週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 09月 24日号
いずれ消滅か…、高額プログレッシブマシンが急減
 ラスベガスのストリップ地区の主要カジノから、高額ジャックポットのプログレッシブ型スロットマシンが急減している。その代わり、当たる確率が高い小額ジャックポットのマシンは増加傾向にある。
 今週は、その減りつつある高額ジャックポットマシンを追ってみた。まだ存在しているのかどうか、そしてあるとしたらどこに何台あるのか。
(右上の写真は高額ジャックポットマシンの代表的な機種 MEGABUCKS。2003年3月4日撮影。その17日後の3月21日にエクスカリバーホテルで、スロットマシン賞金の世界記録となる3971万ドルが飛び出している。当時の換算レートで約48億円)

 プログレッシブ型スロットマシンとは、ジャックポット (左の写真のように、一番出にくいシンボルマークが並んだ場合の一等特別賞) の払戻額をあらかじめ決めることはせずに (最低保証額だけは「リセット金額」として決まっている)、積立方式によってその金額を決めるスロットマシンのこと。
 この積立方式とは、同じタイプのマシンを数台から数百台連動させ、それらマシンに刻々と投じられる賭け金の何パーセントかを自動的に積み立てていき、誰かがどこかの台でジャックポットを出した際に、その者がその積立金のすべてを一等特別賞としてもらえるという方式。積立金がその時点でいくらになっているかは、現場に電光掲示されているのですぐにわかる。

 このプログレッシブ型マシンには、そのカジノ内や系列カジノ内に設置されたマシンだけをリンクさせたインハウス型と、他のカジノのマシンもリンクさせた広域型がある。
 インハウス型のジャックポット金額は、小さい場合で数百ドル、大きい場合でも数万ドル程度までが一般的だ (写真右)。
 したがって、数十万ドルや百万ドルを超えるような超高額ジャックポットが期待できるマシンはすべて広域型ということになる。

 最近減ってきているのは広域型だ。そしてその広域型を管理運営する代表的な会社が、世界最大のスロットマシン製造メーカー International Game Technology 社 (以下、IGT) で、その市場シェアはこれまで 60%以上といわれてきた。
 独禁法に触れてもおかしくないその圧倒的な存在の IGT社が、今年になって極度な不振に陥っている。つい数日前も大規模な人員削減策を発表したばかりだが、今後の業績見通しに改善が見られないのか、今年の4月まで40ドル台で推移していた同社の株は現在16ドル前後で取引されている。もっとも、IGT に限らずカジノ関連企業はどこも不況なので株価の低迷自体は驚くに値しないが、最近同社のプログレッシブマシンがカジノから締め出されようとしている動きには大いに注目すべきだろう。

 このラスベガス大全でも、[JACKPOT速報](このページの左フレーム内) で同社のプログレッシブマシンのジャックポット金額を長年に渡り報告してきたが、最近読者から 「どこのカジノを探してもマシンが見つからない」 というメールが寄せられるようになった。
 たしかにこの一年ほどの間にマシンが減ってきているのは事実で、特にここ数ヶ月での減り方は加速度的だ。そしてついに先月、バリーズホテル(写真右上) が IGT社のプログレッシブマシンを締め出すと発表した。
 この発表は、高額ジャックポット狙いのスロットファンにとっては、大いに気になる緊急事態だろう。なにせバリーズホテルを所有する Harrah's Entertainment 社は、ラスベガスのストリップ地区だけでも8つのカジノホテルを所有しており、今後それらすべてのホテルで、この締め出しの方針が適用されないとは限らないからだ。

