週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 03月 26日号
EVA の 大阪〜LA便、関西圏に朗報! ベガス直行便は時期尚早
 待望のエバー航空 (以下EVA) の 大阪〜ロサンゼルス便が、いよいよ 3月30日から就航する。上位のクラスの機内食には、かの有名な中華料理店、鼎泰豊(ディンタイフォン)の小籠包(ショーロンポウ) も出るという。
 台北発ラスベガス直行便の就航の可能性も含めて、今後の EVAのアメリカ戦略を聞くために同社の米国本社 (ロサンゼルス) を訪ねた。(左下の写真は、大阪城に近いほうがマネージャーの Ma さん、左がアシスタントマネージャーの Lung さん)

 西日本在住のアメリカ好きにとっては非常にうれしい今回の就航。もちろん米国西海岸に住むに日本人にとっても、そして旅行業界にとっても長らく待ち望まれていた悲願の路線だ。
 なぜそれほど期待されていたのか。それは、関東以北の者は聞いて驚くだろうが、なんと現在ロサンゼルスと大阪を結ぶフライトが1本も存在していないのである。
 かつては日本航空、ノースウェスト航空、ユナイテッド航空などが毎日飛んでいたが、関西圏の不況や需要の低迷などを理由に、ここ数年ですべての航空会社が撤退。その結果、日本第2の都市であり西日本の中心地でもある大阪と、米国のアジアへの表玄関であり西海岸最大の都市でもあるロサンゼルス (人口も経済規模もロサンゼルスは、サンフランシスコ、シアトル、サンディエゴの3都市の合計よりも大きい)、つまり日米を代表する巨大都市の間にフライトが存在しないという異常な事態が続いていたのである。いうまでもなく両国は GDP世界1位と2位の国、この路線はまさに世界屈指の幹線のはずだ。

 では関西圏からの航空需要はそれほどまでに少ないのか。じつは調べてみると、いろいろな都市との間に路線があることがわかる。それも意外な都市が多い。
 ムンバイ、ドバイ、イスタンブールなどの大都市や、サイパン、済州、ケアンズなどの人気観光地までは納得できるとしても、ドーハ、タシケント、クライストチャーチなど、あまり需要がなさそうな都市、さらにはコタキナバル、ヌーメア、パペーテなど、どこにあるのかもわからないような都市にも飛んでいるのには驚くばかりだ。
 もちろん、「成田のワクが満杯のため仕方なく関空を使っている」 という航空会社もあるようだが、それにしてもロサンゼルス便がゼロというのはおかしな話だ。西日本からのラスベガス観光客が長らく低迷している最大の原因といわれているが、当然だろう。

 そんな 「空白の大阪〜ロサンゼルス線」 に参入することになったEVAは、日本の航空会社でもアメリカの航空会社でもない。台湾の会社だ。以遠権を使っての参入ということになるが、まさに時代の流れといったところか。
 かつて航空業界では、二国間のそれぞれの航空会社はお互いの国の間だけを飛ぶことにし、相手側の都市からさらに先の第三国へ飛ぶ権利 (以遠権) は互いに認めないか、本数を制限するのが一般的だった。つまり、台湾と大阪の間は、日本と台湾の航空会社の権益で、大阪とロサンゼルス間は日本かアメリカの航空会社の権益というように、うまく棲み分けて共存するのが業界の慣行だった。さらに台湾は国交がないため話が複雑で、日本航空の名前では乗り入れできないという特殊な事情もあったりした (来月4月から 34年ぶりに日本航空が台湾に飛ぶことが決定している)。
 しかしそんな硬いことを言っている時代は終わりを迎えつつあり、自由化の波が押し寄せている今、以遠権の制限などは時代遅れで、元気の良い航空会社はどんどん新路線に参入する方向に時代は変化している。

 元気とえいば、EVAは一般の日本人にとっては、台湾に旅行するとき以外あまりなじみがない航空会社だが、日本と台北を結ぶ路線に 「ハローキティジェット」 を飛ばすなど (写真右)、非常に若くて元気な会社だ。
 1991年初就航なので実際に若い会社だが、経営母体は世界的に有名な海運会社エバーグリーン社。貿易業務などに携わったことがある者ならばだれもが知る巨大な会社で、一般の者でも港湾周辺の道路などで同社の社名が入った緑色の大きなコンテナを一度や二度は目にしていることだろう。
 そんな船会社が母体となっているEVAは、元気なだけでなく安全面でも定評で、まだ一度も死亡事故を起こしていない数少ない航空会社として知られている。名古屋と那覇の事故ですっかり有名になってしまった台湾のナショナルフラッグキャリア、チャイナエアライン (中華航空) とは対照的だ。

