週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 04月 11日号
サメに突っ込むウォータースライダー、Gナゲットの新プール
 昨年11月、ダウンタウンにあるカジノホテル・ゴールデンナゲットに、総額 2000万ドルを投じたというユニークなプールが出現した。本格的な夏の到来を目前に控え、The Tank と名づけられたその新プールを訪ねてみた。

 このプールの目玉は、中央に作られたサメをはじめとする魚たちが泳ぐ水槽。その大きさは約 91万リットルと巨大で、プールの中央にミニ水族館がある、といった趣きだ。
(91万リットルは、広報部側の資料 「24万ガロン」 をそのままメートル法に換算した数字だが、これは 910トンに相当し、見えない部分に大量に存在しているかもしれない水を含めて考えない限り、水槽の寸法からはあり得ない数字だが、とりあえずホテル側に敬意を表してそのまま掲載)

 サメは、シロワニザメ(Sand tiger Shark と Brown Shark) 2種、パシフィックブラックチップサメ、コモリザメ、トラフザメの5種類。そのほかにもアカエイや大小さまざまな魚類が優雅に泳いでおり、なかなか迫力がある。
 新プールの目玉はこれだけではない。本物のウリは、この水槽を通り抜けるウォータースライダー。ウォータースライダーの出発点は、水槽と同時に新しく建設された 3階建ての建物の最上階にある。せっかくなので今回、子供たちに混じり、この水の滑り台に挑戦してみた。

 滑り台の乗り口には監視員がおり、危険な滑り方をする人がいないよう監視するとともに、前に滑った人がきちんと下に到着してから次の人が滑り出すよう確認をしている。
 監視員に 「この滑り台は怖いのか?」 と聞いてみると、「全然怖くないよ」 との答え。スピードがどれぐらい出るの興味深かったが、それは滑り方によってかなり変わってくるという。「スピードを出したければ体を倒し、ゆっくり滑りたければ体を起こし気味にすればいい」 とのこと。

 体を倒して寝るような姿勢を取れば接触圧力が減ることから水膜で摩擦も減り、さらに空気抵抗も少なくなるというわけだ。
 とりあえずサメをゆっくり観察したかったので、やや起こし気味で滑ってみることにした。
 なお、足を下、頭を上にして滑るのが正しい滑り方で、頭から突っ込む滑り方は危険なため禁止しているという。
 滑り始めは加速のための高度差があり、その後は惰性であっという間に進んでいく。そして、ぐるりと一回転したあと、問題の水槽に突入。
 それまで黄色だったスライダーのチューブが水槽部分は透明になるため、視界は突然ぱっと開ける感じになるが、残念ながらスピードが速く (遅くしたつもりだが)、サメたちを観察する余裕はまったくなし。一瞬にして水槽を通り抜けると、ちゃぽんとプールに突っ込み、ウォータースライダー体験は終了した。

 快晴で気温の高い日だったため、プールはかなり混み合っていたのだが、滑り台利用の待ち時間はゼロ。週末はかなり混み合い、数人待ちになることもあるらしいが、一般のウォーターパークのように何十分も並んで待たされることはないという。子連れ客には手軽なアトラクションといえそうだ。
 もちろん、ウォータースライダーの利用客は子供だけではなく、楽しそうに何度も滑っていた人の半数は大人だった。これはホテル側にとっては予想外だったようで、広報担当者も 「企画した当時は子供向けと考えていたが、いざできてみたら大人の利用も多いので驚いている」 と話していた。
 さて、なぜ新プールのコンセプトがミニ水族館なのか、ということなのだが、これは同ホテルを 2005年 9月に買収したランドリーズ社が、「アクエリアム」 などのシーフードレストランで知られるレストランチェーンのオーナーだからだという。

 ウォータースライダーに伴い登場した 3階建ての建物の 3階には、豪華なカバナ (日よけ用の小さなテント小屋のような施設) が 7つ並んでいる。プラズマテレビ、カウチ、冷蔵庫、シーリングファンなどを配したカバナは、宿泊客に対し1日 100〜200ドル程度で貸し出しているほか、ハイローラー用の VIPサービスの一環として利用されている。
 カバナはラスベガスにある主要ホテルのプールには必ずといっていいほどあり、プラズマテレビ、冷蔵庫などのアメニティーは今やスタンダードになった感はあるが、この高さに設けられたカバナは珍しい。プールを含んだ周囲の眺めが楽しめる点、またカバナを購入できない一般客を見下ろして悦に入ることができる、という点ではいいかもしれないが、プールを利用するためにわざわざ階段を下りなければいけないのはやや不便かもしれない。
 プール大改装に伴い、「ダイブバー」 という名のプールサイドバーも登場した。バーではカクテルなどのドリンクが楽しめるほか、セクシーなビキニ姿のウエイトレスがプールサイドのデッキチェアまでオーダーを取りに来てくれる。バーの横には大きなジャグジーも新設され、ここはもっぱら年配客で賑わっていた。
 また、プールの入り口部分には The Tank のロゴ入り Tシャツ、ビーチタオルなどを販売するキオスク、その隣にはブラックジャックなどのテーブルゲームも用意され、水着姿でギャンブルができるようになっている。

 今回の新プールの登場は、ランドリーズ社によるゴールデンナゲットの買収に伴い始まった大リニューアルの一環で、2005年 9月から始まった1億ドルのリニューアルは、とりあえず昨年 11月に完了した。
 リニューアルはロビーやカジノ内の内装の一新のみならず、「Vic & Anthony’s Steakhouse」、「Lillie’s Noodle House」、「Grotto Italian Ristorante」 などのレストランが新規オープンしたほか、カジノフロアには今はやりのウルトララウンジ 「Rush Lounge」 も完成した。
 また、今年 2月にはスパも新装オープンしている。10室のトリートメントルームを備えたスパは、ヨーロピアンスタイルのインテりアで高級感にあふれ、ラウンジなどくつろぎのためのスペースもゆったりとられている。ここは、フェイシャル、ボディートリートメント、マッサージ、ネイルからヘアカットまで、総合的なサービスを提供するスパ&サロンで、宿泊客以外でも利用できる。ジャクージ、サウナなどの施設利用のみなら 20ドルと手頃な料金設定になっているので、一風呂あびてのんびりしたい、というときに利用してみるのもいいかもしれない。

 さて、新プール The Tank は原則として宿泊客しか利用できないのだが、このプールを利用するためだけにゴールデンナゲットに泊まる価値があるか、と聞かれたら、その答えは 「ノー」 だろう。ウォータースライダーマニアやサメマニアならともかく、豪華で施設が充実したプールなら、ストリップにもたくさんあるからだ。
 日本人観光客のほとんどが宿泊先にストリップ地区を選んでいるのは事実で、それはそれで正しい選択といっていいだろう。ダウンタウンのホテルは宿泊料が安価なのは魅力だが、ショッピング、食事、ナイトライフなど、楽しみの中心はやはりストリップだからだ。
 しかし、ゴールデンナゲットのように大規模改修工事を行い、常にフレッシュな話題を提供しようと経営努力をしているホテルも一部ある。フリーモント・ストリートの電飾アーケードショーを見に行ったついでに、ぜひ新しく生まれ変わったダウンタウンでナンバーワンのラグジュリーホテルをのぞいてみてほしい。


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