週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 04月 25日号
アラジンホテルが正式にプラネットハリウッドに
 去る 4月17日、アラジンホテルの名称が正式に 「プラネットハリウッド・リゾート&カジノ」 に変わり、同日、これを発表するための記者会見が開かれた。
(右の写真をクリックすると、地上部分などはまだ工事中であることが確認できる。4月24日撮影)

 アラジンが開業後、わずか 13カ月で経営破綻し、連邦破産法第11条の適用を申請、事実上倒産したのは 2001年 9月 28日のこと。
 その約 2年後、レストラン、プラネットハリウッドを展開するプラネットハリウッド社と、シェラトン、ウェスティン、W、ル・メリディアンなどのホテルを経営するスターウッド社の企業連合グループが受け皿企業に決定し、新たなホテルとして再出発するための大改修工事がスタートした。つまり、改修工事開始から、今回のソフトオープニング (仮オープン) まで、実に 3年弱の長きを要したことになる。

 記者会見では、プラネットハリウッド社のCEOであるロバート・アール氏 (写真、左側の人物) がステージに立ち、「今日からこのホテルは正式に 『プラネットハリウッド』 に生まれ変わった。もう、ホテル内のどこにも 『アラジン』の名前はない」 と高らかに宣言。(実際には、広告の一部などでは現在も 『アラジン』 という名称が散見される)
 また、プラネットハリウッド社の出資者の 1人である人気俳優、ブルース・ウィリス (同、右側) も登場し、グランドオープニング (正式オープン) を祝う式典を、今年 9月28日、29日に開催することも発表した。
 さらに、5月12日に開演する新しいマジックショー 「ザ・ビューティー・オブ・マジック」 の主役であるマジシャン、ハンス・クロック、同ショーにゲスト出演が決定している女優のカルメン・エレクトラもステージに立ち、会見に華を添えた。また、同ホテルが今後主催するスポーツ関連イベントをサポートする 「スポーツ大使」 に任命された元プロテニス選手のピート・サンプラス、元ヒューストン・アストロズの名投手、ロジャー・クレメンス、そして伝説的ボクサー、シュガー・レイ・レナードも出席し、プラネットハリウッドの門出を祝った。

 さて、今回ようやくプラネットハリウッドが正式に誕生したわけだが、すべての改修工事が完了したわけではない。(右の写真の通り工事中の部分がたくさんある)
 リニューアルが完了しているのは、エントランス、フロントロビー、カジノ、カジノ内のバー、レストラン、ショップの一部で、客室の改装も始まったばかりなのが実情だ。
 会見では、新規オープンするレストランの概要も発表されたが、改修工事が始まっていないばかりか、どこに作るかさえ正式決定していないものもある。では、会見で発表された情報などをもとに、プラネットハリウッドの現状をまとめてみよう。

■ エントランス & フロント
 エントランスおよびロビーの改修工事は完了している。エントランスの見所は、カジノフロアをつなぐエスカレーターの左右に作られたシャンデリア。スワロフスキークリスタルを使った巨大なシャンデリアが左右それぞれ4つ並び、華やかでグラマラスな雰囲気を演出している。
 チェックインカウンターも新しくなった。カウンター奥の壁は発光ダイオードを使ったパネルで彩られ、このパネルの色が変化する。ずらりと並んだプラズマテレビには、レストランやショーなどの情報が映し出される。(写真左下)
 エントランスの脇には、ギフトショップ 「ph・ザ・ストア」 がオープンした。ここでは、ジュースやタバコなどのほか、同ホテルのロゴ、「ph」 をあしらった Tシャツ、キャップ等のオリジナルグッズが多数販売されている。グッズは種類も豊富で、デザインもなかなか洒落ている。みやげ探しには便利な店といえそうだ。なお、同様のショップ、「ph・スタッフ」 「ph・This & That」 は、併設のショッピングモール、ミラクルマイルショップスの入口にオープンしている。

■ カジノ
 カジノの改修も完了している。デザインはモダン。ここのカジノは吹き抜けで天井が高いのが特徴だが、チョコレートブラウンのタワーがマニッシュかつ都会的なインテリアのいいアクセントになっており、お洒落度は高い。
 カジノにも発光ダイオードのパネルが多用されており、グリーン、ブルー、オレンジと色を変え、華やかな雰囲気をかもし出している。
 プラズマテレビが随所に配置されているのも特徴のひとつだ。客室も含めホテル全体で実に 5000台のプラズマテレビを配置する予定とのことだが、カジノ内だけでも 250台ある。ちなみに、プラズマテレビはすべて協賛企業であるパナソニック社のもの。薄型テレビ市場では LCD陣営に押され気味の松下のプラズマだが、ここでの存在感は大きい。

