週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 10月 24日号
ウルトララウンジ付き TRADER VIC'S が Pハリウッドにオープン
 10月13日、プラネットハリウッドホテルの入口の脇、ストリップ大通りに面した一等地に、ポリネシアとアジアのフュージョン料理で知られる注目のレストラン TRADER VIC'S がオープンした。
(右写真の白いパラソルの部分。左の建物はベラージオホテル、中央奥はシーザーズパレス。クリックで拡大表示)

 何ごとにおいてもめまぐるしく変化するラスベガス、新規レストランの出現などまったく珍しいことではないが、そんな数多い新規店の中でも、この TRADER VIC'S は、露出度的にも知名度的にも今年一番の注目店といってよいだろう。
 場所は歩道に面しているため、見たくなくても見えてしまうほど露出度が高く、位置的にも向かい側がベラージオホテル、交差点を挟んだ隣がパリスホテルという絶好のロケーションだ。少々大げさな表現になってしまうが、この店の出現によって、この交差点一帯の景観や雰囲気が少し変わったといっても過言ではない。

 サンフランシスコを発祥の地とするこのTRADER VIC'Sは 70年以上の歴史を持つ世界ブランドで、古代ポリネシア文化をモチーフしたユニークなロゴがトレードマークだ。
 店舗数は現在 29軒。数的には驚くに値しないが、その分布状況はかなり特徴的でだれもが驚くことだろう。
 一般のチエーン店は経営効率を考え、得意とする地域に重点的に事業展開するものだが、TRADER VIC'S の場合はまったくちがう。全世界の主要都市に一ヶ所ずつ店を出すといった感じの戦略で、具体的には東京、ロンドン、ミュンヘン、ベルリン、上海、北京、台北、バンコク、ドバイ、ベイルート、アブダビ、シカゴ、ダラス、アトランタなど、どこに重点を置いているのかわからない不思議な店舗展開だ。アンマン、ヨルダン、レバノンの各都市にもあるので、やや中東に集中しているともいえるが、全体としては重点地域というものが見えてこない。ちなみに東京店は、ホテルニューオータニの中にある。

 これだけ世界中に分布していると、どこかの国で行ったことがあるという者も少なくないはずで、「もう知っているからラスベガスで行く必要はない」 と考える読者も多いことだろう。しかしそれは早合点かもしれない。
 今回の取材の窓口となってくれたマイクさんによると、このラスベガス店だけは世界で唯一まったく異なるコンセプトで運営されているという。
 ちなみにマイクさんはニューオータニ店やスコッツデール店 (アリゾナ州) の開業にもたずさわるなど、各地の TRADER VIC'S を熟知しているベテランスタッフだが、そんな彼が 「ここだけはまったく別」 と言い切るほどラスベガス店だけは特別らしい。
 まずインテリアが、南国調の野性味あふれるポリネシア系ではなく、ごく普通の都会的なデザインになっており、店内に点在するトーテムポールのような大きな TIKI (ポリネシア文化における精霊。右写真の右側) を見なければこの店が南国をテーマにしていることに気が付かない。
 また、TRADER VIC'S のシンボルともいえる巨大な窯 「チャイニーズオーブン」 も、このラスベガス店にはない。創業者が中国を旅していたときに発見して導入したとされる古代中国風のその窯は、他の店では客から見える位置にどーんと鎮座しており、そこで焼いた肉が自慢の料理ということになっているが、残念ながらラスベガスでは高層ホテルに隣接しているなどの理由から消防当局からの許可が下りず設置を断念したという。結果的に料理も多少異なっているらしい。

 そしてラスベガス店最大の特徴は、ダイニングルームの上がウルトララウンジ (写真左) になっているということ。これはラスベガス店が初めての試みで、運営はまだ試行錯誤で仮オープンの状態だが、ポリネシアやアジアの気配などはまったくなく、通常の TRADER VIC'S とは明らかに異なることがわかる。
 ちなみにラスベガスで言う 「ウルトララウンジ」 とは、ナイトクラブほどは騒々しくないやや小ぶりのナイトスポットと考えればよいだろう。
 そのような環境にあるため、ダイニングルームに流れる音楽はロックであることが多く、南国ムードとはおよそかけ離れた雰囲気が漂っている。
 このスタイル、つまり 「下が食事、上がクラブ」 という形態は、ベネシアンホテルの TAO、パリスホテルの AH SIN (上はRISQUE) と同じで、そしてなぜか、TAO も AH SIN も料理がアジア系というところが興味深い。参考までに、客の入りという意味では TAO は絶好調だが、AH SIN および RISQUE は絶不調だ。

 話はダイニングに戻るが、ロックのBGMが流れる騒々しい雰囲気がきらいという者は、ストリップ大通りに面した屋外席がよいだろう。特に今の季節は気持ちがよい。席によってはベラージオホテルの噴水ショーも見ることができる。(右の写真は、屋外席から見た噴水ショー)
 この屋外席を希望する場合は、入口のスタッフに PATIO SECTION (パティオゥと発音する) と言えば通じるはずだ。

 さて気になる料理だが、ポリネシア風とはいえ、基本的にはアジア料理のため、日本人の味覚に合うものが総じて多い。ただ、開業して日が浅いためか、シェフによって、もしくは日によって、同じものを注文してもかなりバラツキがあることを覚えておこう。
 たとえば左の写真、マグロの刺身をフライにしたような料理で、左半分はきれいなピンク色をしていて絶妙な味だったが、翌日、おいしかったからといってまた同じものをオーダーしたら、火が通りすぎていてパサパサのマグロ (写真の右半分) が出てきた。
 それでも全体としては、他の店に比べ、まともな料理が多いように思われ、値段を除けば後悔するような目に遭う確率は低いだろう。
 なお、バラエティーに富んだ料理を楽しみたい場合は、メニュー内で 「Main」 となっているフルサイズの料理をオーダーするよりも、「Finger Food」もしくは 「Starters」 のセクションに書かれている小さな料理をたくさんオーダーしたほうがよいだろう。興味深い料理が多いからだ。なお、少なくともこの店では、メイン料理をオーダーしなくても特に失礼ということはないはずだ。そもそもこの店はバーとしても機能しており、「フィンガーフード & アルコール」 という客も少なくない。

