週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 04月 09日号
1億円の部屋が 1泊300ドル! トランプタワーがオープン
 "不動産王" こと ドナルド・トランプ氏のホテル Trump International Hotel & Tower (以下、トランプタワー) が 3月31日、ラスベガス最大のショッピングモール 「ファッションショー」 のすぐ裏側にオープンした。
(右写真の金色の高層ビルがトランプタワー、右側の楕円形の屋根がファッションショー。左下の写真は百貨店 macy's 側から見たトランプタワー。クリックで拡大表示)

 名称に Hotel の文字が入っているが、正確にいうと、このトランプタワーはホテルではない。いま流行の "コンドホテル" だ。
 コンドホテルのコンドとは、もちろんコンドミニアム、つまり日本でいうところのマンションのこと。しかし、ラスベガスのような観光地のコンドの場合、そこに住むための住居として買う者は少数派で、大多数のオーナーは、別荘として買うか、将来の値上がりを期待して投資目的で購入する。結局オーナーがその物件を使用するのは年に数回程度で、大半の期間は空室だ。
 それではもったいない、ということで、オーナーが使用していない期間、管理会社がホテルとして一般の観光客などにレンタルし、そこで計上された売り上げをオーナーと管理会社が分け合う、というのがコンドホテルの概念だ。

 さっそく現場へ行ってみた。金ぴかのロビーで待っていてくれたのは、どことなくトランプ氏に似ているようにも見えるフェルナンドさん。今回の取材の案内役をしてくれたシニアセールスマネージャーだ。
 金ぴかといえば、それはトランプ氏のトレードマークのようなもので、このタワーも例外ではなく、外観はもちろんのこと玄関もロビーも金ぴかだ。「成金主義」 と揶揄されがちなこの種の装飾は、リビエラホテルなどに代表される 70年代ぐらいまでの感性かと思いきや、トランプ氏の場合、今でもそのデザインセンスを脈々と受け継いているところが興味深い。

 客室内も金ぴかだったらどうしよう、と不安に思いながら、フェルナンドさんが案内してくれた標準ユニット (ベッドルーム、リビングルーム、簡易キッチン、バスルームで構成。左の写真はそのリビングルーム) に入ると、とりあえず一安心。ごく普通のホテルと同様、ベージュ中心の落ち着いた色調にまとまっている。
 ちなみにこの標準ユニット、買う場合の価格は、階やビューによっても異なるが (高層階の方が高く、ビューが良い南側に面している部屋のほうが高い) 約 100万ドル、つまり 1億円だ。ここ数ヶ月はサブプライム不況で値下がり傾向にあるようだが、それでもアメリカの一般的な住宅事情から考えると、この種の高層コンドはかなり高い。

 ホテルとして利用する一般観光客にとっては、宿泊費さえ安ければ、分譲価格などいくら高くてもどうでもよいことで、むしろ高ければ高いほど宿泊した際のありがたみは大きいというもの。
 そこで気になる 1億円の物件の宿泊費だが、それはおおむね1泊 300〜400ドル。(もちろん需要と供給のバランスや、周囲の一般ホテルの宿泊費に連動するかたちで多少の変動はある)
 一般のホテルの場合、かなりグレードが高い大き目のスイートルームでもキッチンが付いていないことがほとんどなので、キッチン付き (←写真) のコンドホテルのこの値段は、かなり割安と言ってよいのではないか。(右上の写真は、標準ユニットのバスルーム。窓の外に見えるのは最近開業したばかりの大型カジノホテル、パラッツォ)

 「個人が所有するマンションを借りるわけだから、家具などに当たりハズレがあるのでは」 と心配する者もいるようだが、そのへんのことは心配無用だ。
 なぜなら、「ホテルとして貸し出す可能性がある」 という前提でオーナーになった者は、管理会社側との間で結ばされる契約によって、家具や調度品の選択に対して個人の自由がかなり制限されているからだ。したがって、オーナー個人の存在を感じさせるような私物は室内に一切ないので、普通のホテルと同じ感覚で利用することができる。もちろんシャンプー、コンディショナー、ローション、石鹸などの消耗備品やタオルなどに関しても一般のホテルとまったく同じように管理されている。

 館内の施設も、カジノが存在しないこと以外、基本的には一般のホテルと同じだ。レストランもあれば、プールもSPAもある。ちがいは、それら施設が非常にすいているということ。
 ちなみに右のプールの写真には人影がほとんど写っていないが、時間帯が悪かったわけでも寒かったわけでもない (ラスベガスの4月はすでにプールの季節)。いつもほとんど貸しきり状態で使用できる。
 フェルナンドさんによると、このように非常にすいているのでリラックスでき、また、カジノがないため館内の構造が非常にシンプルで使いやすいところがトランプタワーのセールスポイントとのこと。たしかに玄関、ロビー、エレベーター、レストラン、などの位置関係が、他のカジノホテルに比べて格段にわかりやすく使いやすい。
 ちなみに非常にすいている理由は、住居としてここに住んでいるオーナーがほとんどいないことに加え、別荘や投資物件として購入したオーナーのすべてがレンタル契約をしているわけではないので、使われていないユニットがたくさんあるからだ。なんとも贅沢な話だ。
 なお、全館禁煙、セルフパーキング無し (すべてバレーパーキング) となっているので、喫煙者やレンタカー利用者はあらかじめ了解しておく必要がある。
 カジノ施設がないことと、レストランが非常に少ないといった不便 (現在は事実上、トランプ氏のイニシャルが店名になった高級店 DJT 1軒しかない) をどのように考えるかによって、このホテルの評価は変わってくることになるが、もし部屋の広さやキッチンの有無を重要視する者は、ホテル選びの際の選択肢のひとつとして検討してみる価値は十分にあるだろう。

 最後に余談だが、この施設から最も近いカジノはウィンラスベガス。もちろん徒歩の距離だ。
 そして、そのウィンラスベガスのウィン氏とトランプ氏は以前から犬猿の仲とされている。そんなこともあってか、トランプタワーが 64階というラスベガス屈指の超高層になったのは、意地でもウィンより高くしたかったため、との噂も聞かれる。
 その話の真偽のほどは定かではないが、「カジノを持たないトランプタワーは宿敵ウィンのカジノの集客に貢献してしまっているのではないか」 とフェルナンドさんに話を向けると、「距離的にウィンと大差ないので、カジノはパラッツォかトレジャーアイランドを使ってください」 と笑いながら答えてくれた。ちなみに右上の写真ではトランプタワーとトレジャーアイランドは隣同士のようにも見えるが、これは望遠で撮影しているためで実際は見掛けほど近くない。

 宿泊予約は電話 866-939-8786 もしくは トランプタワーの公式サイト まで。ただしどちらも英語のみ。日本語を希望する場合は世界最大のホテル予約サイト エクスペディア の日本語版で可能。
 なお、その日本語版エクスペディア内でホテル名を検索する際、通常はカタカナで検索可能だが、このトランプはまだ新しすぎるためかカタカナではなく英語で Trump と入力する必要あり。また、トランプの公式サイトは外税による価格表示なので税別だが、エクスペディアは内税の税込み価格なので、価格を比較する際は注意が必要。(ここでいう税とはラスベガスのホテル税 9% のことで、7.75%の消費税とはまったく別の税)


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