週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 10月 31日号
動物愛護の優しい気持ちで観たい "Dog Gone Silly"
 10月9日から、犬が主役というユニークなショー "Dog Gone Silly" が始まった。(右の写真は、このショーの人間側の主役 J.R. Johns 氏)
 内容的にも規模的にも、近年ラスベガスで主流のゴージャスなショーとはまったく異なる質素なショーだが、語学力を必要としないという意味で非英語圏の者でもハンデ無しで楽しめる上、動物愛護の観点からこのようなコンセプトのショーがラスベガスにあってもよさそうなのであえて取り上げてみた。

 場所は、プラネットハリウッドホテルのすぐ南側にある道路ハーモン通りに面した小さなステージ Harmon Theater。開演時刻は月曜日を除く毎日 3:00pm。
 したがって、このショーはナイトショーではなくアフタヌーンショーということになる。昼はショーを観る気分ではないかもしれないが、主要の無料アトラクションがまだ始まっていないなど、何もやることがない時間帯だったりするので、これはこれで便利と考えたい。小さな子供が眠くならずに楽しめる時間帯という意味で子連ファミリー族にもありがたいはずだ。
 また、このショーは、地元の子供たちをチャリティーで招待することが多く (実際に観客全体に占める地元民の割合が非常に高い)、午後3時は、高校生などが仲間同士で訪問することが許されている時間帯でもあり、この種のショーとしては理想的な開演時刻といってよいだろう。(ちなみにラスベガスのストリップ地区は 18才未満の未成年者に対して Curfew [夜間外出禁止令] が発令されており、未成年者だけでナイトショーを楽しむことはできない。Curfew に関する詳しい情報は観光局の 公式サイト まで)

 ショーの内容は、「看板やタイトルに偽り無し」 といった感じで、とにかく始めから終わりまで犬ばかりだ。
 ときどき舞台セットを入れ替える合間にヨーヨーを演じるパフォーマー Spike McGuire 氏が登場するが、お世辞にもうまいとは言えず、あくまでもオマケ的な脇役だ。
 では犬たちのショーがすごいのかというと、必ずしもそうではない。トラや象が出るようなゴージャスなショーとは根本的に異なり、かなり質素であることを承知の上で行く必要がある。大きな期待は禁物だ。

 犬のショーと言えば、すぐ近くの劇場 (プラネットハリウッドに隣接するショッピングモール内の V-Theater) で、動物を使ったショー "POPOVICH" が行われており、ついそれと比較してしまいがちだが、はっきりいってそっちの方が笑いも多く、総合的にも上かもしれない。
 しかしあちらは犬も出れば猫も出る。ジャグラーも出る。こちらは犬だけ。
 「それがどうした?」 と言われればそれまでだが、純粋に犬が好きな者は、こちらの方が感動できるだろう。
 まず犬の数が絶対的に多い。ちなみに現在は14頭 (全部が出演するとは限らないが)。そして、トレーナーでもあり主役 の Johns 氏が、やたらと素人っぽく、それがゆえに親近感や犬に対する気持ちのつながりのようなものが強く感じられ、どことなくほのぼのとしている。

 ちなみにその Johns 氏は、1970年代後半、動物のサーカス団として知られるリングリングブラザーズで経験を積み、その後、ラスベガスやリノのサーカスサーカスホテルを本拠地にしながら、テレビ番組などにも数多く出演してきたという長い経歴の持ち主。
 しかし、こういっては失礼だが、多くの観客は 「経歴のわりには大した演出ではない」 と思うことだろう。ではなぜ彼が、各方面で注目され評価されてきたのか。それは犬に対する愛情のような彼の強い動物愛護の理念といわれている。
 彼のプロモーターによると (たまたま今回 Johns 氏とは直接会って話を聞いていない)、じつはこのショーに登場する犬のほとんどは、シェルターなどから引き取られてきた犬ばかりだという。だから雑種が多い。ショーの合間で、彼の自宅での犬との暮らしぶりがビデオ映像で紹介されるが、本当に寝ても起きても犬と一緒という愛犬家だ。大型犬も多く、エサ代だけでもかなりの出費になるとのことだが、可能な限り一頭でも多くの犬を引き取りたい、そういう強い理念がないとやっていけないようだ。

 そのようなわけで、このショーは、単なるエンターテーメントとして観るのではなく、犬好きの者や彼の犬に対する取り組みに賛同できる者などが、チャリティーのつもりで入場料を支払い、動物愛護の協賛者として見に行くとよいだろう。そう考えて行かないと、観たあとで 「高すぎる!」 ということになりかねない。
 もちろん逆の意見、つまり 「引き取り手のいない犬を預かることまでは良いとしても、むりやり芸を仕込んでショーに使うのは動物愛護の精神に反する」 という考えもあるだろう。たしかにホンネの部分、つまり彼がビジネスや名声のために犬を飼っているのかどうかまではわからない。
 しかし、少なくとも表面的な部分ではそのようには見受けられなかったので、ここはひとつ素直に応援してみたい。
 ちなみに日本では、ブランド物のように高級な純粋種を買って来て飼うケースが多いようだが、アメリカではシェルターからの引き取りや、子犬が増えて困っている人などからのアダプトが日本に比べ非常に多いと聞く (人間のアダプトも非常に多いが)。このショーは、そんなアメリカの文化的背景を肌で感じられる一種独特のショーという印象を受けた。

 正味時間はちょうど1時間。チケット料金は、地元の雑誌や新聞などにさまざまな数字が書かれているが、10月28日時点における現場での価格は税込みで大人 $43.45、学生、シニア $32.45、3〜11才 $21.45、3才未満無料となっていた。
 会場のキャパシティーは 120人程度 (固定席ではないので、座席数は可変) で、指定席ではない。早めに入場して良い席を確保するようにしたい。
 場所は前述の通り、プラネットハリウッドホテルの南側に接している施設内にあり、行き方としては、巨大オートバイが目印のテーマレストラン 「ハーレーダビッドソンカフェ」 からハーモン通りを東側 (ハードロックホテル方向) へ 50m ほど入った左側。入口に大きく 「KRAVE」 と書かれているので (写真右上)、それを目印に探すとわかりやすい。(KRAVE は、この劇場が入っている施設の名前)


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