 営業時間はまだ試行錯誤の状態が続いているため流動的だが、ダイニング部門が年中無休で 11:30am 〜 10:00pm ぐらいまで、上の階のウルトララウンジが火曜日と水曜日を除く 9:00pm 〜 4:00am。以下はメニューと、試食したアイテムの感想。

Finger Foods  Starters  Wok  Salads  Sandwiches  Main  Dessert

BREAD : Free
無料で出てくるパンと一緒にサーブされるのが、この店特製の4種類のソース。BBQソース、ピーナツバター、マスタード、わさびアイオリ。しかしわさびアイオリは人気がいまひとつなのか、今後変わる可能性あり。
MAI TAI : $9.50
これを飲まなければこの店に来た意味がない、というほど有名なのがこのマイタイ。味は想定内で悪くはないが、料金の割りにグラスが小さく、そして中身も氷ばかりでほとんど飲むところがないのが難点。
BONGO BONGO SOUP :  $7.50
緑と白の2色のコントラストが美しいスープで、牡蠣の風味が良く出ていてクリーミーな味わい。もちろん緑の部分と白の部分で味も舌触りも異なる。これはかなりおすすめしたい。
TOM KA GAI : $7.50
タイ料理の定番ともいえる ココナツミルクベースの鶏肉入りスープ。完成度は高いが、想定内の味という意味では上記のスープに比べ感動が少ない。アメリカ人に合わせているのか比較的マイルドな酸味。
COCONUT CHICKEN : $7.00
軽い感じにうまく揚げてある。サクサク感が心地よい薄いカツといった感じ。チャンツァイが添えてあるところが、チキンの味にマッチしてなかなか美味。
BBQ KOBE SHORT RIBS : $11.50
薄くスライスしたビーフは外側が焼いてあり、中が半生。ビーフそのものは非常によい。周囲にあるのは BBQソースかと思いきや、甘い味噌風味のタレでイマイチ。付け合せの 「梨のサラダ」 は不思議な食感。
TRADER VIC'S ALL INN FRIED RICE : $19.50
エビ、ロブスター、チキン、チャーシューが入ったチャーハンで、味付けは人畜無害といった感じのクセの無い風味。拡大写真の左上に見えるものは、醤油さし。(なぜか醤油が付いてくる)
THAI RED CURRY (Tofu) : $17.95
なす、パプリカ、紫たまねぎ、バジルなど、具沢山のカラフルなタイカレー。ルーは少なめで、アメリカ人の口にも合うマイルドな味。ライスが別の食器に入って付いてくる。
DOMESTIC LAMB CHOPS : $33.95
レアを頼んだら本当に刺身のようなやわらかい生状態で出てきたので感動。パイナップルとチャツネの甘いソースに、付けあわせのカレー風味のビーフンも肉にマッチしていた。
PINK PEPPERCORN CRUSTED AHI : $26.95
盛り付けは美しいが、味は何の主張もなく平凡。せっかくのマグロの刺身も、このように火が通り過ぎてしまうとツナ缶のようにパサパサしてしまう。フライドライスの春巻きはアイディアとしてはおもしろい。
MALAYSIAN BEEF SATAY : $7.50
マレーシア料理の定番で、味付けは想定内だったが、肉は想定外に柔らかく、一瞬、半生状態のレバーかと思ったほど。カレー風味の肉に、チャツネを付けて食べる。
CRISPY DUCK TACOS : $9.00
甘い海鮮醤で味付けされたダックが、カリカリに揚がったかなりサクサク感のある皮に乗って出てくる。タコスという名前が付いているが、食感的にメキシコのものとはまるでちがう。味付けは完全にチャイニーズ。
BBQ PORK SPARERIBS : $9.95
肉は非常に柔らかくて美味だが、ソースが標準以上に甘い。また、そのソースは仕上げとして上に掛けられていたが、できれば肉を焼く前の段階から絡めて香ばしく焼いた方がよいと感じた。
PINA COLADA : $8.00
タルトビスケットの上にパイナップルとバニラアイスとミント。それらを、皿の上に描かれたキャラメルソースと一緒に食べる。アメリカで食べるデザートとしては悪くない。
KAUAI COFFEE CREME BRULEE : $8.00
コーヒーカップという意表を突いた器に入ってくるが (コーヒー味ということを考えれば不思議ではないが)、味は極めて標準的。固さはやや軟らかい感じで、そのためか、かなりクリーミーな食感。
RUM ICE CREAM : $8.00
ラム酒味のアイスクリーム。それ自体は非常に美味だが、ソースが甘すぎるので、ソースはないほうがいいかも。ピーカンがカリッとしていないのも残念。
BANANA FRITTER : $8.00
バナナの天ぷらに、バニラアイスとチョコレートソースを添えたもの。予想や見た目に反して、かなりおとなしいスッキリした味。
TRADER VIC'S CHEESECAKE : $8.00
マーマレードのソースが添えられたシンプルな味わい。この店のデザートは、どれも総じてシンプルで、すごい当たりもなければ、ハズレも少ない。
COFFEE : $2.00
レギュラーコーヒーは、このような南国情緒漂う演出で出されてきた。アメリカのコーヒーとしては香りもしっかりしていて悪くない。


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