 ラスベガスと直接関係ない話で長くなってしまったが、今回のEVAの就航で、大阪関西空港からラスベガスへアクセスする選択肢は以下のように増えた。

 「EVAがなくてもいろいろあるじゃないか」 という意見もありそうだが、実際に利用するとなると、アメリカ側の国内線の本数など、ロサンゼルス線がないと本当に不便なのが実態だ。
 参考までに以下は成田からのアクセスで、ロサンゼルスとサンフランシスコ経由だけでもこれだけの航空会社の選択肢がある。関西圏の人たちがいかに不便を強いられていたかがわかる。


 さて気になるフライトスケジュールだが、残念ながら、まだ毎日運行ではない。大阪発、ロサンゼルス発ともに火、金、日の週3便で、大阪発が 3:30pm、 9:45am 着、ロサンゼルス発が 12:10pm、4:05pm 着。
 機材はボーイング777-300ER で、座席の横配列はエコノミークラスが 3-3-3 の横9席、エリートクラスが 2-4-2、プレミアムローレルクラスが 2-2-2。シートの前後のピッチはそれぞれ順番に 84cm、97cm、155cm。
 ちなみにエリートクラスは、最近流行の 「第4のクラス」 に位置づけられる新クラスで、エコノミーとビジネスの中間と考えればよいだろう。同様にプレミアムローレルクラスも通常のファーストクラスよりは室内空間がゆったりしていない。機内のレイアウトや機体のスペックはこちらをクリック

 エコノミークラスも含めて全席にパーソナルモニターを装備 (写真右)。さらにエリートクラスには、ノイズリダクションヘッドホン、ビデオオンデマンドの映画やゲームのサービス、パソコン用の電源、SMS、E-mailサービス。そしてプレミアムローレルクラスにはそれらに加え衛星電話も利用でき、冒頭でも触れた小籠包も楽しめる。
 スターアライアンスやワンワールドなどの巨大航空連合には加盟していないが、マイレージサービスではコンチネンタル航空と密接に提携し合っている。ただ、ロサンゼルスとラスベガス間の国内線の接続便は、本数の関係で USエアもしくはアメリカン航空と提携するようだ。

 さて、ラスベガスにとっては期待がかかる台北とラスベガスを結ぶノンストップ便に関してだが、残念ながら現時点では計画に上っていないという。
 大韓航空がソウル発のノンストップ便で大成功をおさめ、日本の地方都市からの利用者がそれを高く評価していることから、EVAの台北〜ラスベガス便にも期待がかかっていたが、まだ時期尚早のようだ。ちなみに実現すれば、福岡、那覇などからは距離的には遠回りになるものの、かなり便利になる。福岡→羽田→成田→ロサンゼルス→ラスベガス が EVAの大阪経由に改善されたところで 3本乗り継がなければならないことに変わりはなく、台北からのノンストップ便の実現は意義深い。
 「台湾の人はギャンブルが好きなのでラスベガス便は需要的に十分成功すると思われるが」 との投げかけに対する Maさんのコメントは、「台湾人はまさにギャンブルが好きです。でも残念ながら今当社が力を入れているのはラスベガスではなくマカオです」 と、ラスベガス陣営としてはなんとも残念なそっけない返事。

 最後にエバー航空の呼び方について。日本ではエバ航空、エヴァ航空、イーヴァ航空などさまざまな呼び方や表記が存在しているので、それについてたずねたところ、JAL や ANA と同様、アルファベットをそのまま一文字ずつ読むことに統一しているという。つまり、「イー・ヴィー・エイ」 が正しい。
 ただ、日本ではすでに 「エバー航空」 で親しまれてしまっているため、とりあえず現時点では印刷物などもその表記を採用しているという。
 ちなみに JAL も少なくともアメリカではジャルではなく 「ジェイ・エイ・エル」、ANA も同様にアナではなく 「エイ・エヌ・エイ」 で定着しており、機内放送などでもそのようになっている。
 長くなってしまったが、今回の EVAの就航により、西日本からのラスベガス訪問者が急増することを期待したい。


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