週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 12月 05日号
まだまだ続くクラブの開業ラッシュ! 話題の新顔をチェック
 昨年7月、このコーナーで、ラスベガスで空前のナイトクラブブームが起きていることをお伝えした。JET や TRYST など、大型かつ豪華でスタイリッシュなインテリアをウリにしたクラブやウルトララウンジが続々オープンした。(右写真は LAX)
 しかし、ナイトスポットの開業ラッシュはまだまだ終わっていない。年末年始のパーティーシーズンを目前に控え、ここに来て再び、新クラブが次々と誕生している。この秋以降に開業した、最新のクラブとウルトララウンジを取材した。

 まず、もっとも大きな話題と人気を集めているのが LUXOR内にオープンした LAX。かつて RA というクラブがあった場所だ。
 ちなみに店名の LAXは 「ラックス」 ではなく 「エルエーエックス」 と発音する。
 同店は、ロサンゼルスはハリウッドにある同名クラブの姉妹店。ハリウッド店は、人気 DJ、DJ AM が経営していることでも話題を集めている人気店だ。
 DJ AM といえば、マドンナやウィル・スミスのアルバムに参加したり、レオナルド・ディカプリオやジェニファー・ロペス、ジェシカ・シンプソンら大物セレブリティーのプライベートパーティーでプレイしたこともあるという、いわばスターDJ。
 プライベートでも、ニコール・リッチー、マンディー・ムーアら、そうそうたる有名人と次々に浮名を流す、ハリウッドきってのモテ男の1人である。

 このたび LUXOR内にオープンした LAX は、このハリウッドの人気クラブのコンセプトを踏襲したものだが、支店ではなく、あくまで「姉妹店」ということになっている。
 DJ AM も出資はしており、レジデンス(常駐) DJ の1人になってはいるが、経営はラスベガスに本社を置く Pure Management Group 社が行っているからだ。
 ちなみに Pure 社は、シーザーズパレス内の超人気クラブ PURE のほか、TI 内の Tangerine などのナイトスポット、同じく TI 内の Social House をはじめとする複数のレストランを運営するマネジメント会社。ラスベガスのナイトスポットのプロデューサーとしては JET、Caramel、Mist、Diablo's Cantina などを経営する Light Group と並ぶ最大手だ。
 ラスベガスの LAXは、DJ AM のほか、クリスティーナ・アギレラも経営に参加している。彼女自身は開業後まもない 9月8日に登場、この日は店の前に赤じゅうたんが敷かれ、多くのメディアも集めて大いに賑わった。
 しかし、最も話題を集めたのは、なんといってもグランドオープニング当日で、記念すべきオープニングのホストを務めたのは、あのブリトニー・スピアーズだった。丸刈り事件、薬物中毒治療、離婚訴訟など、話題の渦中にある大物セレブが登場するとあって、この日は全米、いや世界中の注目が LAX に集まった。
 さて、肝心のクラブだが、最大のウリは 2400平方メートルの広さと豪華なインテリアということになっている。インテリアデザインのテーマカラーは赤で、壁からカウチまで、あらゆるものが赤で統一されている。
 壁は真紅のベルベットで覆われ、カウチは赤のレザー製、といった具合だ。クラブ内に赤という色の持つ情熱的なイメージが充満していて、華やかではあるが、インテリアデザインそのものは意外にシンプルといっていい。
 スタイルはヨーロピアン。PURE、JET、MOON など、最近の話題店はモダン、あるいは未来的ウルトラモダン、または 60年代風レトロモダンをコンセプトにデザインされたところがほとんどだが、それらとはまったく印象が異なっている。
 ベルベット、レザーと並んで、多用されている素材は鉄だ。例えば、階段の手すりが鉄でできており、デコラティブな模様が施されていたりする。
 というわけで、一見したところ一昔前風という感じもしなくはないが、どこもかしこもモダン一辺倒になってきていたのも事実で、他店との差別化を図るために、あえてヨーロピアンにしたということなのかもしれない。
 店内は2階建てになっており、1階の中央にふきぬけのダンスフロア、その両サイドにバーがあるというシンプルなフロアプランだ。フロアを見下ろす2階にはテーブル席がずらりと並んでいるが、一部、テーブルを買っていない一般客でもアクセスできるテラスがある。踊り疲れたらこのテラスに移動し、踊る人々や DJを眺めながらグラスを傾けることも可能。
 また、2階には赤いベルベットのカーテンとガラスのドアで仕切られた個室もある。取材時には利用されていなかったが、大物セレブをはじめとするVIPのためのラウンジだ。憧れの有名人を目撃できるかもしれないので、のぞいてみるといいだろう。
 ブリトニー・スピアーズを使った賢いPR作戦や DJ AM人気のおかげで、オープン間もなくラスベガスの人気クラブの仲間入りを果たしたLAX。いつも長蛇の列ができているので、コネやテーブル予約がない一般客は 1、2時間待ちを覚悟しておいたほうがよいだろう。

