週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 05月 14日号
要英語力だが、完成度は高いジャージーボーイズ
 先週に続き今週もショーを紹介してみたい。といっても先週のは三流ショーだが、今週のは一流ショー。
 何をもって三流か一流か定義付けはむずかしいが、知名度でそれを決めるとするならば、まさにその通りというか、両者の間には 「百流と一流」 と言っていいぐらいの差があるだろう。
 無名の役者が演じる先週のシャボン玉ショーとは打って変わって、今週紹介するのは 5月3日にパラッツォホテル (写真右上、クリックで拡大表示) の専用シアターで始まったミュージカルで、2005年ニューヨークでデビューし、翌年トニー賞 (最優秀ミュージカル作品賞、最優秀照明デザイン賞など) に輝いた話題の作品 「ジャージーボーイズ」。
 その後ニューヨーク以外でも全米各地のツアーで高い評価を得て、このたびのラスベガス常駐公演が実現し、またロンドン、トロント、さらには来年からメルボルン公演など、世界進出も決まっている。

 このジャージーボーイズは、60〜70年代に大活躍した人気4人グループ 「フォーシーズンズ」 の実際の活動を題材にしたミュージカルで、4人の出会いの時期から成功するまでの下積み生活を中心に、悲喜こもごもの変遷を、彼らのヒット曲を交えながら再現する。
 シーンとしては、失敗やトラブルなど苦労話が多いが、彼らの愉快なキャラクターが幸いしてか、総じて明るく楽しい内容に仕上がっているのが特徴だ。
 ちなみに彼ら4人組は、ニューヨークのすぐとなりのニュージャージー州出身のため (それゆえ 「ジャージーボーイズ」)、ストーリーの背景もほとんどがニューヨークやニュージャージーとなっている。

 実在するヒット曲をそのまま使ってのミュージカル (いわゆる「ジュークボックスミュージカル」) と言えば、ラスベガスではマンダレイベイで開催されている 「マンマミア」 (アバのヒット曲)、そして 2005年秋までパリスホテルで行われていた 「ウィーウィルロックユー」 (クイーンのヒット曲) などを思い出すが、ジャージーボーイズの出来はそれらよりも上のように見受けられる。少なくとも短命(1年3ヶ月)で終わったウィーウィルロックユーよりは完成度が高く、一般的な評価もまちがいなく上と考えてよいだろう。
 ただ、好きか嫌いか、もしくは楽しめるかどうかとなると、かなり意見が分かれるかもしれない。英語が難解であることはどれも同じで、非英語圏の者にとってはストーリーを追うのがむずかしいわけだが、そうなると、知っている曲がどれだけ多く登場するかといった部分が非常に重要になり、結局、アバが好きかクイーンが好きかフォーシーズンズが好きか、ということになってしまいがちだ。
 どのグループも一世を風靡した超大物ではあるが、フォーシーズンズは活躍の時期がアバやクイーンよりも 15〜20年ほど古いため、若い世代になればなるほど知っている曲が少ないということになる。そんな背景があるためか、このジャージーボーイズはトニー賞など高い評価を得ているものの、若者にはまったく人気がなく、観客のほとんどが年配者だ。聞き取り調査などをしたわけではないが、観客の平均年齢は60才前後といったところか。

 ということで若い世代にとっては知らない曲が多く退屈してしまう可能性が高いが、それでも "Can't Take My Eyes Off You" (君の瞳に恋している) と "Sherry" (シェリー) だけはどんな世代でも一度は耳にしたことがあるはずなので、少なくともその部分だけは楽しむことができるだろう。たった2曲だけ楽しんでどうする、という意見もあるかもしれないが、歌のうまさは往年の本家本元のフォーシーズンズに勝るとも劣らないレベルなので、それらを聞くだけでも十分観に行く価値があるのではないか。
 ちなみにこのラスベガス公演で主役 (リードヴォーカルのフランキーヴァリ) を演じているのは Rick Faugno (左から二人目) で、顔が本物にどことなく似ているばかりか、あの独特の高音も本物そっくりだ。トミーデビトを演じる Jeremy Kushnier (左下の写真の一番右) も実に歌がうまい。

 歌はそのへんにしておいて舞台についてだが、基本的な骨格となる舞台セットは一度も変わることなく最初から最後まで同じだ。
 その一方で、テーブル、ベッド、ソファ、デスクなどの小道具は極めて頻繁に入れ替わり、観ている者をあきさせない。つまり、わずかな小道具の変化で、各シーンをうまくシームレスにつなげており、そのへんのさりげない変化の連続がこのミュージカルの真骨頂といってよいだろう。衣装の素早い交換テクニックも見ものだ。

 公演時間は取材時の実測値で 7:03pm に始まり、1時間5分後の 8:08pm に休憩。8分というかなり短い休憩をはさんで 8:16pm に再開し、57分後の 9:13pm に終了。正味ほぼ2時間ということになる。
 会場は前後の奥行きがそれほど深くないので、チケットを買う際はステージからの距離よりも、左右の位置関係を気にしたほうがよい。つまり少々ステージから遠くても中央寄りの席にすべきだろう。あと、最前列から5列目までの席はフロアに傾斜がまったくないばかりか、目の位置がステージ面よりも低いので、あまりよい席とはいえない。
 劇場の場所はパラッツォホテルのカジノ内にあるレストラン 「グランドラックスカフェ」 のすぐ脇で、チケット売り場もそこにある。チケット料金は $62.70、$95.70、$139.70、$199.73 の4種類。
 公演は水曜日を除く毎日ということになっているが、実際には水曜日以外の曜日が休演日になる週があったり、また開演時間も 7:00pm の日もあれば 8:00pm の日もあり、さらに 10:00pm の部があったりするなど、まだ流動的な部分が多いようだ。
 したがって、実際にチケットを手配したり行動日程を決める際は、必ず同ホテルの公式サイト www.palazzolasvegas.com をチェックするようにしたい。


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