週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 07月 04日号
客室内でバスケットボール!? パームスの超豪華スイート
 ストリップ大通りからやや離れているため、日本人観光客にはなじみが薄いホテル、パームス。(写真右。クリックで拡大表示)
 しかし、このパームスこそが、ブリトニー・スピアーズをはじめとする大物セレブが常宿にしているラグジュアリーホテルだ。
 そのパームスの新館 Fantasy Tower (右写真内の左側の棟) には、そんなセレブ客が宿泊する超高級スイートルーム、Fantasy Suites がある。
 今回、「ラスベガスで最もユニークかつ高級なスイートルーム」 として注目されている Fantasy Suites に潜入した。

 Fantasy Suites があるのは、6億5000万ドルをかけて建てられた新館 Fantasy Tower 内。40階建てのタワー内には347の客室があるが、この一部が Fantasy Suites と呼ばれるテーマ性のある超高級スイートルームになっている。
 Hot Pink Suite (写真左下)、Erotic Suite、Director's Suite など、オリジナリティー溢れる名前が付けられた各 Fantasy Suite は、ベッドルームの数が多い、調度品が豪華など、これまでのスイートルームとは一味も二味も違ったユニークなインテリアとアメニティーが特徴だ。

 今回はこの Fantasy Suites のなかでも、もっとも宿泊料が高いとされる3室、Kingpin Suite、Hardwood Suite、そして Hugh Hefner Sky Villa を見学した。
 それでは、高級スイートルームの概念を大きくくつがえす、ゴージャスかつ独創的な客室内の様子を徹底レポートしよう。

 まずは、Kingpin Suite。ボウリングのピンのうち、中央にある5番ピンを Kingpin と呼ぶが、そのネーミングの通り、このスイートにはなんとボウリングレーンがある。
 しかも、ミニサイズのレーンなどではなく、長さ約24メートルの、れっきとした公式サイズのレーンだ (写真右下)。
 もちろん一般のボウリング場にあるものと同様、全自動式のスコアリングマシンも装備され、またボールも多数用意されている。夜中であろうが早朝であろうが、心ゆくまで何十ゲームでも楽しむことが可能だ。
 ドアを開けて、まず目に飛び込んでくるのが、リビングルームの中央にでんと構えたそのボウリングレーン2レーン。
 レーンを取り囲むような形でバー、さらに大きなカウチを配したラウンジが設けられており、全面ガラスの窓からはストリップの絶景が一望できる。壁には巨大な薄型テレビも配されており、飲みながら、またはボウリングを楽しみながら映画やテレビを鑑賞したりすることが可能だ。
 インテリアのコンセプトはレトロモダン。実際に部屋を見るまでは、派手に飾られたケバケバしい部屋かと思っていたが、予想に反してかなり洗練されており、ホテルのリビングルームというよりもボウリング場付きの洒落たラウンジ、といった感じだ。
 スイート全体の広さは 4,240平方フィート (394平方メートル、120坪)。リビングルームの両サイドには、これまた広々とした贅沢なベッドルームが1室ずつあり、黒とオレンジを基調にしたモダンなそのベッドルームには、バスケットボール選手でもゆったり寝られるという一般的なベッドよりも約50センチほど長いキングサイズのベッドが備えられている。バスタブもビッグサイズで、もちろんジャクージ付きだ。
 さて、気になる宿泊料金だが、1泊 15,000ドルと、庶民には手の届きにくい設定になっている。だが、あきらめるのはまだ早い。この部屋は 100人まで収容可能とのことなので、100人で折半すれば手の届くレベルになる。100人全員が寝るスペースはないが、バースデーパーティーなどの会場としてならば十分活用できるだろう。気の合う仲間を集めて、プライベートボウリングパーティーなどというのも楽しそうだ。

