週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 08月 22日号
フリーモントイースト、8月24日に点灯式。今後の発展には疑問。
 今年の1月からダウンタウン地区で工事が進められてきた "Fremont East District" (写真右、クリックで拡大表示) が、このたび完成する運びとなり、8月24日にその完成を記念して路上パーティーおよびネオンサインの点灯式がおこなわれる。

 まず、ラスベガスの地理に詳しくない読者のために、この場所について説明しておきたい。
 ダウンタウン地区は、大型ホテルが立ち並ぶストリップ地区の中心街から北北東方向に約7kmの地点にあり (ストリップ地区との位置関係の地図)、そしてそのダウンタウン地区にある有名な電飾アーケード "Fremont Experience" の東側に位置するのが今回オープンする Fremont East District だ (ダウンタウン地区の地図)。

 ではこの Fremont East District とはなにか。ディストリクトという言葉が示すとおり 「区域」 のことで、個別のアトラクションや施設の名前などではない。具体的には、フリーモント通りとラスベガス大通りの交差点を基点として東側に伸びる約300メートルほどの道路 (フリーモント通り) 沿いのエリアのことで、終点は 8番通り (Eighth Street)との交差点。

 道路自体が新しくできた、というわけではない。新しいどころか、この付近一帯はラスベガス屈指の古い街並みを残すエリアで、フリーモント通りは何十年も前からこの場所に存在している。
 つまり、Fremont East District とは、古ぼけた街並みをきれいに再生し、新たに命名されて誕生した区域のことだ。

 では、どこがどのように新しくなったのか。その前に、実はこの区域、これまでは決して雰囲気のよい場所ではなかった。もっとわかりやすく言ってしまえば、場末風の少々物騒な場所で、そこでは浮浪者やホームレスを見かけることもごく普通の光景だった。
 そんな雰囲気を払拭しようというのが今回の改造で、具体的には歩道の改装、中央分離帯や街灯の新設、ヤシの木の植樹、そしてラスベガスらしい派手なオブジェの設置など、ハード的な部分が中心だ。しめて予算は 550万ドル。ラスベガス市と該当エリアの企業などがその費用を負担しているという。
(なお、ハリウッドの歩道で見られるような 有名人の名前を刻したプレート も設置され始めているが、こちらは 「ラスベガスゆかりの有名人」 の数が集まりにくいのか、まだほとんど作業が進んでいない)

 とりあえずはきれいに整備され、物騒な雰囲気はほとんどなくなったが、では今後ここに人が集まり観光名所となり得るのかどうかとなると、それは大いに疑問だ。なぜなら、ハード的な部分が改装されただけで、人をひきつけるために必要なソフトの部分では、まだ何も工夫がなされていないからだ。
 生バンドや大道芸人が常時出没するようなことにでもなれば、そこそこ人が集まるかもしれないが、それはすでに Fremont Experience の方でおこなわれており、現実的ではないだろう。こちらのエリアにはホテルが少なく (小さなモーテルはたくさんあるが)、人通りがいちじるしく少ないため、大道芸人を見に来る客がいないという以前の問題として、大道芸人自体がこの場所でやりたがらないのではないか。

 そうなると、集客には魅力的な店やレストランが必要不可欠ということになるが、残念ながらその部分においては以前とほとんど変わっていない。銀行口座を持たない日雇い労働者などを相手に高い手数料を取ってビジネスをしている小切手換金商 (写真左)、電話を持たない人のためのテレフォンカード店、タバコ店、入れ墨店など、今までの怪しげな雰囲気の街で怪しげな人たちを相手に商売をしてきた店がほとんどそのまま残っている。

 そのようなわけで、集客という意味では心配だらけの Fremont East District だが、とにかく 8月 24日の 7:00pm からオープンニングパーティー、そして日没後の 7:45pm には各種オブジェの点灯式が行われる。ラスベガス市長も出席する予定だ。
 市長といえば、5年前に完成したラスベガス市主導のプロジェクト "NEONOPOLIS" (映画館、ボウリング場、小売店、レストランなどを一堂に集めた複合施設) は、ものの見事に失敗し現在はほとんど廃墟と化しているが、その場所は今回の Fremont East District のわずか数十メートル西側だ。西側の方がダウンタウンのホテル群に近く人通りがはるかに多いことを考えると Fremont East District の前途は多難といわざるを得ない。少なくとも、現在近隣の場所で建設中の高層コンドミニアムが完成し、周辺人口が増えるまでは、極端な活性化は望めないのではないか。

 ここまで読んだ読者から、「そんなつまらない場所なら取り上げるな」 と言われそうだが、ひとつだけ楽しめそうな場所があるので紹介しておきたい。
 それは "World's Largest Pint Glass"、つまり世界最大のビールグラスをウリにしているビールパブ Hennessey's Tavern だ (写真左)。
 もちろん本物のグラスではなく、単なる外壁の装飾だが、そのバカバカしい発想や遊び心は素直に評価したいし、それを楽しみたい。料理もいろいろあるので、アルコールが苦手な者でも楽しめるはずだ。
 なお、このパブはフリーモント通りとラスベガス大通りの交差点の南西カド、つまり厳密に言えば、Fremont East District 側ではなく Fremont Experience 側にあるが、どちらにあるかに関係なく、Fremont East District を見に行ったついでにぜひ立ち寄ってみたい店だ。いや、この店に行ったついでに Fremont East District を見ればいいのかもしれない。

 最後に蛇足ながら、この Fremont East District の東端には、Western Hotel という小さなホテルがあり、そこのカジノでは最低賭金が3ドルのブラックジャックテーブルがある。 ルールも決して悪くなく、「2デック、ダブルダウンいつでもあり、ブラックジャック 1.5倍」 だ。
 やってみたいが予算がきびしい、という人や、初めてなので安いレートで練習したい、という人は行ってみる価値があるかもしれない。ただし場末風の怪しげな雰囲気が漂っているカジノであることだけはあらかじめ承知しておいたほうがいいだろう。


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