週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 10月 15日号
待望の WHOLE FOODS、ついにタウンスクエアにオープン
 「ホールフーズはどこにある?」、「どうやって行けばいい?」、「タウンスクエア店はいつオープンする?」
 ショッピング系の問い合わせで一番多いのは、なんといってもこのホールフーズ。日本人になぜそれほど人気があるのかよくわからない部分もあるが、10月8日、とにかくその待望のホールフーズがついにタウンスクエア内にオープンした。(写真右、クリックで拡大)

 ホールフーズとは、有機野菜など健康志向派向けの食材を中心に扱う全米規模の高級スーパーマーケット。そしてタウンスクエアとは、ホテル街から路線バスで簡単に行くことができるショッピング街。そして 「ついに」 というのには理由がある。じつは一年前に開業する予定だったが、採算性や独禁法の問題などで出店計画が中断し、一時期は完全白紙撤回もささやかれていたからだ。

 これまでは一般観光客にとって、この種の自然食品スーパーに限らず、普通のスーパーでさえもホテル街から簡単に行くことができなかったので、今回のホールフーズの開業は、レンタカーがなくてもスーパーに行けるようになったという意味で非常に意義深い。そんなホールフーズを知らない人のために、まずは簡単に店の紹介をしておこう。

 テキサス州オースチンに住む若者2人が 1978年に始めた自然食料品店 Safer Way (巨大スーパー Safeway に対抗してシャレで付けた名前) がホールフーズの前身で、その後 1980年から現在の名称で営業を開始した。
 当時から現在のような全米規模のチエーン店だったわけではなく、しばらくはテキサス州だけのローカルな存在だったが、90年代に入り全米各地に存在していた小さな有機食材店を次から次へと買収し、巨大化の道を歩むことに。
 特に 2007年に最大のライバルだった Wild Oats 社を買収したことは、ホールフーズ社にとっても業界にとっても非常に大きな出来事で、この買収によって同社は自然食料品業界における独占的な地位を築くことに成功した。ただ、独占禁止法に触れる可能性も指摘され、一部店舗の売却を求められるなど、いまだに当局との間でごたごたが続いている。今回オープンした店舗も独禁法と無関係ではなく、昨年買収したワイルドオーツの一店舗 (ラスベガスに隣接するヘンダーソン市にある店舗) を先月閉鎖した代わりの店という位置づけになっているようだ。

 同社の独占が問題視されるなか、その一方で、最近では一般のスーパーマーケットも有機野菜などを積極的に販売するようになってきており、業界の垣根が不明確になり始めているのも事実で、結局ホールフーズ以外でもその種の食材を買うことができることになり、そういった現実を踏まえると、独禁法の問題もこのまま消滅する可能性が高い。
 また、ホールフーズ自身も自然食品にこだわり続けているわけではなく、一般食材も広く扱うようになってきており、もはや自然食品業界という区分自体が時代遅れになりつつある。そのような背景から、最近は同社の存在も、「自然食品スーパー」 から 「単なる高級スーパー」 とみなされる傾向にあり、顧客も必ずしも有機野菜などを求めているとは限らず、「おしゃれ感」、「リッチな気分」 といった部分を求め、この店に足を運ぶ利用者も少なくない。

 したがって、同社のマーケティングは有機、自然、健康、環境といった部分を強調しながらも、あくまでも高級という部分に重点が置かれており、実際に商品のブランドを見ても価格設定を見てもその方針は明らかだ。
 つまり、一般のスーパーと価格比較されやすい全国ブランドの商品の陳列は極力避け、OEM商品(メーカーに生産委託した自社ブランド商品。左上の写真などがその例) を中心に取り扱い、一般スーパーよりもかなり高めの価格設定を貫いている。
 具体的な例をあげるならば、コカコーラやペプシコーラなどは一般のスーパーと価格比較されやすいので、自社ブランド "365" のコーラとして、高級感を持たせ高く販売している。ビールなどにおいても、バドワイザー、ミラー、クアーズといった一般ブランド品の陳列はごくわずかにおさえ、世界各地からの輸入品を中心に高級感を出しながら競合他社との差別化を図るなど、価格競争を避けるビジネス戦略は明快だ。

 前置きが長くなってしまったが、高級感ということ以外でのこの店の特徴は、なんといっても品揃えだろう。すべての分野に渡って品揃えが豊富というわけではないが、特に前述のビール、そしてワイン、チーズなどは非常に種類が豊富で、その分野のマニアックな客などからは高い支持を得ている。(右の写真をクリックすると、ビール全体の3分の1ほどの品揃えを見ることができる)
 肉や鮮魚コーナーも一般のスーパーに比べるとはるかに品数が多いが、客の数がそれほど多くないため商品の回転が悪いのか、見た目の鮮度が悪いものも目立ち、ビール、チーズ、ワインほどは高い評価を得ていない。ちなみに肉は現場でエージング(熟成)工程を経た高級品(1ポンド 30ドル前後。見た目は鮮度が悪いように見える)も売られている。

 この店のもうひとつの特徴は、弁当など調理済み食品の持ち帰りセクションと、店内で食べることができるファーストフードセクションの充実ぶりだ。ホールフーズはこの店舗以外にもラスベガス一帯に3店存在しているが、地理的理由で観光客が多いためか、これらセクションはこの店舗が一番充実しているように見受けられる。
 ピザやサンドイッチなどがあるのは当然だが、「和食 = 健康、高級、おしゃれ」 というイメージが店のコンセプトと一致するからか、のり巻き、うどん、ソバ、カツ丼、天丼、親子丼、カレーライスといった和食系が非常に多い。
 参考までにソバ($5.55、写真右上) を食べてみたが、予想や見かけに反してこれがなかなかいける。どんぶりもの($6.05〜)も、タレ(つゆというべきか) が別の器に盛られてくるという意外な部分もあったが味的には悪くない。

 その他で特筆すべき点は、食材の販売においても和食系は充実しているということ。
 味噌、醤油、豆腐などはもちろんのこと、のり、ソーメン、めんつゆ、パン粉など、一般のスーパーではすみに追いやられているようなアイテムまでが、かなり本格的に陳列されており、さらに驚くことに、八丁味噌、切り干し大根、くず粉、そしてカツオ節ならぬマグロ節まであるから恐れいる。キッチン付きの宿泊施設(タイムシェアなど) に滞在することになった場合、和食の食材はこの店で手に入ることを覚えておくと便利だ。

 営業時間は、曜日に関係なく午前8時から午後10時まで。
 所在位置はタウンスクエア内、つまりマンダレイベイホテルの南約3kmの地点で、行き方は、ホテル街から 2階建てバス "DEUCE" の南行きに乗り、左手に見えてくるラスベガス国際空港の滑走路を通り越したら前方に注意しながら、サンセットという道路との交差点(信号あり)を超えて一つ目もしくは二つ目のバス停で下車すれば、すぐ目の前にホールフーズが見える。一つ目のバス停も二つ目のバス停もタウンスクエアに面した場所にあるが、ホールフーズは2つ目のほうが近い。ちなみに右上の写真は、二つ目のバス停付近からみた様子。(バスの乗り方などに関しては、このラスベガス大全の[市内交通]セクションを参照のこと)


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