 次に見学したのは Hardwood Suite (写真左)。このスイートの目玉はずばり、バスケットボールコート。
 広さ約1万平方フィート (929平方メートル、281坪) と、Kingpin Suite の2倍以上の広さを誇る巨大スイートは吹き抜け2階建て構造になっており、エントランスを入ってすぐのところにバーとラウンジがある。バーといっても単なるバーカウンターではなく、クラブにあるような立派なものだ。そしてそのバーの奥に広がるリビングスペースも広々しており、そこには洒落た大型カウチが配されている。
 リビングスペースの左手にあるバスケットボールコートはハーフサイズとはいえ、床などの素材はすべて公式コートと同様のもの。本格的な電光表示のスコアボードも用意されており、NBAプレイヤーになった気分でバスケットに興じることが可能、というのがウリだ。もちろんボールなどの備品も完備している。
 なお、コートには折りたたみ式のベッドが3つ用意されており、ゲストにここで休んでもらうことも可能だ。
 それだけで驚いてはいけない。この部屋には、NBAプロもビックリの本格的なロッカールームやシャワールームまで備えられている。もちろんここは体育館ではなくスイートルーム。ベッドルームもあれば、当然風呂もあり、着替えをしたりシャワーを浴びる場所に困ることはない。しかし、専用の施設があれば、ゲームに向けた気分はいやおうにも高まろうというもの。これは 「NBAプロになった気分を満喫してください」 という、ホテル側の贅沢な遊び心だ。
 ちなみに、パームスのオーナーであるジョージ・マルーフ氏は、NBA のサクラメント・キングスのオーナーだ。
 「なぜスイートにバスケットボールコートが必要なのか?」 と頭をかしげた読者もいるかもしれないが、大のバスケットボール好きの彼にいわせれば 「コートがあったら楽しいじゃないか」 という、極めて単純な動機らしい。プロ気分をもっと高めたい、という人のためには、チアリーダーの手配も行っているというから、まさに至れり尽くせり。金さえ出せばなんでもできてしまう、というラスベガスならではのスイートルームだ。
 バスケットコート以外の施設も言うまでもなく超豪華で、ベッドルームは1階と2階にそれぞれ1室ずつ。どちらも Kingpin Suite と同様、特別仕様の大型ベッドが備えられており、居心地が悪いほど広々している。
 インテリアはモダンで、テーマカラーは黒とブラウン。ゴージャス感を出しながら、ギラギラした感じはまったくなく、洒落た大人の空間といった感じだ。1階にあるマスターベッドには、1度に5、6人は十分入れそうな大きな円形ジャクージも。また、2階にはプールテーブルを備えたゲームルームがあり、ここからもストリップの見事な景色が望める。
 とにもかくにも、そこらの一軒屋よりもずっと広いという迷子になりそうな巨大ルーム。客室というよりも、ベッドルーム付きのクラブ兼体育館といったほうがぴったりくる実にユニークなスイートルームだ。客室料金は、ラスベガス最高クラス、いやおそらく世界最高クラスと思われる1泊 25,000ドル。ちなみに、こちらは 325人まで収容可能とのこと。