■ レストラン
 カジノフロアにあるコーヒーハウス、Planet Dailies すでにオープンしたが、それ以外の新規オープン予定の店の多くは、工事も始まっていないのが現状。それでも非常にユニークな顔ぶれの出店が予定されているので、今後が楽しみだ。

・ Planet Dailies
 カジノフロアに新規オープンした 24時間営業のコーヒーハウス。カジノのデザインを踏襲したモダンなインテリアで、コーヒーハウスとしてはなかなか洒落ている。インテリアのアクセントは48台のプラズマテレビ。メニューは約150種類あり、ハンバーガー、サンドイッチ、パスタ、スープから、中華料理までが楽しめる。

・ Strip House
 ニューヨークにある人気ステーキハウスの支店が同ホテル内に登場することが、今回の会見で発表された。ニューヨークの本店は、一瞬ドキッとするネーミングの通り、真っ赤な壁に肌をあらわにした女性たちの写真を飾る、というセクシーでミステリアスなインテリアでも話題。
 写真はすべて 1900年代に撮影されたスタジオ・マナッセのオリジナルで、ラスベガス店にも多数、このコレクションが展示される予定。ニューヨーク店は GQ誌で 「国内最高のステーキハウス」 の 1店に選ばれたこともあり、味のほうも期待できそうだ。
 ステーキをはじめシーフードなども提供される予定だが、詳細は未定。場所についても、2階の 「ストンプ・アウト・ラウド」 劇場の隣が予定されているが、工事も始まっておらず、オープン時期なども現時点では明らかになっていない。ディナーのみ。

・ KOI
 ロサンゼルスにある人気和食店の支店も登場する。KOI は、有名レストランが集まるロサンゼルス随一のグルメストリート、ラ・シエネガ・ブルバードにあり、瀟洒なインテリアと和食をベースにしたクリエイティブな創作料理で高く評価される人気店。平日でも常時満席の繁盛店で、ハリウッドセレブが集まる店としても知られている。
 ラスベガス店は今年中旬にオープン予定だが、詳細は未定。配布された資料によると、ウルトララウンジも備えた大型店になる模様。ディナーのみ。

・ Pink’s Race & Sports Book
 ロサンゼルスのもうひとつの名物店、「ピンクス」 も登場する。同店は創業 60年を誇る有名なホットドッグスタンド。朝から深夜まで、いつ行っても長蛇の列ができている人気店で、ハリウッドスターにもファンが多い。ブルース・ウィリスがここでデミ・ムーアにプロポーズした、マイケル・J・フォックスは無名時代、1日の大半をこの店で過ごし、店内にある公衆電話を自身の連絡先にしていた、など、ハリウッドがらみの逸話も多い。
 「支店を出さないか」 「フランチャイズ化しないか」 との申し出はこれまで数え切れないほどあったというが、頑固に多店舗展開をこばみ続けてきた同店。それだけに、初の支店であるラスベガス店誕生の話題性は大きい。
 「ロサンゼルスの本店の行列に並ぶよりも、飛行機に乗ってラスベガス店に来たほうが早く食べられる」 (アール氏談) というのがウリ。オープン予定は今年半ばだが、工事はまだ始まっていない。24時間営業。

・ Alfredo of Rome
 こってりしたクリームソースのパスタ料理、「フェットチーニ・アルフレード」 を発案したことで有名なローマのレストラン、「アルフレード」 の支店。
 資料によると、60年代のイタリアをモチーフにした、レトロモダンなインテリアもウリのひとつ。オープン予定は今年半ばとなっているが、工事も着工しておらず、詳細は未定。ランチとディナーを提供。

・ Earl of Sandwich
 サンドイッチの専門店。約 250年前にサンドイッチを発明したジョン・モンターギュ・サンドイッチ伯爵の直系の子孫にあたる、第11代サンドイッチ伯爵がパートナーとして参画している。
 パンと具にこだわった、プレミアムサンドイッチを提供する予定だが、メニューなど詳細は未定。オープン予定は現在のところ、今年半ばとなっている。午前 6時から深夜 12時まで営業予定。

・ Yolos Mexican Restaurant
 資料によると、モダンで洗練されたメキシコ料理店になるということだが、詳細は不明。今年半ばのオープンを予定している。ランチとディナーを提供。

 なお、従来から存在している中華料理の PF Chang's China Bistro と バフェィ Spice Market Buffet はこれまで通り今後も営業を続ける。

■ バー & ラウンジ & クラブ

・ Heart Bar
 カジノのリニューアルに伴い登場した新しいバー。24時間営業のいわゆるカジノバーだが、チョコレートブラウンを基調にしたモダンなインテリアで洒落た雰囲気。

