週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2007年 01月 24日号
20年目を迎えたリビエラホテルのクレイジーガールズ
 新しいものが登場し、古いものが去っていく。人気のあるものが残り、そうでないものは消えていく。生き残りをかけた競争、勝ち組と負け組 …。
 きびしい掟ではあるが、市場原理の摂理なので仕方がない。そんな競争社会の中にも長期に渡り生き残っているロングランと呼ばれるものがある。
 ラーメン業界でいえば 「サッポロ一番」 や 「チャルメラ」、テレビ番組でいえば 「笑点」、「サザエさん」。ここラスベガスにも長く頑張っているロングランがある。リビエラホテルで 20年も続いているアダルト系ナイトショー 「クレイジーガールズ」 だ。

 1987年に始まり、まもなく 20周年を迎えるというので、久しぶりに現場に足を運んでみた。
 なるほど年季が入った重々しい会場だ。悪くいえば暗くて古ぼけた前近代的、良くいえば古き良き時代の歴史と伝統が染みついた由緒ある劇場。(右写真の円筒形の建物の部分にその劇場はある。クリックで拡大表示)
 どっちに解釈するにせよ、何ごとにおいてもめまぐるしく変化するラスベガスで 20年は立派だ。「ノートルダムの背むし男」、「アベニューQ」、「ヘアスプレー」 など、舞台設備や宣伝に巨費を投じて鳴り物入りでデビューした大型ミュージカルが一年と持たずして消えていくこのご時世、20年には素直に敬意を表したい。

 会場は 400人も入れば満員御礼となるミニサイズで、ステージに近い前方のセクションなどは椅子を並べただけという質素な造りだ。規模的にも質的にもシルクドソレイユのゴージャスな劇場などと比べると、まるで別世界といった感じだが、その B級、いや C級の造りが醸し出す怪しげな雰囲気が、このアダルトショーに対する何ともいえない期待感を増幅させてくれ、古いなりに、ハードとソフトが実にうまくマッチしているように思える。

 いきなり 8人の踊り子さんがトップレス姿で登場し、歌いながら踊ってくれるが、その歌はいわゆる 「口パク」 で、実際には歌っていない。が、この種のアダルトショーではそんなことはどうでもよく、重要なのはダンサーたちのクオリティーだろう。
 パッと見た感じの容姿は、同類のアダルトショー "Fantasy (at Luxor) よりも上で、"Crazy Horse Paris" (at MGM) よりはやや下といった感じで、とりあえず及第点をあげたいレベルだが、2-3人は明らかに豊胸手術と思われる人工的なシリコンバレー (シリコンによる谷間) で、そのあまりにも不自然な形はいただけない。
 それでも踊り方や演出はなかなかセクシーで、ラスベガスで定期的に行なわれているこの種のショーとしてはかなり高いレベルにあると思われる。また、照明においても、Crazy Horse Paris で見られるような 「ダンサーの肌に光で衣装を描く」 といったテクニックが採用されており、その描写はかなり繊細で輪郭もハッキリしていて美しい。

 回転ベッド上での 4人のダンサーによる動きがシンクロしたセクシーな踊り、一人のダンサーがイスを巧みに使って怪しげに振る舞うシーン、2人のダンサーによるレズビアンをイメージさせる絡み合い、鳥カゴをイメージした仕掛けの中で娼婦のような悩殺ポーズを取るダンサー、そして化粧コンパクトを形取ったベッドの中でのかわいらしい踊り (写真左、実際はトップレスで行なわれる) など、それぞれまったく違う設定で次から次へと場面が変わり、見ている者を飽きさせない。特に男性の性器をかたどった3メートルほどの大きな枕を使っての演出では、最後の場面で場内が爆笑の渦に包まれるが、それに関しては見てからのお楽しみということでここでの詳しい説明は割愛したい。
 基本的にはすべての演出がトップレスで、ときどきボトムレスになる一瞬もある。が、その一瞬は照明が完全に落とされダンサーが入れ替わる場面なので、ボトムレスは見ることができないと考えた方がよい。
 なお、セクシーな演出ばかりでは観客も疲れてしまうからか、正味 75分のちょうどハーフタイムにジャグラー Nino Friediani 氏が登場する。しかし年齢的に峠を越えてしまっているのか、動きが鈍く、またジャグリングそのものの技も極めて平凡なので、これはあまり期待しない方がよいだろう。
 良いこと、悪いこと、あれこれ書いてきたが、20年も続いてきただけのことはあり、トータル的にはそれほど悪くはなく、この種のものに興味がある者にはぜひおすすめしたいショーのひとつだ。

 広報担当者の話によると、過去 20年間で通算100人以上のクレイジーガールがこの劇場で踊り卒業していったという。また数え切れないほど広告の内容表現や掲示方法で当局やさまざまな団体と争い、そのつど勝ち残ってきたとのこと。
 ちなみに 90年代の後半、ラスベガス全体がファミリー路線に突き進んでいた時期、ダンサーがヒップを丸出しにした広告などが何度も問題視されてきたが、今では堂々とビルボードやタクシーの屋根の広告として認められるようになり、その象徴的な結果として、その広告デザインはリビエラホテルの入口に銅像となって飾られている (写真右上)。

 開演は火曜日を除く毎日 9:30pm。チケットは同ホテルの公式サイトでは 「$34.95 + TAX」 となっているが、実際には 「VIP シート」 と呼ばれる $66 のチケットがあったり、入場時に現場スタッフにチップを渡すと安い席から高い席へ案内してもらえたり、昔ながらのかなり流動的な部分が残されているので、料金に関しては固定的に考えない方がよい。また、チケットを買う場所も原則としては劇場前のボックスオフィスということになるが、実際にはラスベガス市内に点在する半額チケットショップで安く売られていることが多いので、それらショップをチェックしてみるのも悪くないだろう。


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