週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 05月 16日号
Hotel-in-Hotel 型の超高級ホテル "SKYLOFTS" で VIP気分
 最近、ハイローラー重視のマーケティングが変わりつつある。「ハイローラー」 とは、高額な賭け金でプレーするギャンブラーのことで、もちろんホテル側にとっては最重要顧客だ。
 ラスベガスのホテルではこれまで、グレードの高いスイートルームはハイローラー向けに用意されていることが多く、ギャンブルをしない者は札束を積んでも泊まれない、というのが常識だった。つまり、その種の高級スイートルームは、宿泊料金すら設定されておらず、ハイローラー向けに無料で提供される VIPサービスの一環として利用されていたのである。
 しかし、この常識がここ数年で変わりつつあり、多くのホテルが 「非カジノ部門」 (宿泊部門、飲食部門、SPA部門、エンターテーメント部門など) でも収益を上げようと、ギャッブルをしない富裕層の取り込みにも力を入れ始めた。今週は、そんなトレンドのさきがけとなった Hotel-in-Hotel 型の超高級ホテル "スカイロフツ" (SKYLOFTS) を紹介してみたい。

 「ラスベガスのVIPは高額ギャンブラーだけじゃない。ハイローラー以外のお客様もぜひどうぞ」 という新たなポリシーを掲げ、2005年1月にオープンしたのがスカイロフツ。
 といっても、まったく新たなホテルが建設されたわけではない。実はこのスカイロフツ、MGMグランドホテルの最上階にある吹き抜け 2階構造のスイートルーム群のこと。(左上の写真の最上階部分。クリックで拡大表示)
 つまり、物理的には MGM の一部で、正確には 「MGM のペントハウススイート」 と呼ぶべきかもしれないが、MGM側はこのスカイロフツを MGMとは別の独立したホテルとしてマーケティングしている。マーケティングのみならず、専用スタッフのみで独自のサービスを提供するなど、実際の運営も大部分が独立しているようだ。
 また、ホテルの格付けなどを行う AAA(トリプルエー) も、この宿泊施設を独立したホテルと見なし、ホテルとしては最高の栄誉である 「5ダイヤモンドホテル」 として認定している。ちなみに全米で 「5ダイヤモンド」 を獲得しているホテルはわずか 98軒で、ラスベガスではスカイロフツの他に、ウィン、ベラージオ、フォーシーズンズとレイクラスベガスのリッツカールトンがその栄誉に輝いている。(全米各州の 「5ダイヤモンドホテル」 リスト。pdfファイル

 スカイロフツはその名の通り、2階建てのロフトスタイルのスイートルームで構成されている。
 客室は 「1ベッドルームロフト」、「2ベッドルームロフト」、「3ベッドルームロフト」 の3種類があるが、一番狭い 1ベッドルームロフトでも 1400〜1800スクエアフィート (約130〜167平方メートル) と、かなり広い。
 たとえばその 1ベッドルームロフトの場合、1階はリビングルームで 3人がけのカウチとラウンジチェアが 2つ、コーヒーテーブルを配したリビングスペースの奥には 6人用のダイニングテーブルが置かれたダイニングルーム (写真右上)、そしてそのリビングスペースは開放感たっぷりの吹き抜け構造になっている。天井の高さは 24フィート (7.2メートル) もあり、窓は全面ガラスで、ストリップ側の客室であれば、ここからストリップの景色を満喫できる。

 ちなみに、インテリアデザインは、グランドハイアット東京のデザインにも参加した著名な建築家、トニー・チーによるもの。
 コンセプトはモダンだが、オフホワイトやベージュなどの落ち着いた色合いをベースに、赤や黄色などポップな色彩をアクセントカラーに使ったインテリアは、モダンな部屋にありがちな冷たさがなく、リラックスしてくつろげる雰囲気がいい。

 キングサイズのベッドを配したベッドルームは2階にあり、その隣はバスルーム。
 大理石をふんだんに使ったバスルームの自慢は、最近、高級スパなどで見かけることも多いエッジレスバスだ (写真右)。「インフィニティータブ」 という名のこのバスタブは、外縁部が二重構造になっており、お湯を溢れさせながら入浴する、という贅沢な構造。肩まで湯につかりたい日本人客にはうれしいアメニティーといえそうだ。
 なお、バスタブはジェットバスになっているが、「シャンペンバブル」 と呼ばれる細かい泡を吹き出すタイプで、強い泡が吹き出す従来型のジェットバスに比べ、リラックス効果が高いという。また、湯船の色をさまざまな色に変えるカラーセラピー機能も付いており、リラックスしたいときにはブルー、しゃきっとしたい気分のときには紫などと、気分に合わせて湯の色を変化させることができる。
 リビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルームに1台ずつと、大型プラズマ (またはLCD) テレビが随所に配置されているのもスカイロフツのウリのひとつだが、バスタブの上にも 32インチのテレビが配置されており、入浴しながらテレビを見ることも可能だ。
 しかし、それだけで驚いてはいけない。バスルームのもうひとつの自慢は、洗面台の鏡の中に封じ込められたハイテクテレビ。電源を入れると、鏡の中から画面が現れ、歯磨きをしながらテレビを見ることができるというすぐれもの。
 ちなみに、それらテレビでは NHKの番組を中心に 24時間日本語の番組を放送する 「TV Japan」 が視聴可能で、これも日本人客にとってはうれしいサービスだ。また、バスルームの隣にはシャワールームがあるが、レインシャワーのほか、スチームサウナの機能も備えている。スカイロフツ自慢のその他のアメニティーは以下の通り。

