週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2008年 02月 20日号
マナーやエチケットなんてクソ食らえ! 無礼講レストラン DICK'S
 初めての海外旅行を前に、レストランでの服装やマナーのことを気にする者は少なくない。たしかにラスベガスにも服装にうるさい店は少なからず存在しているし、音を立ててスープを飲んではならない、げっぷをしてはならないなど、異国のマナーやエチケットは大いに気になるものだ。
 今週は、「礼儀作法などの現地事情をまったく知らないので不安」 という海外旅行初心者にも安心して利用できる愉快な店を紹介してみたい。(右上の写真は客ではなく店のスタッフ。クリックで拡大表示)

 かなり古い話だが、かつて日本のお笑いグループ、ザ・ドリフターズが演じるテレビ番組の中に、「もしものコーナー」 というものがあった。
 「もしも、すごく不潔な寿司職人がいたら」、「もしも、いつもニコニコしている葬儀屋がいたら」 といった具合に、常識的にはありえない状況をおもしろおかしく演じるコーナーだ。
 そんなドリフターズが 「もしも、マナーなどが無秩序なレストランがあったら」 を演じたらどうなるのか。
 もしも受付嬢が受付デスクの上に乗って客を迎えたら、もしも男性店員が上半身裸になり女性客のひざの上に乗ってキスをしたら、もしも紙ナプキンを要求した客にウェイトレスが数十枚をまとめて紙吹雪のように投げつけてきたら、もしも女性客が突然自分のブラジャーを抜き取り店の壁に吊るしたら、もしも客が紙ナプキンを丸めて周囲の客に投げつけ雪合戦みたいなことが始まったら…。

 そんな 「もしもの世界」 のようなことが実際に許されている店がある。昨年エクスカリバーホテル内にオープンした DICK'S Last Resort だ。(左写真は同ホテルの外観。クリックで中央部にあるこの店の下品なマークを拡大表示)
 運営しているのは、ラスベガスを中心にナイトクラブやユニークなレストランを多数クリエイトしてきたエンターテーメント集団 Pure Group で、テーマは広報資料などによると 「Spreading Chaos」。

 「Pure社の企画なら納得」 という人もいるだろうが、この会社を知らない一般の日本人観光客がその悪ふざけぶりを見たら閉口するかもしれない。
 特にその無礼講ぶりもさることながら、まずは 「もったいない」 という思いが先にたつはずだ。
 とにかくここではエコロジー、京都議定書、再生紙問題、二酸化炭素問題などとはまったく無縁の世界で、テーブルの上に置かれている数十枚の紙ナプキンをまとめてとなりの客の頭の上に紙吹雪のごとくまき散らかすようなことが平気で行われている。だから床には常にいろいろなものが散乱している。

 客がそういった悪ふざけをすることを店側が認めているというよりも、ウェイトレスやウェイターたちが率先してそれをやってのけるから、もはや制御不能なカオス状態といった感じだ。そもそも店員の服装もまさにカオスで、客と店員の区別も付きにくい。
 「今日は誕生日」 というと、ケーキなどをサービスしてくれるレストランは少なくないが、この店の場合、スタッフとは思えないヘンな人物が寄ってきて、いきなり左上の写真のような過激なサービスを受けたりするので、それなりの覚悟が必要だ。

 なにやらメニューも無秩序がウリなのか、印刷物で用意されているものはわずかしかなく (ドリンクメニュースナックメニュー)、基本的には黒板に書かれたものが頼りだ。(写真右)
 なんともこの店らしく "Big Ass Burger" といった怪しげな名称 (Ass の意味は各自辞書などを参照のこと) の料理もあったりするが、そもそもこの店の名前の "Dick" 自体にも男性の性器を連想させる語感があるわけで、スタッフの振る舞いだけでなく、こういった文字の部分にも遊び心が感じられる。

 文字と言えば、紙で出来た帽子にスタッフが卑猥な言葉などを書いて客の頭に乗せたりする儀式もある。(写真左)
 言葉の意味がわからない日本人は笑いの餌食にされるかもしれないが、意味がわからなくても女性ならブラジャーを取って振り回したり、男性ならズボンを下ろすぐらいの逆襲の精神で応酬すれば、その場が盛り上がること間違い無しだ。ちなみにどんなに恥ずかしいことが書かれていても帽子を取らずにそのままかぶり続けるのがこの店の流儀というもの。
 なお、取ったブラジャーはまた身に付けるのではなく、自分の名前をサインして店に吊るして帰えるぐらいのノリを見せたいところ。ちなみに右下の写真でカウンターの上に吊るしてあるのがそれらブラジャーだ。(ここをクリック でさらなるブラジャー)

 ということで、マナーをまったく知らなくても、普通の日本人が普通の日本の感覚でふるまっている限り、まじめすぎると笑われることはあっても、マナー違反で注意されることは絶対にないので安心して足を運んでもらいたい。
 ただ、こんな無秩序な店でも唯一注意すべきルールがある。それはタバコ。全席禁煙だ。
 場所はエクスカリバーホテルのカジノフロア内。営業時間は 11:00am 〜深夜まで (特に閉店時刻は定められていない)。どうせ行くなら秩序が乱れカオス度がより進行している夕方以降がおすすめだが、夜遅くなればなるほど並ぶ可能性がある。バーカウンター席に座る際は、年齢を証明するIDの提示が必要。


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