

BLT BURGER − ミラージホテル

Kobe Slider Trio  $18.00
3つの中身がそれぞれ異なる。向かって左はバーベキューソース味、中央はブルーチーズ味、右はケチャップ味。バンの硬さは標準タイプのゴマ付き。焼き方を指定できるので、焼き過ぎないように指定すれば、肉がジューシーでうまい。写真内の MR はミディアムレアの意味。店内が騒々しいのが難点。
場所は、かつてホワイトライオンが飼育&展示されていた場所で、ストリップからカジノへ通じる通路の途中。

TERRACE POINTE CAFE − ウインラスベガス

Kobe Beef Sliders  $15.00
3つとも同じ味。焼き方は聞かれない。バンは普通のバーガーに近く、ゴマ付きの柔らかいタイプ。たまねぎを刻んだカラメライズドオイオンの味付けが絶妙。レタスとトマトは好みに合わせて自分で入れる。ピクルスはない。付属のソースはバーベキュー味。普通のバーガーと同じと言ってしまえばそれまでだが、3人で分け合って食べれば、他のアイテムも楽しめるというのがスライダーのメリットか。 ただしこの店の場合、高級レストランのように事前にパンが出て来るので、それを想定してオーダーしないと食べきれなくなるので要注意。一般の屋内ダイニングルーム以外にプール施設に面したアウトドア席がある。

PLANET DAILIES − プラネットハリウッドホテル

Kobe Beef Sliders  $15.50
3つとも味は同じ。パンはやや甘みのある柔らかいタイプで、内側が軽く焼いてある。肉は炭火風のこうばしい香りがし、はさんであるチーズ、トマト、炒めた玉ねぎ、薄切りきゅうり(ズッキーニかも)とマッチして美味。味付けは非常に薄い塩味だけなので、付属の小ビンのケチャップか塩を好みに合わせて使用。
店内には大小さまざまな薄型テレビが約40台。直線的な木目を生かした壁材や細い直線的なパイプを組み合わせた照明、そしてテレビそのものがインテリアデザインとして構成され、店内の雰囲気はスポーツバーのような感じに仕上がっている。

DAL TORO − パラッツオホテル

Sliders Tricolore  $22.00
この店はかなり本格的なイタリアンレストラン。シェフもイタリア人。アメリカ料理の典型ともいえるハンバーガーもイタリア人の手にかかるとこのようになる。盛り付けもおしゃれで味も良い。左から野菜バーガー、チーズバーガー、トマトバーガー、肉はどれも同じ。バンはフランスパンなので固い。
屋内の通常のダイニングルームと、ストリップに面した屋外テラス席がある。となりはイタリアの高級スポーツカー 「ランボルギーニ」のディーラー。

BRAND − モンテカルロホテル

Veal Slider  $15.00
ここのスライダーはめずらしく2個(中身は同じ)。パンはカリッと焼いてあり、軽いサクサク感がある。肉は通常のハンバーガーとやや異なり、焼いたというよりも揚げた感じで、メンチカツに似たような感触。味付けは薄い塩味。付属のケチャップで自分なりに調整。チーズやレタスはないがキャラメライズドオニオンの味がなかなかよい。なお、写真では上部が見えないが、左側の銀色のカップに入っているフレンチフライがスパイシーでうまい。
音楽が騒々しいのが難点。ちなみに経営はナイトクラブの運営で定評のある Light Group 社。

PYRAMID CAFE − ラクソーホテル

Meatball Sliders  $9.99
3つではなくて4つ(すべて同じ味)。さらにそれに加えてフレンチフライも付いてくるので、かなりボリュームがある。パンは表面が焼いてあり、サクっとしている。中身は通常のハンバーガーとは大きく異なり、ミートボール。結局、味付けもハンバーガーとしては極めて異例のトマトソース&バジルのイタリアン風に仕上がっている。店のメニューにはスパゲティーミートボールもあるので、その具が流用されているものと思われる。ハンバーガーの味を期待してこれをオーダーすると、かなりガッカリする可能性あり。

SNACKS − ベラージオホテル

BBQ Pork Sliders  $9.25
3個とも同じ味。スライダーにしては珍しく、中身はかなり甘めのバーベキューソースで味付けされたポークで、パンは柔らかくしっとりしたゴマ付き。ここはファーストフード店なので、注文の際に、Here or to go? と聞かれる。また、このメニューをオーダーした場合、付け合わせとして、コールスローかポテトチップのどちらかを選ぶことができるが、コールスローは、このスライダー自体に挟み込まれているのでポテトチップを選んだほうがいいだろう(この写真の奥に写っているのがそのポテトチップ)。ファーストフード店なので、透明の使い捨てプラスティックのトレイに窮屈に盛り付けられてくる。見た感じは美しいとは言えず、スライダーとして重要な目で楽しむ要素がないのが残念。

YARD HOUSE − タウンスクエア

Classic Sliders  $9.95
大き目のスライダー4個にフレンチフライが山盛りでボリューム満点。スライダーそのものも通常のサイズより一回り大きい。パンは柔らかいタイプだが、取材時はやや乾燥気味でしっとり感が無かった。肉は油が乗ったひき肉という感じで、少々非健康的だがうまい。肉以外はチーズのみで野菜は入っていない。味付けはやや甘めのソース味。 細長いスライダー専用の皿ではないので盛り付けが美しくない。ピクルスも無造作についてくる。フレンチフライのレベルはかなり高く、ビールに合う。ちなみにこの店は200種類以上のブランドのビールをそろえるビールパブ&レストラン。

LE BURGER BRASSERIE − パリスホテル

Sliders  $9.99
この店には2種類のスライダーメニューがあり、これは通常のスライダー。通常と言ってもパンも肉も四角いのでかなり個性的 (4つとも中身は同じ)。4つが完全につながっているように見えるが、簡単に切り離せる。 この店はパリスホテル内にありフランスを意識しているので、バンは固めのフランスパン系かと思いきや、ふっくら柔らかいバン。表面は焼いていないが内側だけかすかに火であぶってある。肉の下には薄くサザンアイランドのドレッシングが敷かれており、手前に炒めた玉ねぎ、トマト、ムラサキオニオン、細切りレタス、ピクルスが別盛りになっている。見かけはかなり変則的だが、味的には肉もパンも非常によい。

LE BURGER BRASSERIE − パリスホテル

Slider Sampler  $11.99
見かけは上記のスライダーに似ているが、こちらは名称の Sampler からもわかる通り、4つの中身がそれぞれ異なる。写真に向かって左からチキン、サーモン、ターキー、ラムの4種類。パンは上記スライダーと同じ。 どれもほとんど味が付いていないので、テーブルにあるケチャップや塩コショウで好みの味に仕上げることになるが、マヨネーズ味を希望する場合はテーブルにないのでウェイトレスなどに頼む必要がある。



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