週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2006年 01月 25日号
米国産牛肉はラスベガスで! 韓国焼肉レストラン徹底調査
 日本では牛タンや臓モツなど、焼肉の材料が不足しているという。不足すれば価格が上がるのが世の常。カルビなどの価格は落ち着いているものの、牛タンなどは高値水準にあるらしい。そこへ来ての米国産牛肉の輸入禁止。焼肉ファンの読者がラスベガスの焼肉事情に興味を示すのもムリはない。

 さて、「焼肉屋はどこに?」 との問い合わせに続いて多いのが、「アメリカのレストランの牛肉は安全?」 だ。
 その答えはむずかしい (確率論的には極めて安全だが)。なにせ日本は米国産牛肉を再度輸入禁止にしたが、そのアメリカはこれまで日本産を禁輸していた。「日本でも BSE感染牛が見つかっている」 というのがとりあえずの理由だ。また、アメリカは昨年 7月までカナダ産も禁輸していた。「アメリカで見つかった感染牛はカナダ経由で入ってきた」 というのがアメリカの主張だが、そんな矢先の一昨日 23日、またカナダで 4頭目の感染牛が見つかった。が、日本はそのカナダからの輸入を続けており、禁輸の予定はないという。
 こうなるとどこ産が安全なのかサッパリわからなくなる。ようするにちがいは検査方法ということか。周知の通り、アメリカは日本と違って全頭検査ではない。
 それを問題視するかどうかは意見が別れるところだが、とにかく大多数のアメリカ人、そしてカナダ人は生産地などまったく気にせず毎日肉を食べている。そもそも BSE問題は通商・経済ニュースにはなっても、一般市民レベルの社会ニュースとしてはほとんど報道されていない。また、スーパーの店頭で産地などが明記されていることもないので、無関心なのも当然か。
 ひょっとすると、無関心なのはアメリカ人やカナダ人だけではないかもしれない。日本人もなぜかアメリカに来るとステーキなどを好んで食べる傾向にある。「みんなで食べれば安全」 ということか。

 ということで、前置きが長くなってしまったが、とりあえず勝手に安全と決め込み、本題 「ラスベガスで焼肉」 に入りたい。
 ラスベガスには巨大なカジノホテルが無数にあるが、なぜか焼肉レストランはその中に存在していない。中華料理店や日本料理店はもはや当たり前に存在する時代に、いったいこれはどういうことか。
 一般のアメリカ人はガーリックの匂いを好まないからだ、という人もいるが、中華料理で使うガーリックの量は半端ではない。イタリア料理などでもごく普通に使われている。
 「ガーリック自体は嫌いではないが、それを生で利用する韓国料理は匂いがきつく敬遠されやすい」 という意見もあるが、それが正解かどうかは定かではない。
 ダイニングルームで火を使うため消防当局からの許認可がむずかしい、という説もあるが、鉄板焼きなど、ダイニングルームで火を使う料理店はいくらでもある。
 結局、ただ単に需要が少ないから、というのが最も妥当な理由のようにも思えるが、郊外の焼肉店で白人客をしばしば見かけるようになったので、ホテル内に出現する日も近いかもしれない。

 そのようなわけで今はまだホテル内には存在しないわけだが、落胆するのはまだ早い。他の都市と同様、ここラスベガスにもホテル以外の場所にはたくさんある。もちろんその大半は観光客が徒歩でアクセスしにくい郊外店だが、少なくとも 2店は徒歩圏内だ。
 その2店も含め、在ラスベガスの主要焼肉店を以下にリストアップしてみた。また、そのリストのあとに、日本とのちがいや注意事項などを列挙しておいたので、それも合わせて参考にしていただきたい。なお、各店の味についてのコメントはあえて避けた。すべての店で同じメニューを食べて比較していないのと、注意事項でもふれているが、同一の店でも味のバラツキが大きいからだ。

店名Ginseng Korean BBQ Restaurant番地3765 S. Las Vegas Blvd.
電話702-891-8403営業時間毎日 24時間営業
熱源ガスグリル付きテーブル数15JCBカード使用可喫煙喫煙席多数
 ストリップ地区のホテル街から徒歩でアクセスできる貴重な店。場所はモンテカルロホテルのすぐ目の前。24時間営業が自慢。
 すでに多くの日本人観光客が利用しているようで、いろいろな意見が寄せられているが、味に関しては賛否両論、大きく二つに分かれているようだ。
 なお、場所柄、有名人が多く訪れており、店内には韓国人気スター・チャンドンゴンなどのサイン ("店内写真2" をクリック) が所狭しと飾られている。
  地図 & 行き方  店内写真1店内写真2   メニュー1