 しかし、これで驚いてはいけない。パームスが誇る最高級スイートはまだ他にある。その名は Hugh Hefner Sky Villa。名前の通り、この部屋のテーマは、プレイボーイの創始者であるヒュー・ヘフナー氏。この部屋では、80歳になった今でも現役で常にセクシーなプレイメイツに囲まれている同氏になった気分が味わえる、というからなにやら興味深い。ちなみのこのホテル棟の最上階付近の施設にはプレイボーイをテーマにしたカジノがある。
 Hugh Hefner Sky Villa があるのは、Fantasy Tower の34階と35階。この2階建て構造のスイートの最大のウリは、空中に突き出す巨大ジャクージだ (写真右上)。
 広々としたバルコニー全体がジャクージになっており、柵が透明の強化プラスティックでできているため、ここに入れば、湯につかった状態からでもストリップの夜景が堪能できる。高所恐怖症の者なら足がすくんでしまうかもしれないが、これほど贅沢でセクシーなスイートは世界広しといえども他にないだろう。
 20人、いや 30人が1度に入ってもたぶん大丈夫な巨大ジャクージ。底にはプレイボーイのトレードマークであるうさぎのマークも入っている。ここでセクシーな女性たちに囲まれれば、VIP気分も最高潮、間違いなしだ。
 ヒップホップのプロモーションビデオによくあるジャクージでビキニ姿の女性を両脇に従えシャンペンのグラスを傾けるシーン。ボウリングもバスケットボールも悪くはないが、世のプレイボーイにとってはこれぞ究極のファンタジーといってよいだろう。
 スイート全体の広さは 9000平方フィート (836平方メートル、253坪)。部屋の中央にはエレベーターがあり、それを囲む形で1階にはフルバーを備えた広いリビングルームとベッドルーム、2階にはメディアルームとマスターベッドルームがある。
 写真で紹介できないのが残念だが(広報部門側が、このスイートの写真だけまだ用意していない)、インテリアのコンセプトは、プレイボーイ文化が花開いた1960年代をモチーフにしたレトロモダン。テーマカラーは赤と黒。へフナー氏のトレードマークであるビロードのスモーキングガウンを思わせる真紅がさまざまな場所であしらわれ、怪しげでセクシーな雰囲気が漂っている。また、部屋のいたるところにプレイボーイの表紙を飾ったプレイメイツの写真が飾られているのも特徴のひとつで、先日、急死したアナ・ニコル・スミスがコケティッシュに微笑む写真も飾られている。
 2階のマスターベッドルームには、ヘフナー氏のシカゴの自宅にある有名な丸ベッドをコピーしたものが置かれており、赤いビロードでカバーされたこの巨大なベッドはゴージャスなだけでなく、回転もする。一昔前のラブホテルにありそうな設備といってしまえばそれまでだが、これもプレイメイツに囲まれて過ごす一夜には不可欠なものなのかもしれない。その隣には、これまた15人は入れそうな巨大円形ジャクージ。これでもか、というほど贅沢でセクシーな仕掛けが盛りだくさんだ。
 ちなみに、Hugh Hefner Sky Villa の1泊の料金は 40,000ドル。Hardwood Suite ではチアリーダーの手配が可能だが、残念ながらここではプレイメイツの手配は不可能とのこと。自前で調達しろ、ということのようだが、「Hugh Hefner Sky Villa に部屋を取ってある」 といえば、意外と簡単に集まるのかもしれない。

 というわけで、1泊 15,000 から 40,000ドルと、宿泊料もケタ外れな Fantasy Suites。いったい誰がこんな大金を払って泊まるのだろうか、と不思議に思う者もいるかもしれないが、案内してくれた広報担当者によると、宿泊施設として利用する客は少数派で、多くの場合、パーティー会場として利用しているという。
 ブリトニー・スピアーズ、パリス・ヒルトン、ジャスティン・ティンバーレークなどは、すでにこれらスイートをバースデーパーティーの会場として借り切っているとのことだが、一般人の場合、個人よりもむしろ企業の利用が多いらしい。つまり、ラスベガスでのコンベンションに参加する企業が、新商品発表のパーティー会場として利用する、というパターンだ。たしかに、めったに足を踏み入れることができない超豪華スイートでのパーティーともなれば、ニュース性もあり、集客効果も大きそうだ。
 「部屋の中にバスケットボールコートやボウリングレーンを作るなんて馬鹿げている。そんな部屋に大金を払って泊まるヤツがいるのか」 というのは素人考えで、この Fantasy Suites はこうした実にユニークなアイデアと計算に基づいて造られていた、というわけだ。実際、2日に1日は利用されており、経営的にも大成功を収めているという。趣向を凝らしたパーティーで招待客をあっと言わせてみたいというコンベンションの幹事などは利用を真剣に検討してみてはいかがだろう。


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