週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 11月 14日号
巨岩と清流と紅葉が織りなす大自然の芸術、晩秋のザイオン
 地平線の彼方まで無味乾燥な荒野が続くラスベガス。そんな砂漠性気候のこの土地でも、少し足を伸ばせば、それなりの秋らしい景色を楽しむことができる。
 先週は赤く染まるエッフェル塔の話題を取り上げたが、今週は広葉樹で赤や黄色に染まる晩秋のザイオン国立公園を紹介してみたい。

 ユタ州南西部に位置するザイオン国立公園は、ラスベガスから北東方向に車で約2時間半から3時間。グランドキャニオンと並ぶアメリカ大西部を代表する雄大な渓谷だ。
 注目はなんといっても垂直に切り立つ巨岩群。あまりの大きさと、目の前に迫るその近さには、だれもが圧倒されることだろう。
 そんな巨岩の赤茶けた岩肌を見ていると、なにか砂漠を連想するような荒涼としたものを感じるが、ふと低いところに目を移すと、そこには清流が流れ、広葉樹が適度な間隔を保ちながら程よい密度で群生している。無機質な大地に生命を与えているその清流の名前はバージンリバー。なんとも美しい名前ではないか。

 音の存在や揺らぎを一切感じさせない堂々たる巨岩の男性的な雄姿。一方、静寂の中にも確実に聞こえるバージンリバーのせせらぎと広葉樹の間を通り抜ける微風が奏でる女性的な鼓動。この2つの絶妙な組み合わせによるコントラストはいつの季節に見ても美しいが、11月の今の時期はさらに格別だ。
 寒い冬を前にした晩秋の渓谷で、その両者が語り合いながら何かをやり取りしているかのような情熱的な紅葉はまさに芸術そのもの。葉から次第に消えゆく色が岩にしみこんでいく。そう思いたくなるほど、岩もこの時期になるといつもより赤く見えたりする。

 葉の色だけを語るならば、日本の紅葉の方が多彩で美しいだろう。ここのものは黄色が中心で単調だ。
 しかし巨岩に飲み込まれそうな空間のごく下方の一部だけにありながら、岩と一緒に渓谷全体を染めるザイオンの広葉は、葉の色だけでは語れない一種独特の美学がある。日本には存在しないまったく異質の自然芸術といってよいのではないか。
 これが見られるのは長くてもあと2週間。今の時期にラスベガスを訪れる者はぜひ足を運んでいただきたい。
(レンタカーでの道順などに関しては、[観光スポット]セクションのザイオンの項に掲載)

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