週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2006年 03月 15日号
路線延長、意外と使えるトロリーバス
 かわいらしいレトロ調のデザインが自慢の "Strip Trolley"。「トロリー」 と聞くと、道の上に張られた架線から電力を受けて走行するバスをイメージしてしまうが、ラスベガスでのトロリーは通常のバスと同じガソリンエンジンで、ちがうのはカタチだけだ。(写真右、クリックで拡大表示)
 じつはこのトロリー、これまで評判は今ひとつだった。観光のための道具としては利用価値があったものの、目的地までに時間がかかりすぎ、交通手段としてはほとんど使い物にならなかったからだ。
 ところが最近ライバルの公営バス "キャット" (CAT) が "デュース" (DEUCE) に変ったのを機会にその利便性を低下させており (デュースに関する詳しい情報は、週刊ラスベガスニュース 458号を参照のこと)、逆にトロリーはボードウォークホテルの消滅などでバス停の数が減ったため所要時間が短縮、さらに街の最南端に位置するサウスコーストホテルまで路線を延長するなど (ただしマンダレイベイで乗り換える必要あり)、状況が好転してきている。そんなトロリーを再評価のために試乗してみたのでレポートしてみたい。

 まず始めにトロリー、キャット、デュースの違いや特徴についておさらいしておきたい。
 トロリーの最大の特徴は、バス停がストリップ大通りの路上ではなく、各ホテルの構内にあるということ。これは、宿泊ホテルの玄関前で乗り降りできるという便利な部分がある反面、ストリップからそのつど脇道に入るため、全体としての運行に時間がかかりすぎ、交通手段としての利便性は著しく悪い。結果的に、街の様子や各ホテルの特徴などをのんびり観光したい場合には都合がよいが、単なる移動にはまったく適していない。
 一方、キャットは脇道に入ることなくストリップ上だけを走るため、移動手段としては優れており、また、いくつかのバス停を通過するいわゆる 「急行」 もあるなど、長距離移動の需要も満たしていた。
 ところがそのキャットが昨秋から車両を2階建バスに変え、名称も新たにデュースとして生まれ変わると、状況が一転した。2階建てという珍しさからか、乗ること自体を楽しむ利用客が激増したのである。
 その結果、乗り降りに時間がかかり (乗客の絶対数の増加のみならず、料金の支払い方法などを知らない不慣れな乗客が相対的に増えたことも一因と思われる)、目的地までの所要時間が増え、交通機関としての機能が大きく低下してきている。さらに悪いことに急行も廃止されてしまった。
 それでも多くの利用客は観光目的で乗っているためか、それをあまり不便と思わないようで、デュースの利用客はいっこうに減らず、最近は満員で乗り切れないことが珍しくない。

 そんなデュースの変化とは逆に、トロリーのバス停は日を追うごとに減り続け、それにより停車時間が少なくなった分だけ、移動手段としての利便性は増してきている。
 ちなみに、ボードウォーク、サハラ、ミラージ、ラクソー、ジョッキーズクラブ、ゴールドキーショップスなどのバス停が、さまざまな理由で最近消えていった。
 そしてこのたびトロリーは、サウスコーストホテルまで路線を延長し、ラスベガスアウトレット (旧ベルツアウトレット) へも行けるようになるなど、その変化はめざましい。
 つまり 「観光用途のトロリー、移動手段のキャット・デュース」 というこれまでの図式が逆転するかのような方向に変化してきているわけだが、はたしてトロリーはどの程度使えるようになったのか。

 ズバリ、今回の試乗で 「十分に利用価値がある」 と思われたのは以下の3つの用途だ。

 シーザーズパレスからニューヨークニューヨークまでを含む区間を南行きで利用。
 ラスベガスアウトレットからストリップ地区へ戻る際の利用。(北行き)
 サウスコーストホテルへ行く必要がある場合の利用。

