週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2006年 09月 06日号
「ナイトクラブ & 和食」 のトレンドを追う Social House がオープン
 8月 31日、TI (トレジャーアイランド ホテル) に、人気ナイトクラブと合体した和風創作料理店 Social House が鳴り物入りでオープンした。

 ラスベガスのホテルに和食店がオープンすること自体、なんら珍しいことではないが、この店ばかりはいろいろな意味で開業前から話題を集めており、注目度だけはすでにヘビー級だ。(右の写真はこの店の受付付近。左下の写真は、入口前のバーセクションで、ダイニングルームではない。クリックで拡大表示)

 注目されている最大の理由は、なんといっても今をときめく Pure Management Group が運営しているということ。
 同社はシーザーズパレス内にラスベガス屈指の高級人気ナイトクラブ PURE、そしてニューヨークニューヨーク内にワイルドな雰囲気が自慢のクラブ Coyote Ugly を持つなど、ナイトクラブの運営では現在最も注目されている会社で、今回オープンした Social House も、同社が TI内に持つナイトクラブ Tangerine と一体構造になっている。( Tangerine が 1階、Social House が 2階で、両者は内部でつながっている)

 つまり人気ナイトクラブの会社が和食店をやり始めたということで、それだけでもさまざまな方面から注目されているわけだが、さらにチーフシェフがあの NOBU (日本人カリスマシェフ Nobu Matsuhisa 氏の店) で人気だった Joe Elevado 氏というから、なおさら話題にこと欠かない。
 また奇抜なデザインにも関心が集まっており、たとえば 宣伝広告メニューの背景 には日本の新聞がモチーフされ、さらに店内の一部のダイニングルームにおいては 日本の新聞そのもの がインテリアデザインとして使われているなど (←下線付き文字をクリックすると写真表示)、料理以外の部分でも独創的だ。
 立地条件も話題を集めている要因のひとつで、TI名物の海賊湾に面しているため、この店に入れば、人気の無料アトラクション "THE SIRENS OF TI" を上から見下ろすことができ、右上の写真や左下の写真のようなシーン (砲撃を受けて炎上する帆船) をゆったりした場所から楽しめる。

 料理のジャンルは前述の通り和の創作料理だ。創作料理がどのようなものを指すのかは定義が極めてあいまいだが、とにかくこの店自身がそのメニュー内の背景文字で 「創作料理」 と明記しているので、とりあえずその意向を尊重し、「これは寿司じゃない!」、「これは天ぷらじゃない!」 などとは言わずに、そのまま素直に 「これこそが創作料理だ」 と、その独創性などを楽しみたい。
 さて、それを食べてみての感想だが、ひとことで言ってしまえば、「味は悪くないが値段が高い」 というのが正直な印象だ。
 「ナイトクラブが寿司を握れるのか?」 といった先入観があり、大きな期待をせずに行ったためか、味的にガッカリすることはなかったが、値段のわりに量が少ないのには驚かされた。「量が多すぎて困る」 というのがアメリカのレストランでの通り相場なので、「かなりアメリカ離れした店」 ということができる。結局、何種類もオーダーしなければならないことになり、出費がかさむことになるが、「この料金は場所代」 だと思えば納得できるだろう。それだけ特種な環境にあるということだ。

 場所といえば、屋内セクションと屋外セクションがあるので、海賊湾でのアトラクションを見たい場合は、暑い寒いにかかわらず、屋外を選ぶしかない。
 入店時に好きな方を選ぶことができるが、ちなみに今の季節は暑すぎるためか、屋内の方がやや混んでいるように見受けられた。なお、今回の取材においては、どちらのセクションも予約無しですぐに入店することができたが、今後この店の知名度の上昇と共に、待ち時間が長くなる可能性はある。(右写真は屋外セクション)