 ところでなぜ締め出したがるのか。じつは、広域型プログレッシブマシンの場合、インハウス型や通常の単独マシンとは異なり、カジノ側は収益金をそのまま手にすることができない。管理会社(多くの場合 IGT社)から設置に対するコミッションを受け取るだけだ。
 そもそも広域型プログレッシブマシンの場合、マシンの所有者はホテルやカジノではない。なぜなら、そのマシンでの売り上げも払い戻しもそのカジノが責任を負ってしまったら、設置したとたんに数百万ドルのジャックポットが出た場合、そのカジノは大損してしまうことになる。
 そういうことがないよう、リンクされている同じ機種に関しては、売り上げも払い戻しもすべて管理会社が行い、管理会社はカジノ側に使用度に応じた設置コミッションを支払うというわけだが、これがバリーズにとってはおもしろくないらしい。ようするに普通の機種に比べ利益が少ないということだ。ちなみに、IGT社以外にも広域型プログレッシブを運営している会社はあるが、なにやら管理費などの条件が IGT社の場合、ホテル側にとってかなりきびしく設定されているようだ(具体的な数字の裏づけは取れていないが)。市場の独占による弊害といえるかもしれない。

 ということでどこまで撤去が進んでいるのか、今回そのバリーズおよびその同系列の8つのホテルのカジノに足を運び、IGTのプログレッシブマシンの設置状況を調べてみた。ちなみに IGTの公式サイトの中に、それぞれのマシンごとの設置場所リストが掲載されているが、とっくに爆破解体されているカジノが含まれていたりするほど情報が古く、ほとんど役に立たない。
 余談だが、このラスベガス大全の [JACKPOT速報] は、今も昔も IGTの公式サイトからの数値ではない。毎週実際に同社に電話をして確認している。電話で確認しても、明らかに不自然な数値を言ってくる場合もあり、そういう時は現場に足を運んで確認している。

 そのようなわけで今回も現場で調査をしてみたわけだが、以下のリストの通り、8つのカジノホテルでは、IGTの広域プログレッシブマシンはホイールオブフォーチュンとメガバックス以外、すべて撤去されていることがわかった。つまり、[JACKPOT速報] にリストされているエルビスやマネーマッドネスなどはまったく存在していない。
 したがって、今後ラスベガスを訪れる高額プログレッシブのファンは、時間の無駄を避けるためにも、存在しない機種を一生懸命に探し求めるようなことはしないほうがよい。
 それにしても、長年に渡り巨額のジャックポットで話題を集めてきたメガバックスが、各カジノに1台あるかないかという状態はなんとも寂しい限りだ。これだけ設置台数が少なくなってくると積立金が上がっていく速度も遅く、超高額に積み上がる機会が少なくなり、さらなる人気の低下は避けられない。結果的に管理運営の効率も悪くなり、遅かれ早かれメガバックスも消えることになるだろう。

 8つのカジノホテル以外の設置状況(ほとんど大差ないことは確認済み)と、増えつつあるインハウス型の小額ジャックポットマシンについては、今後また機会を改めて紹介してみたい。

 BALLY'S
IGTのプログレッシブマシンはまったく存在していない。

 PARIS
Wheel of Fortune 1ドル機 4台
Wheel of Fortune 25セント機 4台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 7台
Wheel of Fortune 5セント機 "Special Edition" 9台
Wheel of Fortune 5ドル機 1台

 CAESARS PALACE
Megabucks 1ドル機 1台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 4台
Wheel of Fortune 25セント機 4台
Wheel of Fortune 1ドル機 8台

 FLAMINGO
Megabucks 1ドル機 1台
Wheel of Fortune 25セント機 4台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 4台
Wheel of Fortune 5ドル 1台
Wheel of Fortune 5セント機 "Special Edition" 9台

 RIO
Megabucks 1ドル機 1台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 3台
Wheel of Fortune 1セント機 "Multi-Level" 2台
Wheel of Fortune 5セント機 "Special Edition" 9台
Wheel of Fortune 5ドル 2台
Wheel of Fortune 1ドル機 4台
Wheel of Fortune 25セント機 2台

 IMPERIAL PALACE
Wheel of Fortune 1ドル機 4台
Wheel of Fortune 5セント機 "Special Edition" 7台 
Wheel of Fortune 25セント機 5台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 1台

 HARRAH'S
Megabucks 1ドル機 1台
Wheel of Fortune 25セント機 "Multi-Win" 4台
Wheel of Fortune 25セント機 4台
Wheel of Fortune 1ドル機 4台
Wheel of Fortune 5ドル 2台

 BILL'S
Wheel of Fortune 25セント機  8台
Wheel of Fortune 5セント機 "Special Edition" 5台


バックナンバーリストへもどる