 右図の通り、シーザーズパレスからニューヨークニューヨークまでは、なんとバス停がひとつもない。デュースの場合この区間に、ベラージオ前、ハーモン通り前、ボードウォーク跡地前、モンテカルロ前、のバス停がある。
 タクシーにも勝るとも劣らない速さでこの区間を走り抜けるトロリーは (渋滞していれば 「走り抜ける」 という感覚にはならないが、それは裏道を使わない限りタクシーでも同じこと)、利用価値十分だ。特に今はベラージオとモンテカルロ間のモノレールがなくなってしまったため、貴重な交通手段といってよいだろう。

 ラスベガスアウトレットへトロリーで行けるようになったことも画期的な変化で、これはショッピング族にとってはかなり意義深い。ただし、南行き路線ではアウトレットは通過することになっており、かなり先の終点まで行ってから北行きで戻るカタチで行かなければならず、「行き」 は少々時間がかかる。「帰り」 はアウトレットからマンダレイベイまでノンストップなので極めてスムーズだ。

 サウスコーストホテルへ行く場合は、同ホテルが運航する無料シャトルもあるが、それの利用は原則として宿泊者のみとなっているため、非宿泊者がサウスコーストへ行く場合は無条件でこのトロリーが便利ということになる。
 なお余談だが、同ホテルの水曜日の 「シーフードバフェィ」 はカニやカキもあって $16.95 で地元民に非常に人気だ。

 以上の 3つの利用パターン以外では、従来通り運行が遅く決して便利とはいえないので、移動手段として使うことは避けた方がよいだろう。やはり少々高くても急いでいる際はタクシーがおすすめだ。

 運賃は乗車ごとに 2ドル、1日券 は 5ドル。ただしこの 「1日」 の意味は、デュースの 「乗車券購入から 24時間」 ではなく、「購入したその日付」 なので、夜遅く買ったりすると割高になりかねないので注意が必要だ。
 運行時間は、おおむね 9:30am 〜 1:30am。運行間隔はマンダレイベイ以北のホテル街の路線が約 15分、マンダレイベイ以南のサウスコースト路線が約 30分間隔となっている。
 バス停には多くの場合、この看板 が立っているが、今回の取材で確認した限りでは、フラミンゴ、インペリアルパレス、ストラトスフィアにはこの看板がなかった。また、ファッションショーモールのバス停には、ちがうデザインの看板 が立っていたので、バス停を探す際は注意が必要だ。各バス停への行き方および利用の際の注意事項は以下の通り。

*** 各バス停の位置 (北側から) ***

Stratosphere
正面玄関から見てウラ側に位置するツアーロビー (カジノフロアの奥) を駐車場側に出た場所。裏口といった感じの場所で、出てすぐ目の前に 7階建ての駐車場が見えればそこは正しい場所。

Hilton Grand Vacations Club
正面玄関前の周辺でトロリーの看板を探せばすぐにわかる。

Circus Circus
サーカスサーカスと、そのとなりにある Slots-A-Fun というカジノの間にある細い路地の最もストリップ寄りの場所に看板が立っている。

Las Vegas Hilton
北側の裏口を出てすぐの場所のやや右側に看板が立っている。館内から北口を出て、目の前に6階建ての駐車場、そしてその遙か後方にストラトスフィアタワーの先っぽが見えれば正しい場所。見えなければ、そこは北口ではない。

Riviera
サウスエントランスのすぐ目の前。サウスエントランスは、ストリップ側から見てリビエラホテルの敷地の右端いっぱいのところにある路地を入ってすぐ左側。

Stardust
カジノから正面玄関 (タクシーなどが乗り付けている玄関) を出て右へ (南方向へ) 30m ほど歩いた地点。

Las Vegas Convention Center (LVCC)
パラダイス道路から LVCC の正面玄関前に通じる道路を 50m ほど入った場所にトロリーの看板が立っている。

Fashion Show Mall
ショッピングモール内のテナント GAP と LEVI'S の間の通路から最も近い出口 (北口) を出てすぐの広場のような場所。

T I
フロントロビー (チェックイン・チェックアウトを行なうカウンターがある周辺) から最も近いドアから外に出て(そこが正面玄関)、歩道を右手方向に約 40m 歩くと一時停止の道路標識 (赤い "STOP") があるので、そこをさらに右に曲がってすぐの場所。