店名Kimchi Korean BBQ番地3049 S. Las Vegas Blvd. #17
電話702-894-9944営業時間毎日 24時間営業
熱源ガスグリル付きテーブル数21JCBカード使用可喫煙喫煙・禁煙 半々
 この店もストリップ地区にあるのでホテルから徒歩でアクセス可能。ただしこちらはスターダストホテルの前、つまりかなり北に位置しているので、人気の主要ホテルが集中する南地区からはやや遠い。ちなみに Ginseng のオーナーと、この店オーナーは同族ファミリーとのこと。
 この店にも有名人が数多く訪れており、キムヨンジャのサイン (店内写真2) などが飾られている。団体用の個室、それにバーカウンター (店内写真1) なども充実。
 そしてよい話がもう一つ。このラスベガス大全の [クーポン]セクションにあるクーポンを印刷して持参し、代金を JCBカードで支払うと 10% 引きになる。
  地図 & 行き方  店内写真1店内写真2    メニュー1


店名BBQ House番地953 E. Sahara Ave. #33
電話702-369-6250営業時間月-土 10am〜11pm、日 4pm〜9pm
熱源炭/ガスグリル付テーブル数5JCBカード使用不可喫煙全席喫煙
 この店が立地している場所 "コマーシャルセンター" には 5〜6 軒の焼肉店が軒を並べる激戦地区。そんな中からこの店をこの地区の代表として取り上げた理由は 「ラスベガスで唯一炭火で焼く店」 (店長) だからだ。が、その後に取材した Mother's Korean Grill も炭火を使っていることが発覚。なお、これまで 「ラスベガスで唯一炭火」 をセールスポイントにしてきた OK BBQ は先日廃業した。(ここでいう 「炭」 とは、どの店の場合も 「炭単独」 ではなく、ガスバーナーの上に炭を置く 「ガス/炭 併用方式」 のこと)
  地図 & 行き方   店内写真1、    メニュー1


店名Mother's Korean Grill番地4215 Spring Mountain Rd. #107
電話702-579-4745営業時間10:30am〜12:00mn
熱源ガス/炭グリル付きテーブル数15JCBカード使用不可喫煙全席禁煙
 昨年オープンした比較的新しい店。新しいため非常にきれいだが、きれいな理由は他にもある。タバコで汚れることを嫌ったこの店の女主人が全席禁煙にしてしまったのだ。タバコの煙と焼肉の煙、どっちが店を汚すのかよくわからないが、このポリシーは歓迎したい。個室 (店内写真2) なども、とても焼肉店とは思えない美しさ。それにしても全米規模で禁煙運動が進んでいるというこのご時世、ラスベガスの焼肉店は喫煙できる店が多すぎる。他州では考えられない喫煙天国だ。
  地図 & 行き方   店内写真1店内写真2   メニュー1


店名Koreana BBQ番地2447 E. Tropicana Ave.
電話702-458-6869営業時間毎日 11:00am〜10:30pm
熱源ガスグリル付きテーブル数8JCBカード使用不可喫煙全席喫煙
 全席喫煙席というのはいただけないが、大衆的雰囲気が漂っており好感が持てる。この店のセールスポイントをオーナー (店内写真1) に聞くと、「手作業で肉をカットしているのはラスベガスで当店だけ。他の店は電動カッターで骨や肉をカットしている」 とのこと。手作業と電動で、味にどのようなちがいが現れてくるのかよくわからないが、効率の悪さが価格に跳ね返ってこなければ良しとしよう。ちなみにこの店では焼肉をオーダーすると Plate Chareg (鉄板使用料) と称する料金が一人につき 5ドル加算される。さっそく跳ね返ってきた。いや、一皿の値段が他店よりやや安いので、跳ね返っていないかもしれない。
  地図 & 行き方   店内写真1、    メニュー1


店名Tofu Hut番地3920 Spring Mountain Rd.
電話702-257-0072営業時間月-土 10am〜2am、 日 5pm〜2am
熱源ガスグリル付きテーブル数9JCBカード使用不可喫煙喫煙・禁煙 半々
 その名前のためか、焼肉店というよりもスーンドゥブーの店という印象が強いが、焼肉の評判もまずまずだ。店員も総じてフレンドリーで、場所もチャイナタウンなので悪くない。夜遅くまで営業しているところも深夜族にはありがたい。一方、至近距離に Mother's Korean Grill が昨年オープンしたので、客の数がやや減少傾向にあるように思えるが気のせいか。いずれにせよ、ライバルとの良い意味での競争でさらなるサービスの向上を期待したい。
  地図 & 行き方      メニュー1