・ Extra Lounge
 アメリカで放映中の人気芸能番組 「エクストラ」 をテーマにしたラウンジ。番組のラスベガス支局としての機能も果たすということで、有名人のインタビューなどをここで行う予定。オープンは今年半ばを予定している。24時間営業。

・ Prive
 マイアミにある同名のウルトララウンジのラスベガス支店。マイアミ店は昨年、「ベスト・ラウンジ」 に選ばれた人気店とのこと。場所は 2階を予定しているが、工事も着工しておらず、オープン時期を含め詳細は未定。

■ SPA
 米国、アジア、カリブ海など各国で高級スパを展開するマンダラスパが参画し、これまで存在していたスパは Planet Hollywood Spa by Mandara と改称された。
 しかし、内装は従来のままで、名前とトリートメントメニューの一部を変更しただけ、という中途半端なリニューアルなのが実態。広報担当者は 「マンダラスパのコンセプトはアジアのリゾートなので、これまでのモロッコをイメージしたインテリアを変える必要はないと判断した」 と話していたが、予算不足で改装を断念したと考えて間違いないだろう。そもそもこれまでモロッコとアジアを一緒にしてしまうところにも無理が感じられる。

■ ショー

・ Stomp Out Loud
 異色のブローウェイミュージカル 「ストンプ」 が、このたび開演となった。会場は 2階のショールーム。ドラム缶やごみ袋など、身近なものを楽器に見立てて演奏するというこのユニークなショーについては、日を改めて詳しく紹介したい。公演日程は火、木、金、日が 7:00pm、土が 7:00pm と 10:00pm、月が 6:00pm と 9:00pm、水曜日は休演。チケット料金は $50、$75、$110 の 3種類。

・ The Beauty of Magic
 ヨーロッパで人気のオランダ人マジシャン、ハンス・クロックのマジックショーが 5月12日に開演となる。ダンスなどのパフォーマンスも取り入れた、華やかでダイナミックなステージになる予定で、女優のカルメン・エレクトラが出演することでも話題になっている。
 場所は今回 Planet Hollywood Theatre for the Performing Arts と改称された 7000席の巨大劇場。毎週木曜日から土曜日まで、午後 7時と 10時の 2回上演される予定。入場料は 35〜105ドル。

■ 客室
 客室数は全 2600室だが、改修工事は始まったばかり。今回、リモデルを終えたモデルルームが公開されたが、聞くと現時点で完成しているのはこの 1室のみとのこと。
 現在、全客室の半分の部屋でリモデルが進行中で、そのうちの 1000室についてはグランドオープニングまでに完成したいとしている。全室の改修が完了するのは、早くても来年末頃なりそうだ。
 インテリアのコンセプトは 「映画」。今回お披露目された部屋 (写真右) のテーマは映画 「パルプフィクション」 で、室内には 「パルプフィクション」 のポスターが飾ってあるだけでなく、ジョン・トラボルタが身に着けた衣装などのメモラビリアが展示されている。
 展示物はいずれも強化ガラスで保護され (写真左下)、手で触れられないようになっているが、本物の衣装や小道具が間近で見られる、しかも客室内というプライベートな空間で見られるというのは、映画ファンにはたまらないユニークな仕掛けだ。
 なお、盗難対策はどうなっているのかと思い広報担当者に聞いてみたが、「簡単には割ることのできない強度の強いガラスを使っているので、大丈夫だと思う」とのこと。メモラビリアはすべて1点もののため、展示物は部屋ごとに異なる。「今回泊まるのは何の映画をテーマにした部屋だろう」と、毎回楽しみにできるので、これは同ホテルの大きなアピールポイントになるだろう。
 インテリアのコンセプトはハリウッドグラマーといったところか。直線的なデザインのシンプルでモダンな家具を配しているが、ベルベットを多用することで、グラマラスでセクシーな空間に仕上がっている。テーマカラーはチョコレートブラウン、アクセントカラーに紫と赤が使われている。客室をモダンなインテリアでまとめるのは全世界的なトレンドだが、インパクトの強い色を大胆に取り入れ、壁をストライプにしたり、幾何学模様の入った派手なカーペットを採用したりと、なかなか個性的な空間になっている。他ホテルとの差別化という点では成功といえそうだが、好き嫌いがはっきり分かれそうなデザインなのが気になるところだ。特筆すべき点としてはほかに、大型のプラズマテレビ、楕円形でスタンダードルームとしてはゆったりサイズのバスタブなどがある。バスローブとスリッパが用意されているが、コーヒーメーカー、冷蔵庫などはない。