 ところで、ナイトクラブとレストランを隣接させ包括的に管理するというマーケティングは近年目立ってきており、今後この種の出店形態が増えてきそうだ。(左の写真は、上半分が Social House、下半分が Tangerine)
 古くはパリスホテルの Risque と Ah Sin、そしてベラージオの Light と FIX、フォーラムショップス内の OPM と Chinois、最近ではベネシアンの TAO ( TAO の場合、ナイトクラブもレストランも同じ名称) などがその典型だが、Pure 社は今回の Tangerine と Social House での成否の結果を待たずに、さらにラクソーホテル内に新たなナイトクラブとレストランを建設するという。
 さて、そんなトレンドを見ていると不思議なことに気付く。ナイトクラブと手を組むレストランはなぜか和食が人気のようだ。Ah Sin も TAO も Chinois も和食を中心としたアジア料理店で、また、同一の会社が経営しているわけではないが、ウィンの人気クラブ TRYST のすぐとなりには高級和食レストラン Okada が、そしてミラージの人気クラブ JET のすぐ近くにも創作和食店 Japonais がまもなく開業する。(Pure 社がラクソーに計画しているレストランは和食ではない)
 Social House のスタッフによると、和食は "クール" なのだという。ひょっとすると、「和食を食べてからナイトクラブで踊る」 というのがラスベガスでのカッコいいナイトライフの過ごし方として定着しつつあるのかもしれない。
 なお参考までに、Social House で食事をした者は、Tangerine の入場に際して優先権が与えられる。つまり長い列に並ばなくてもよい。(ただし Tangerine は日曜日と月曜日が定休日)。
 Social House は年中無休。営業時間は日曜日と月曜日が 5:00pm から深夜 12時ごろまで、それ以外の曜日が 5:00pm から早朝 4時ごろまで。ランチタイムはやっていない。

 以下は Social House の各メニューおよび実際に食べてみた結果の寸評。

 メニュー1   メニュー2   メニュー3   メニュー4   日本酒リスト1   日本酒リスト2
 ワインリスト1   ワインリスト2   デザート   食後酒   深夜メニュー

