週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 02月 21日号
テキサス仕込みのワイリックが新設シアターで復活デビュー
 1月 29日、スティーブ・ワイリック (写真右、クリックで拡大表示) のマジックショーが、ショッピングモール 「ミラクルマイル」 内に新設されたシアターで始まった。

 「始まった」 と言っても、彼はラスベガスに初めて登場するわけではない。これまでにもレディーラックホテル、サハラホテル、アラジンホテルなど、長らくこの街で活動してきたマジシャンで、ラスベガスでは広く知られる存在だ。
 そんな彼がこのたびミラクルマイルで復活したわけだが、彼の名前よりも、むしろこのミラクルマイルを知らない人の方が多いことだろう。
 じつはこれも初めて登場する施設ではなく、ミラクルマイルはこれまでの 「デザートパッセージ」、つまりアラジンホテルに隣接するショッピングモールの新しい名称だ。同ホテルは現在 「プラネットハリウッドホテル」 に名称変更中で、それにともないモールの名前も変えてしまった、というわけだ。

 そのモールの一番奥 (ストリップ大通りから一番遠い位置) にこのたびシアターが完成した (写真左)。その名はもちろん Steve Wyrick Theater。ちなみにこのシアター、週末の夜はナイトクラブ "TRIQ" になり、さらにラウンジやマジックショップ "MAGIQ" も併設されている。
 会場のサイズは、500席とかなり小さめだが、大きければいいというものではないので、このサイズは素直に歓迎したい。ステージから極端に遠い座席が存在しないなど、大劇場にはない良さがある。また、フロアの傾斜がかなりきついので、前の座席の人の頭がじゃまになることもない。
 小さいといってもそれは座席数の話であって、ステージには十分なスペースがある。したがって、前回のアラジンホテルのボールルーム内に設けられた窮屈なステージのように、天井が低すぎて大がかりな仕掛けや道具を使えない、ということはなく、本物と同サイズのヘリコプターや軽飛行機 (写真右下) が飛び出すなど、かなり派手なイリュージョンが行なわれる。

 会場の話はそのへんにして、次にショーの内容だが、基本的には前々回の会場、つまりサハラホテル時代の演出をそのまま踏襲しており、当時の様子を知る者は、「ほぼ同じ」 と考えてよいだろう。舞台設備などもどことなくサハラ時代を彷彿とさせるものがあり、各種装置がむき出しになった荒々しい雰囲気など、当時とまったく同じだ。
 もちろん新しい演出がまったく加わっていないわけではない。新作の中で最も印象的なのは、水を使ったマジックで、ひとりの人間がやっと入れるほどの大きさの水槽の中でモノを突然消したり水着姿の美女を出したりするパフォーマンスは、他のショーではあまり見かけない新鮮なマジックだ。

 あまり内容を詳しく書いてしまうと見る楽しみがなくなってしまうので、ここまでにしておくが、BGM にはロックンロール調のにぎやかなサウンドが使われ、また、大型オートバイの豪快なエンジン音や、花火、爆竹といった大きな音や光を多用するなど (写真左)、総じて荒々しい男性的なコンセプトにまとめられている。
 彼自身の衣装も Tシャツとジーパンという極めてラフな格好で、タキシードと蝶ネクタイをトレードマークとしているランスバートンとは対照的だ。
 そんなゴツゴツした荒削りな部分を強調したショーだが、動物を使ったほのぼのとするシーンもある。白い犬 (もちろん生きている本物のイヌ) が入った箱と、黒い犬が入った箱を合体させて、あるモノを出す演出は、会場内がやわらかい雰囲気に包まれる一瞬だ。(以前から行なわれているマジックなので知っている者も多いと思われるが、合体後に何が出て来るかは見てのお楽しみ)

 マジックショーはラスベガスにいくつも存在している一方、どのショーも、個々のマジックにおいてはかなり共通している部分があるのも事実。それでも雰囲気やコンセプトはそれぞれ各マジシャンが独自なものをクリエイトしており、特にこのスティーブワイリックのショーは良くも悪しくも、どのタイプにも属さない異質のものだ。たとえばランスバートンのような伝統と格調が感じられる洗練された華麗さもなければ、ハイテク映像などを駆使するカッパーフィールドのような近代的かつ都会的な雰囲気もなく、さりとて動物を多用するリックトーマスやダークアーサーのようなほのぼのとしたファミリー受けする温かみもなければ、ペン&テラーやマッキングのようなコミカルな要素もまったくない。
 テキサスという言葉にどのようなイメージを持つかは人それぞれだが、彼はテキサス出身とのこと。格調、洗練、華麗、都会的、ほのぼの、ファミリー、コミカル、どのイメージにも当てはまらないこのショーの雰囲気を言葉で表すのはむずかしいが、「テキサス風」 と表現するのが最もわかりやすいかもしれない。良くいえばスケールが大きく豪快、悪くいえば雑で荒っぽい、といったところか。トランプを使った指先で行なう小さなマジックもいくつか披露されるが、やはりそれはランスバートンなどのものとはどこかが違う 「テキサス風」 なのである。

 チケット料金は $68.95 と $90.95 (どちらも Fee、Tax 込み) で、公演は金曜日を除く毎日 7:00pm と 9:00pm の2回。チケット購入は劇場前のボックスオフィスもしくは電話 702-777-9974 まで。なお、年齢制限は特に決められていないが、4才程度よりも上で、なおかつしっかりしつけられていれば入場可能とのこと。ただし子供料金はないので、おとなと同じチケットが必要。

  プロモーションビデオ ← クリックで、スティーブワイリックショーの動画を再生します。



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