■ ショッピングモール
 プラネットハリウッドへの名称変更と同時に、併設のショッピングモール、旧デザートパッセージが正式に 「ミラクルマイルショプス」 と改称された。しかし、内装などはほとんど変更されておらず、これまでのまま。今後、改修されるかどうかも、現時点では未定のようだ。
 新モールへの移行にともない、Urban Outfitters、Quicksilver などの新たなショップもオープンしている。近くオープンが予定されているのは、H&M、Marciano など。ビバリーヒルズにある有名なポリネシアン・フュージョンレストラン、Trader Vic's の開店も決定しているが、オープン時期などは未定。

■ コンドミニアム
 ホテルの隣に現在、コンドミニアム棟、Planet Hollywood Towers by Westgate が建設中だ。50階建て、1200室の大型コンドミニアムで、一部をコンドミニアムとして販売、一部をタイムシェアとして販売する予定になっている。総工費は 7億5000万ドルで、完成は 2009年を予定している。

■ ホテル全体
 さて、肝心の新ホテルのコンセプトだが、推察するところ 「映画とハリウッドセレブ」 といったところか。客室のコンセプトは映画だが、カジノを含むその他の施設については、映画というテーマは反映されていない。プラネットハリウッド社がアラジンの後継会社に決まった当時は、カジノ内にも映画のメモラビリアを展示する予定だったが、ラスベガスのトレンドが 「テーマホテル」 から 「大人向けの高級路線」 へ移り変わったことなどを受け、コンセプトやデザインも大きく変更せざるをえなかったのだろう。
 ハリウッドセレブというコンセプトについては、現時点で完成している施設を見学しての推察にすぎず、広報資料などで明言されているものではない。例えば、プレイヤーズクラブカードは 「Aリスト・プレイヤーズクラブ」 という名称になっているが、これなどは明らかにハリウッドを意識したものと思われる (「Aリスト」 は、ギャラの高い一流ハリウッドスターの意)。
 ちなみに広報資料に頻出するのは 「ハリウッド」 「グラマラス」 「レトロシック」 「ラグジュリー」 などの単語で、経営側が同ホテルを 「ハリウッドのようなグラマラスでラグジュリアスなホテル」 として訴求したがっていることがうかがえる。
レストランのロゴ 現在のホテルのロゴ 1年前のホテルのロゴ  「プラネットハリウッド」 というブランドの扱いも微妙だ。同ホテルでは、地球のイラストに Planet Hollywood の文字を配した、おなじみのレストランのロゴ (右の上の写真) とは異なる 「ph」 という新ロゴ (中央の写真) を採用している。じつはこの新ロゴも 1年前は右の下の写真の通り、確定的なものではなかった。中央の写真 (現在) と下の写真 (1年前に撮影) をクリックすると、これらは同じ場所に使われていたことがわかるのでぜひクリックしていただきたい。(ちなみに上の写真はシーザーズパレスにあるプラネットハリウッドレストランのもの)
 広報担当者によると、これは 「レストランとは異なるイメージづくりをするため」 ということだが、そうであればなぜホテル名を 「プラネットハリウッド」 のままにしたのだろうか。プラネットハリウッド社の買収後、テーマホテルならびにテーマレストランが衰退してしまったこともあり、新しくフレッシュなイメージで売り出したい気持ちは十分わかるが、このあたりからも経営側の方針がふらついていたことがうかがえる。
 スターウッドという超大手ホテルチェーンがバックについているのは同ホテルの強みだが、MGM Mirage 社、Harrah's 社という超大手が市場を独占するラスベガスで、プラネットハリウッドはいわば弱小企業。テーマホテルの時代は終わったとはいえ、ホテルとしての明確なコンセプトを強く打ち出し、訴求していかなければ、ラスベガスでのカジノホテルの成功はありえない。新ホテルの最大のウリであるレストラン、ラウンジなどが完成していない現時点で評価を下すのは早計だが、同ホテルが 「新しいだけで、どっちつかずの中途半端なホテル」 になってしまう可能性もありそうだ。ちなみに昨年オープンしたカジノホテル 「フーターズ」 はかなり苦しい経営を強いられているという。
 少なくとも現時点ではっきりいえることは、「映画をテーマにした部屋に泊まってみたい」 という読者は、もうしばらく待つ必要があるということ。ホテル側は 「年内に半数のリニューアルを完了させる」 としているが、改修開始から 3年近くを経ても、依然、大部分のリニューアルが完了していないということを考えると、この予定が延びる可能性は十分にある。9月のグランドオープニング時にどの程度施設が完成しているか興味深いところだ。


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