Shishitou $5 / Edamame $5
着席したとたんにウェイターが、「エダマーメ or シシトー?」 と聞いてきたので、両方をリクエスト。メニューに載っていないので無料かと思いきや、それぞれしっかり $5 請求された。味はグッド。特にシシトウは完璧。
House Sake - by the Carafe $8 〜 $24
Carafe (カラフ) とは、ワインや水などを入れる水差しのことだが、ここでは竹の入れ物に酒が入ってくる。純米酒やにごり酒など 9種類の中から好みの酒を選べる。
Shima-Aji with Social House Salsa $24
本物のシマアジかどうかは不明だが、それらしき魚の刺身 5枚の上に、きゅうり等を使った和風サルサが乗っている。味はまったく問題ないが、量があまりにも少なく、割高感ばかり感じてしまう。貧乏人には不向き。
Seared Tuna Salad with Social House Ginger Dressing $18
表面を軽くあぶったマグロのサラダ。中トロの刺身が使われており、ジンジャードレッシングも日本風のあっさりした味で美味。今回の一連の取材で最も満足できた絶品。
Kobe Shabu shabu with Rice Noodles $22
しゃぶしゃぶという名前から想像するものとはまったっく異なるものが登場。肉は通常のしゃぶしゃぶ肉よりやや厚めの柔らかい牛肉で、それに冷や麦のような麺とシイタケ。上から熱いスープを注いで食べる。
Tenderloin and Panko Uni Butter Crusted Lobster $42
肉は柔らかく上品な味だが、いかんせん量が少ない。また、残念ながらウニの味は感じられなかった。ロブスターは想像の範囲内の標準的な味。横に添えられているのはなぜか独創性のない日本のとんかつソース。
Scallop and Giant Clam Dynamite $17
かわいらしいサイズの鉄鍋に、ホタテ貝とミル貝、それにシイタケなどが入り、マヨネーズ風のソースで仕上げてある。オレンジ色のトッピングはまさご。感動するほどの味ではないが、見た目がかわいいので合格。
Ume Boshi Hokkaido Sea Scallops $16
基本的にはホタテの刺身。食感も鮮度も悪くない。北海道産らしいが真実は不明。梅干ソースは塩から過ぎず、甘過ぎず、ちょうど良く、味的にはかなりイケている。
Yellowtail Sashimi with Jalapeno $16
ハマチの刺身の上に、粒上のガーリックが乗せられ、Jalapeno (メキシコ料理でよく使われる緑色の唐辛子) とオイルを含んだ醤油が掛かっている。程よいピリ辛味はビールにピッタリ。
Cold Sesame Noodles with Tempura Shrimp $16
ひやむぎと同程度の太さの麺をマヨネーズ系の味で仕上げ、周囲を小エビの天ぷらで飾った独創的な料理。野菜は使われていないものの、カテゴリー的にはサラダに入れたいような味。
Nigiri Sushi Dinner $26
このレストランのメニューの中で、予想したものと実際に出てきたものがほぼ一致した唯一のアイテム。ということで、一番まちがいのないアイテムと言えるが、この店の独創性を楽しむことはできない。シャリは小さめで上品。マグロ、サケ、ミル貝、イクラ、アルバコア、ハマチ、白身魚、エビ。
Sesame Kelp Salad $5
日本のコンビニでも売っていそうな、いわゆるちまたで良く見かけるスパイシーな海草サラダ。「創作料理」 を名乗るこのレストランにしては工夫が無く、おもしろ味に欠ける。まさかこれが出て来るとは思わなかった。
Skewers (串物) 一皿各 $7〜$8
種類はカルビ、黒豚、チキン、カレーシュリンプ、ホタテ照り焼。この写真は手前が黒豚 (タレがやや甘すぎ)、奥がチキン (胸肉が使われているのか、かなり淡泊な味)。日本人の口に合う味だが、これも独創性はゼロ。
Miso Soup $3
具は豆腐とネギ。味はまずまず合格点。陶器の器でサーブされるので重厚感があるのはよいが、器の熱容量が大きすぎ、盛り付けた瞬間に冷めてしまうのか、温度が低めだったのが残念。
Social House Roll $7〜$20
数ある巻物の中から、オーダーしてみたのがこの Sun dried tomato, cream cheese, and cucumber served with lemon miso。けっこうイケテる味で、ワインにも合う。このレストランでは、こういった(日本では邪道と言われそうな) 創作のまき物を頼むのも楽しい。
Five Spice Squid $16
"Five Spice" の意味は、中華料理でよく使われる五香粉 (ウーシャンフェン)。それで味付けされたイカのフライ。カラリと揚がっていれば満足できたと思われるが、そうではなかったのがちょっと残念。
Shrimp Tempura with a Sweet sesame sauce $15
天ぷらという名前から想像していたもの (通常はだれもがエビ天のようなものを想像するはず) よりも、はるかに小さな小エビが登場したのにはビックリ。これぞまさに創作料理ということか。味は合格。
"Pancit" Stir-Fried Egg Noodles with Vegetables $12
中華料理でしばしば見かける細い麺を炒めたもので、少々酸味がある味付け。肉類がまったく入っていないばかりか、野菜も小さく、今ひとつパッとしない味。
Vanilla Layer Cake $12
ブルーベリー、ラズベリー、ストロベリーが乗ったチーズクリーム味のケーキ。スポンジは、なぜか塩の存在がハッキリわかる不思議な甘さ控えめの味 (決して悪い味ではない)。竹をイメージした皿が印象的。
Banana Split $12
周囲にある白くて四角いものはマシュマロ。真ん中の大きい白いものはホイップクリーム。その両側がアイスクリーム。底の部分に横たわっているのが主役のバナナ。アイスクリームが一番うまく感じた。
Yogurt Pancakes $12
4段重ねになった小さなパンケーキは、しっとりフワフワ感があり、なかなかの美味。まわりはタピオカが入ったヨーグルトソース。写真中央でホタテ貝の刺身のように見えるものは果物の龍眼。
Tea 各種 $6
ウェイターに、日本茶があるかどうか尋ねたところ、出てきたのがこのボックス。玄米茶、緑茶の他に、ウーロン茶、プーアール茶、カモミール茶、おもしろいところではパイナップルやグァバ風味のトロピカルティーも有り。


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