Harrah's
館内から正面玄関 (といってもこのホテルの場合、ストリップから見て裏側にある) を出て左手方向に歩道沿いを約 50m 進んだ場所。

Imperial Palace
ツアーロビーの前。このへの行き方の説明は少々複雑であるばかりか、現場にトロリーの看板が立っていないので、できればここからの乗車は避けたい。もしここから乗る場合は、カジノ内などにある館内地図を参照しながらツアーロビーまで行くようにするとよい。

Caesars Palace
ストリップから見てシーザーズパレスの敷地内の右手方向にローマコロシアム型の劇場があり、そのすぐ脇にプラネットハリウッドの巨大な広告塔 (先端に青い地球と赤い文字で Planet Hollywood。それ自体がゆっくり回転している) が見えるはず。バス停はその塔のすぐ下にある。

Flamingo
ツアーバスロビーの前。行き方は、ストリップから見て、このホテルの敷地の最も左側 (北側) にある路地を入って 50m 先の右側。

Bally's
タクシーなどが乗り付けるいわゆる正面玄関前からストリップ大通り方向へ 30m ほど進んだ場所。頭上は 「動く歩道」。

New York New York
北側 (モンテカルロホテルに面している側) にある裏口。ちなみにそこは、ナイトショー 「ZUMANITY」 の劇場から最も近い出入口。

MGM
ストリップから見て、グランドキャニオンエクスペリエンスというギフトショップ (巨大コカコーラボトルのすぐとなり) の右側にある路地を入ってすぐの場所。

Excalibur
カジノ内の 「KENO LOUNGE」 や 「POKER ROOM」 がある場所から最も近い出入口 (チェックインカウンターなどから見ると正反対の位置にある裏口) を出て、右奥。出入口を出たら道がロータリーのようになっているはずなので、そのロータリーの右奥を目指して進めばトロリーの看板があるはず。

Tropicana
このホテルの 「BUS PLAZA」 と呼ばれる場所。ここへの行き方は、正面玄関を外に出て右へ進み、建物に沿ってさらに右へ回り込むように歩くと到着する。

Mandalay Bay
南側にあるツアーロビーの玄関前。この場所への行き方は、いわゆる正面玄関から館内に入り (そこはチェックインカウンターなどがあるロビーのはず)、すぐに左手方向に進み、突き当たりの壁まで進むと右手に下りのエスカレーターが見えてくるので、それを使って下りればそこがツアーロビー。

South Coast
北口を出てすぐ右手の場所。北口とは、7階建ての駐車場がある方向に面した出入口。

Las Vegas Outlet
広大な土地なので、西側の駐車場に出てトロリーの看板を探すしかないが、想像の範囲内の常識的な場所にあるのですぐに見つかる。広大なため、バス停は北側と南側の 2ヶ所にある。

* マンダレイベイからサウスコーストまでに点在するバス停は、日本人観光客が使うことはまず考えられないので説明は割愛。

<利用の際の注意事項>

 料金は運転席の脇にある料金箱に投入するシステムだが、釣り銭がないので要注意。

 各バス停に停車するので下車の意思表示をする必要はないが (ブザーなどは用意されていない)、たまに運転手が 「次のバス停で降りる人はいますか?」 などと声をかけることがあるので、その際、もし降りるのであれば 「イエス」 と大きな声で言う必要がある。次のバス停に待っている客がいない場合、イエスと言わないと通過してしまうことがある。

 ファッションショーモールのバス停だけは南行きのバスと北行きのバスが同じ場所に停車するため、乗車の際、運転手に南行き (south bound)か、北行き (north bound) か確認する必要がある。

 各ホテルにおけるバス停は非常に奥まった場所にあることが多く、ストリップからぜんぜん関係ない方向へバスが進んでしまうことがしばしばあるが、それはホテルの構内を迂回するためのものなので、あわてる必要はない。また、停車するはずのホテルを通過してしまったように見えることもあるが、それも迂回のためで心配無用だ。

 Trolley の発音が簡単そうで非常にむずかしく、普通の日本人の発音ではまず通じない。ro の部分にアクセントを置くのがコツだが、通じると思わない方がよい。したがって、トロリーに関することを誰かにたずねる際は、紙に trolley と書いて示した方が手っ取り早い。


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