 次の注目店は、シーザーズパレスに隣接するショッピングモール Forum Shops 内にオープンした Poetry だ。
 ホテルではなくモール内にあるという異色のクラブで、場所はウォルフガング・パック経営のレストラン、シノワの2階。巨大木馬でおなじみの玩具店 FAO Schwarz の向かい側といったほうがわかりやすいかもしれない。これまで OPM というクラブがあった場所だ。
 OPM時代はシノワズリをコンセプトにしたアジア風インテリアだったが、大幅な改修工事でイメージががらりと変わり、インテリア全体のコンセプトとしては、ヨーロピアンモダンに生まれ変わった。
 テーマカラーはチョコレートブラウンで落ち着いた雰囲気だが、ところどころに壁画が描かれていて、このあたりにオリジナリティーが感じられる。壁画がライトアップされて浮かび上がる様子が幻想的で美しい。
 OPM時代はお洒落にはまとまりつつも、同じくアジアンスタイルのクラブ、ベネシアン内のTAOに比べると安っぽい印象が否めなかったのだが、Poetry に生まれ変わり、ゴージャスさもかなりアップした。
 フロアプランは前と同じで、階段を上って右手にメインのダンスフロアとバーがあり、左手にプライベートパーティーに使われることも多いというセカンドフロア、そしてこのエリアの両側に、ちょうど馬蹄型にテーブル席が並ぶ円形の廊下が続いている。この廊下にあるテーブル席からは、階下につらなるショップやレストランが見渡せ、開放感がある。
 ラスベガスにあるほとんどのクラブでは、座席はボトルを購入し、テーブルを予約した客専用になっているのだが、同店内には無料で座れる席が点在している。数は少なく競争率は高いが、このあたりは良心的だ。また、スタッフも総じて感じがよく、入口に立ちはだかる黒服ですら紳士的。
 OPMはハードコアなヒップホップクラブとして、地元に暮らすアフリカ系の人々の間で絶大な人気を誇っていたが、このコンセプトは Poetry になっても変わっていない。そのため、アフリカ系の客が圧倒的に多く、一見したところ、観光客よりも地元民の割合が高いという印象を受けた。
 服装も比較的カジュアルで、楽しそうに大騒ぎしている女性のみのグループが多い。ラスベガスのクラブシーンのトレンドを牽引している PURE、JET、TRYST などが、極めてスタイリッシュであるのに対して、こちらは気軽にワイワイ騒げる雰囲気だ。DJ の質の高さでは定評がある店なので、ヒップホップファンなら訪れる価値はあるだろう。

 最後に紹介するのは、Wynn にオープンしたウルトララウンジ Blush。
 ウルトララウンジ LURE を改装し、9月にオープンした新顔だ。
 フロアプランは LURE時代とほぼ同じ。入口を入って左手にバーがあり、奥にパティオがあるが、パティオからは間もなくオープン予定のベネシアンホテルの新館パラッツォの客室棟が望め、眺めもなかなかだ (写真右上)。
 インテリアのコンセプトはヨーロピアンモダンだが、ところどころにアジアのエッセンスを感じさせる演出もある。例えば、インテリアデザインの最大のポイントである天井のライティング。天井は 300ものランタン、つまりちょうちん風の照明器具で埋め尽くされているのだが、これがどことなくシノワズリ風だ (写真左下)。
 また、店のいたるところに飾られた大きな壷もアジア風。なお、天井のランタンは色が刻々と変わり、これが実に華やかで美しい。
 インテリアカラーはブラウン、深いグリーン、ゴールドなど。全体的に非常に高級感があり、大人っぽい印象を受ける。若者たちが大勢集まってワイワイ騒ぐ場所というよりは、恋人同士やカップルで静かに飲むのが似合う店といった感じだ。客層も高めで、スーツ姿の40代、50代のビジネスマンも多く見かけた。
 ちなみに、大理石を使った光るダンスフロアが中央にあることはあるのだが、取材時に踊っている人は1人もいなかった。
 LURE時代との最大の違いは、テーブルの数が増えたことだろう。LURE時代にはお立ち台があり、ここでプロのダンサーが踊るという演出があったが、今回の改装でこのお立ち台は姿を消した。また、バーの前に設けられていた、無料で座ることができるセクションもなくなってしまった。
 まだ新しく、人気も高かった LUREをなぜあえて改装するのかと疑問に感じていたが、テーブルを増やし、営業効率を上げるというのが最大の理由だったのだろうか。
 ラスベガスのクラブやウルトララウンジは高級化の一途を辿っており、座席はすべて有料なのがスタンダードになっている。1本400ドル以上するボトルを買わないと、座ることすらできないわけだが、このテーブルが何カ月も先まで完売という店も決して珍しくない。つまり、座席を増やせば増やすほど、店側にとっては増収になり、Blushはこうした目論見のもとにあえて多額を投じ、リニューアルオープンしたといっていいだろう。
 店そのものは高級感があり、落ち着いた雰囲気なので、大人世代を中心に幅広い世代におすすめできる。「夜遊びなんて何十年ぶりだろう」 という年配者でも、この店なら決して周囲から浮くことなく、気分よく飲めるはずだ。大型ナイトクラブと異なり、行列ができていることは少ないので、気軽に立ち寄ってみることをお勧めする。

 年末までに、ベラージオホテルのナイトクラブ LIGHT (すでに閉鎖済み)が、THE BANK という名称のクラブに生まれ変わってオープンする予定だが、こちらはまだ取材不能なので、機会を改めて紹介してみたい。


バックナンバーリストへもどる