週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 05月 30日号
ファミリー客に便利なキッチン付きコンドホテル "SIGNATURE"
 ラスベガスの宿泊施設は近年、著しい多様化を見せている。90年代に一世を風靡した 「家族で楽しめる大型テーマホテル」 から、ここ数年の 「大人のための高級エンターテインメントホテル」 への変化、そして最近はコンドミニアムスタイルのホテル (コンドホテル) が注目されている。
 今週は、子連れ旅行が増える夏の旅行シーズンを目前に控え、ファミリー族に便利なコンドホテル、The SIGNATURE at MGM Grand (以下 SIGNATURE と省略) を紹介してみたい。
(右上の写真のモノレールの後方の建物が SIGNATURE。クリックで拡大表示)

 現在ラスベガスはコンドミニアムの建設ラッシュ。なかでもストリップ地区周辺では、トランプタワー (左写真の金色の建物) をはじめとする高級コンドミニアムの建設がいたるところで進められている。
 今回紹介する SIGNATURE も、そんな高級コンドミニアムのひとつで、昨年6月に第1棟、12月に第2棟が完成し、第3棟もまもなく完成する。物件の販売も順調で、第1棟、第2棟はすでに完売、第3棟も残りわずか (完成前から販売している) というから、なんとも景気がいい。(右下の写真、中央手前から右奥に第1棟、2棟、3棟)

 ちなみに、第3棟の販売価格はスタジオスイート (1ルーム) で 57万5000ドル〜75万ドル (フロアの階数や窓からの景色などで価格が異なる)、1ベッドルームスイートで 69万5000ドル〜100万ドル、2ベッドルームスイートで 150万ドル〜190万ドルで、価格を聞いただけでもその豪華ぶりがうかがえる。
 つまり、この SIGNATURE はコンドミニアム、日本でいうところのマンションとして建設されたわけだが、これを住居として買う者は少数派で、実際にはオーナーのほとんどがセカンドホーム、あるいは投資目的で購入しているという。

 こうした市場の特質を生かし、SIGNATURE は、オーナー自身が利用していない期間、これをホテルとして一般旅行者に貸し出せるシステムを採用している。
 その部屋の管理、サービスの提供、マーケティング等を MGM Mirage 社が代行し、宿泊料収入を同社と各オーナーで折半するという仕組みだ。
 したがって、ここをホテルとして利用する者は、見知らぬ個人が所有するマンションに泊まることになるわけだが、今述べた通り、管理やサービスなどの運営はすべてホテル運営のプロである MGM Mirage 社が行っているため、滞在そのものは一般のホテルとなんら変わりはない。

 SIGNATURE (右写真の右半分に見える建物) は MGMグランドホテル (同、左半分の青緑の建物) の北東側にあり、同ホテルとは回廊で結ばれ、徒歩で移動できるようになっている。ちなみに現在 SIGNATURE が建っている場所は、2000年 9月まで遊園地 MGM Grand Adventures があった場所だ。

 第1棟、第2棟ともに、1階には広々としたロビーがあり、両側にはチェックインカウンター、コンシェルジェが設けられ、コンドミニアムというよりも、もはや完全にホテルといった感じだ。
 インテリアのコンセプトは、第1棟はコンテンポラリー、第2棟はモダンだが、いずれも大人の雰囲気を漂わせる洗練されたデザインに仕上がっている。

 ラスベガスの一般的なホテルとの最大の違いは、カジノがないことだろう。ブランドショップなどのアトラクションも存在しないため、オーナーもしくは滞在客以外の人々がここに足を踏み入れることはめったになく、人が少ないのが特徴。そもそも宿泊者用のキーがないと、この付近にアクセスすることすらできない。車で正面玄関に乗り付ける際も、右の写真のような守衛付きのゲートを通過しなければならない。
 そのため、施設全体が実に静かで、ロビーにもリラックスした雰囲気が漂っている。それでもギフトショップ、スターバックス、デリカテッセン、ビジネスセンターなど、宿泊者の便宜のための施設は一通り整っているので安心だ。
 各棟とも客室数は 576室あり、ホテルとしての規模は決して小さくないが、各フロアの客室数はわずか 16室と少ないため、エレベーターから客室までの移動距離は短い。
 客室はジュニアスイート、1ベッドルーム、2ベッドルームの 3タイプがあり、宿泊料金はジュニアスイートで 1泊 200ドルから、1ベッドルームで 310ドルから、2ベッドルームで 510ドルから、となっている。(あくまでもこれら数値は目安であって、実際には需給バランスによってかなり変動する)

