週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 04月 30日号
予算は 1ッ星、味は 3ッ星、L'ATELIER de Joel Robuchon
 レストランの評価を星の数で表すフランスのミシュランガイド。昨秋、東京版が出版されて大きな話題になったことは記憶に新しいが、それがきっかけになったのか、ラスベガスのレストラン選びでも星の数にこだわる日本人観光客が増えてきている。
 今週は、そんなグルメ族のリクエストにこたえて、ミシュランガイドに載った L'ATELIER de Joel Robuchon を紹介してみたい。(右の写真は、入口付近の装飾)

 最高ランクの 「3ッ星」 の評価を受けている店は現在ラスベガスに1店しかない。ラスベガスのレベルが特に低いということではなく、ニューヨーク、ロサンゼルス、サンフランシスコでも 3ッ星店はほんの数店かゼロで、それがミシュラン側から見たアメリカ料理界に対する普通の評価と考えてよいだろう。
 もっとも、そのミシュランのお膝元のフランスでも全国で 30店前後 (そのうちパリに10店前後) と、もともと 3ッ星店はそんなに多くあるわけではない。ちなみに東京の8店という数字は、アメリカの都市に比べ日本のレベルがそれだけ高いということか、それともレストランの絶対数が多いからか、はたまた何か特別な理由でもあるのか、そのへんの真相は不明だが、いずれにせよ 3ッ星店が非常に珍しい存在であることだけは間違いないだろう。

 そんな数少ない存在の中で、東京版でもラスベガス版でも 3ッ星にランクされている店がある。ロブションだ。
 その店の主は、15歳で料理の道に入り、28歳の若さで 「コンコルド=ラファイエット・ホテル」 の総料理長に抜擢されたジョエル・ロブション氏 (写真右)。
 1981年、36歳で独立し、パリにオープンさせた 「ジャマン」 は、わずか 3年後に 3ツ星を獲得している。ちなみにこれはミシュラン史上最短記録だという。
 30年以上に渡りフランスで活躍し続けた同氏は、大の親日家としても知られ、日本には 1994年に進出。今では本家本元のフランスからはほとんど手を引き、日本に軸足を置きながら、ラスベガス、ロンドン、香港などに事業を拡大している。

 ラスベガスのロブションが MGMグランドホテル内にオープンしたのは約2年半前。そして早くも 2008年版のミシュランガイドで 3ッ星の栄誉に輝き、さらに 1ッ星にも選ばれている。
 なぜ 3ッ星と 1ッ星の両方か? じつはラスベガスでは同じ場所にフォーマルダイニングの 「ジョエル・ロブション」 と、カジュアルダイニングの 「ラトリエ・ドュ・ジョエル・ロブション」 という 2つのロブションが軒を並べる形で存在しており、それぞれが 3ッ星と 1ッ星に選出されたというわけだ。

 ジョエルのほうは開業直後にこのコーナーで取り上げているので、今回紹介するのはラトリエになるが、両者の違いは、フォーマルかカジュアルかといった部分は多少あるにせよ、実質的な違いはテーブルのスタイル、つまり物理的な部分にあるように思える。簡単に言ってしまえば、ジョエルが普通のダイニングテーブル、ラトリエがカウンター席 (写真右上) だ。
 食材の仕入れなどはもちろんのこと、スタッフや厨房の一部も共有しているため、味のレベルに大きな違いはないと考えるのが妥当で、これで料金がジョエルの半額程度ならばラトリエはかなり経済的といえなくもない。

 「予算は1ッ星、内容や味は3ッ星」 と言ってはほめすぎかもしれないが、単純に料理だけを楽しみたい場合はラトリエで十分だろう。接待や特別なオケージョンなど、金粉を飾りに使った料理などが必要になった際にのみジョエルに行けばよい。
 ちなみに気になる料金は、ジョエルの16品コースメニューが $385、6品コースメニューが $250 とかなりリッチであるのに対して、ラトリエでは 9品コースメニューが $135 とカジュアルだ。
 さらにラトリエは、カウンター席であるがゆえに、調理現場がよく見渡せる (写真左上)。ミシュランガイドに選ばれた店の厨房をじっくり見る機会など、そう多くはあるまい。料理に興味がある者にとってはまたとないチャンスだ。

L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon L'ATELIER de Joel Robuchon  ジョエルもラトリエも、東京の恵比寿と六本木ヒルズにあり、その内容は日米で大きな差はないが、日本ではミシュランに掲載されてから予約がむずかしくなったと聞く。(最近はほとぼりが冷めてきたのか、ひところほどではないらしいが)
 「行ってみたいが予約が取れない」、「行ってみたいが首都圏に住んでいない」 というラスベガス訪問予定者は、ぜひラスベガスで行ってみるとよいだろう。ラトリエの場合、7:30pm よりも前なら予約無しで入れることが多く (8:00pm 以降は急に混んでくる)、英語での電話予約が苦手という者でも、飛込みで現場へ行ってしまえば何とかなったりする可能性が高い。
 なお、この店にはわずかにテーブル席もあるが、やはりカウンター席にすわりたい。厨房が見えるというだけでなく、担当者 (寿司屋で言えば、自分に一番近い位置にいる板前のような存在のスタッフ) とのやり取りも、楽しみのひとつだからだ。一皿一皿、出されるたびに食材や食べ方などを説明してくれる。またこの店では、ミネラルウォーター、ビール、ワインなどのブランドを聞いたりするのも、メニューのオーダーも、原則としてすべてその担当者が行う。常に目の前にいるため、一般の店におけるウエイターなどよりも会話をする機会が増え、そういう意味では、ある程度の英語力が必要かもしれない。

 個別のメニュー (← クリック) もあるが、やはり手っ取り早いのは前述のコースメニュー (同) だ。このコースメニューには、7種類の料理と 2つのデザート、それにコーヒーまたはエスプレッソが含まれている。なお、上のメニューをクリックしてもらえればわかるが、手っ取り早いといっても、一つだけ選択肢があるので、それの意思表示はする必要がある。現在のメニューでの選択肢は、Quail か Lamb、つまりウズラの肉か、子羊の肉のどちらかを選ぶ。
 このコースメニューは季節ごとに内容が入れ替わるので原則として3ヶ月間は同じと考えてよいが、日によって食材の調達に変動があったりした場合は、一部の料理が入れ替わることはある。季節ごとの切り替えのタイミングは公表していないが、たまたま今回 5月7日ごろにロブション氏が東京からやってくる予定なので、その直後に夏メニューに切り替わる可能性が高いという。
 なお、右上に並ぶ写真は、現在の春のコースメニューおよび数ヶ月前まで出されていた冬のメニュー、それに個別メニューも数点含まれているので、今コースメニューをオーダーすればこれらのすべてを楽しめるというわけではない。

 料金はコースメニューをオーダーした場合でも、それに飲み物 (ミネラルウォーター、ビール、ワインなど)、さらに 7.75% の消費税と 20%程度のチップが必要になるので、カジュアル版と言ってもさすがはロブション、ワインなどの銘柄にもよるが、最低ひとり 200ドルぐらいは想定しておく必要がある。
 場所は MGMグランドホテルのカジノフロア内で、シルクドソレイユのショー "KA" の劇場のすぐ目の前。営業時間は日曜日から木曜日が 5:30pm - 10:30pm、金曜日と土曜日が 5:00pm - 11:30pm。


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