オーディオ機器は Bang & Olufsen のものを採用
iPodプレイヤー
エスプレッソマシーン
カスタムバー/冷蔵庫
DVDプレイヤー
CDプレイヤー
インターネットラジオ
プリンター、ファックス、スキャナー
マルチリモートコントローラー
   (テレビ、DVDプレイヤー、ラジオ、電動カーテンなどが、すべて 一ヶ所で
   コントロールできる。マルチ言語対応で、日本語でも使用可能)

 また、シャンプー、コンディショナー、ボディーローションなどのバスルームの消耗備品はブルガリを採用するというこだわりようだ (写真右)。
 というわけで、これだけ他のホテルを圧倒しているスカイロフツだが、このホテルの本当の真骨頂はサービスにあるという。
 まず、宿泊者には、このホテルとラスベガス空港間のリムジン送迎が付いている。しかも、このリムジン、単なるリムジンではなく、1台 50万ドル以上するという超高級車 「マイバッハ 62」 なのである (写真左下)。ロールスロイスやベントレーの上をいくといわれるメルセデスの最高級ブランドで、日本では乗ることはおろか、見ることすらほとんどできない幻の名車だ。
 到着ロビーで係の者に出迎えられ、周囲の羨望の視線を浴びながらマイバッハに乗り込めば、「ちょいVIP気分」 に浸れること間違いなし。空港とホテルは近く、移動時間はわずか 5分ほどなので、まさにつかの間の VIP気分だが、そうそう乗るチャンスのない車だけにこのサービスはうれしい。(車内の写真
 マイバッハで到着する VIP客を出迎える体制も万全だ。ホテルの車寄せでは、スタッフが丁重に出迎えてくれ、そのまま客室まで案内してくれる。1階には VIPチェックインルームもあるが、チェックインはすべて客室内で行うのがスカイロフツ流。客室前では担当のバトラーが笑顔で出迎えてくれるので、ここでもまた VIP気分が高まること請け合いだ。

 24時間専用コンシェルジェに加え、24時間バトラーサービスが利用できるのもスカイロフツの自慢だ。ちなみにバトラーとは執事のことで、いわば世話係のようなもの。荷物の出し入れ、飲み物の用意にアイロンがけと、ありとあらゆることを客に代わって行うのが彼らの仕事だ。(右の写真は、各種飲み物が用意された客室内のバー)
 具体的にどんなことが頼めるのかと広報担当者に聞いたところ、「法的、倫理的に問題があること以外なら、なんでもお申し付けください」 とのこと。通常のホテルなら、ルームサービスはルームサービス係、追加のタオルがほしいならハウスキーピングと、それぞれの担当部門に電話をしなければならないが、ここではすべてバトラーが一手に引き受けてくれるというわけだ。ちなみに、日本語を話すバトラーも常駐している。
 また、身の回りの世話をするバトラーだけでなく、リラクゼーションのために風呂や客室内の香りをセットアップをしてくれる 「スパ・バトラー」、部屋の音響設備を宿泊客の好みに合わせ最高の環境に整えてくれる 「ミュージック・バトラー」 も常駐している。自分が iPod で持ち込んだ音楽を室内BGMにセットする方法がわからなくても安心だ。
 宿泊予定の数日前にはスタッフが電話をし、ミニバーに用意すべき飲み物などを聞いてくれるというサービスもある。コーヒーの銘柄、お茶の種類はもちろん、ミネラルウォーターのブランドに至るまで細かく指定できるという、まさに至れりつくせりのサービスだ。
 また、同じ時期にコンシェルジェからも電話連絡が入り、ショーやレストラン、ツアーの予約が必要かどうかを確認してくれる。このように、宿泊客1人1人のニーズに合わせたサービスを提供する 「パーソナルなサービス」 がスカイロフツの信条なのである。その他の主なサービスは以下の通り。

24時間利用可能な専用ビジネスセンター
24時間利用可能な専用スパ「スカイスパ」
24時間・ランドリー&靴磨きサービス
24時間・メイドサービス
ビデオ・オンデマンドサービス
プレイステーション2、XBOX、XBOX360などの無料貸し出し
ラップトップコンピュータの無料貸し出し
iPodの無料貸し出し
DVD、CDの無料貸し出し
   (希望のDVD、CDがない場合はホテル側が購入してくれる)
希望の新聞の配達
フレッシュフルーツを毎日用意
枕は14種類用意
帰りの飛行機内で食べるお弁当の用意 (20〜70ドル)

 さて、気になる宿泊料金だが、1ベッドルームロフトで $800ドル〜、2ベッドルームで $1500〜、3ベッドルームで $3800〜、となっている。もちろん季節や曜日、その他さまざまな需給要因で変動することは言うまでもないが、ためしにオンライン予約システムで調べてみたところ、閑散期には 1ベッドルームが $600 前後で宿泊できる日もあるようだ。
 宿泊料金は確かに高いが、ここに泊まればハイローラーでなくても VIP気分を味わえることは間違いない。「あわただしく観光するのではなく、部屋でくつろぐ時間も大切にしたい」 というリピーター、またハネムーンや結婚記念日など、特別な日にラスベガスを訪れる人にぜひお勧めしたい。予約は www.skyloftsmgmgrand.com まで。


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