 客室内のインテリアはコンテンポラリー。オフホワイト、ブラウン、グレーなど、落ち着いた色合いでまとめられた部屋は高級感もありエレガントな雰囲気。
 ジュニアスイートの場合、ベッドルームの奥にリビングエリアがあり、広さも 550平方フィート (約 51平方メートル) と、一般的なホテルのスタンダードルームに比べ、かなりゆったりしている。なお、ベッドはすべてキングサイズだが、リビングにはソファーベッドがあるため、3人まで滞在できるのもファミリー族にはうれしい。バスルームも十分広く、バスタブとは別にシャワーブースがあるのもいい。バスタブ (写真左上) はジェットバス付きだ。

 この SIGNATURE の最大の魅力は、全室にキッチンが付いていることだろう。ジュニアスイートの場合は 「キチネット」 と呼ばれるミニキッチンだが (写真右)、冷蔵庫、電気ミニコンロ、電子レンジ、コーヒーメーカー、トースター、ブレンダーなどが備えられているほか、食器類も完備している。本格的な料理を作るには少々心もとないが、朝食を作ったり、インスタント食品を調理したりするには十分な設備といっていいだろう。
 一方、1ベッドルーム、2ベッドルームにはフルサイズのキッチン (写真左下) があるほか、4人用のダイニングテーブルも用意されている。冷蔵庫も大型のものが備えられ、オーブンも完備。こちらのキッチンなら、料理自慢の腕を振るうことも十分可能だ。
 その他のアメニティーとしては、大型の薄型テレビ、DVD/CDプレイヤーなどがあり、また、ラスベガスのホテルとしては珍しく、ほとんどの部屋にバルコニーが付いている。

 前述の通り、こうした客室はすべて一般のオーナーが所有するコンドミニアム、つまり私有財産だが、ホテルの部屋として一般客に貸し出す予定で購入した物件の場合、オーナーは、SIGNATURE 側が用意した家具、インテリア小物、食器類等をそのまま維持しなければならず (自分の好きな家具を持ち込み、それを残して帰ることもできない)、そのため、一般客に開放される各客室内のインテリアや設備は全室同一で、「皿がなかった」、「テレビが小さかった」、「へんな家具があった」 といったトラブルは一切ない。
 毎日ハウスキーパーが清掃し、シーツやタオルなどを取り替えてくれるのはもちろん、一般のホテルと同様、24時間のルームサービス、ベルサービスも利用可能。つまり、利用者側にとっては、ホテルと異なる点は一切ないということになる。滞在中、ここが個人所有のコンドミニアムであることを意識することはまずないといっていいだろう。

 プール、フィットネスセンターなどのアメニティーも完備されているが、プールは規模も小さく、ウォータースライダーや流れるプールなどの凝った設備はない。その一方で、利用者が少ないため、ゆっくりとリラックスできるという利点はある。ちなみに、この SIGNATURE の滞在者は、隣接する MGMグランドの巨大なプールやスパを利用することができるので、SIGNATURE 側のそれら施設の規模が小さくてもなんら困ることはない。もちろん静かな環境に飽きたら、賑やかな MGMグランドのカジノへ移動し、エキサイティングなラスベガスを満喫することもできる。そのように変化に富んだ 1日が過ごせるのがこのホテルの魅力といってよいだろう。

 ストリップの喧騒から隔離された隠れ家風ホテル、The SIGNATURE at MGM Grand。従来型の巨大カジノホテルにありがちな、エレベーターでカジノフロアに降りた瞬間、全身をいやおうなく包むスロットマシンの音や人々の嬌声は、ここには一切存在しない。つまり、ラスベガス特有の賑やかさやエキサイティングな雰囲気の中に常に身を置いていたい、という者には向かない宿泊施設だが、静かなくつろぎの時間も必要というリピーターやビジネス客、そして 「カジノを抜けないと部屋に行けないのは、子供の教育上どうも」 というファミリー客には、最適かもしれない。また、外食ばかりでは飽きてしまう、たまには和食を自炊したい、という長期滞在者にも、このホテルは快適な休日を演出してくれそうだ。
 予約は公式サイト www.signaturemgmgrand.com まで。


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