店名Korean Garden BBQ House番地4355 Spring Mountain Road
電話702-383-3392営業時間毎日 11:00am〜11:00pm
熱源ガスグリル付きテーブル数21JCBカード使用不可喫煙全席喫煙
 この店もチャイナタウン。Tofu Hut と Mother's との競争をどう勝ち抜くかが今後の課題だが、この店は 2階にあるので露出度的にハンデを背負っており、苦戦を強いられるかも。規模が大きいだけにこの店の動向は気になる。
 なお、今回の取材時、メニューは公開したくないとのことだったので公開しないが、何かメリットがあるのだろうか。
  地図 & 行き方   メニューの公開希望せず


店名Shilla Restaurant番地2721 W. Sahara Avenue
電話702-362-5050営業時間毎日 10:30am〜11:00pm
熱源ガスグリル付きテーブル数16JCBカード使用不可喫煙喫煙席多数
 東洋風の外観もさることながら、かなり昔からここでビジネスをしているため、この店を知る日本人は少なくない。かつては日本からの団体客もよく利用していた。座敷や寿司セクションを設けるなど、日本人団体客の需要を満たすべくそれなりの努力がうかがえる。それでもチャイナタウンに焼肉店がなかった頃に比べると存在感が薄れてきているように思えるが、気のせいか。
  地図 & 行き方   店内写真1店内写真2    メニュー1


店名民俗村 (Min Sok Chon)番地1801 E. Tropicana Ave. #2
電話702-262-5592営業時間毎日 5:00pm〜3:00am
熱源 -グリル付きテーブル数 -JCBカード使用不可喫煙全席喫煙
 漢字で "民俗村"、これがこの店の名前で、発音は Min Sok Chon。この店は焼肉を出すが、それはあらかじめ調理場で焼かれたもので、客が自分のテーブルで焼く方式の焼肉ではない。ということで、今回の記事の趣旨に反する店だが、この興味深い名前と、日本の居酒屋を彷彿とさせるインテリアやメニューは無視できないのであえて掲載してみた。レストランというよりも居酒屋として利用すると新たな発見があるかも。
  地図 & 行き方   店内写真1    メニュー1


店名Green Room Korean Restaurant番地4490 Spring Mountain Rd.
電話702-221-2271営業時間月-土 11:30am〜3am、 日 5pm〜1am
熱源 -グリル付きテーブル数 -JCBカード使用不可喫煙喫煙・禁煙 半々
 民俗村と同様、テーブルで焼くことはできない。が、この店も無視できない特徴を持っている。とにかく狭いのと、アットホームな雰囲気。良くも悪しくも強烈な個性を放っている。また、陶芸家から直接仕入れる手作りの器もこの店の自慢だ。料理も韓国の素朴な郷土料理っぽいものを多く出す。が、その一方でコンテンポラリーなスペシャルメニューを出したりもする。
  地図 & 行き方      メニュー1


 アメリカにおける韓国焼肉店は、日本のそれと多くの部分で異なっているので、そのちがいを知っておく必要がある。特に 「量のちがい」 などは知らないととんでもないことになるので十分な注意が必要だ。なお、アメリカの焼肉店のスタイルやコンセプトは基本的に本場韓国と同じと考えてよい。つまり日本だけが独自の焼肉文化を築いているようだ。したがって、韓国で焼肉を体験したことがある者は、以下を読んでいただく必要はない。

一人前の定義がまったく異なる
 日本での 「牛タン 1人前」 は、一人が満腹になる量ではない。一般的には 10枚以下が普通だろう。結局、一人が牛タン、カルビ、ミノ、レバなどをそれぞれ一皿ずつオーダーしたりする。しかしアメリカでは一人前は一人前、つまり一人が満腹になる量が一人前だ。ちなみに右の写真は今回の取材でオーダーした牛タン一人前。これは平均よりもかなり少ない方だったが、それでも日本の倍ぐらいはあるだろう。この事情を知らずにオーダーすると、想定外の量の肉を目の前にして途方に暮れることになるので要注意だ。なお余談だが、アメリカでも数年前に比べ量が減ってきているように思える。かつては日本の 4人前ぐらいの量が当たり前だったが、最近は 2人前程度のことが多い。勝手な推測はよくないが、ひょっとすると、日本人客には日本のスタンダードに合わせて少なめに出しているのかもしれない。さらなる調査が必要だ。

パンチャンがあるので、あれこれオーダーしないこと
 キムチ、カクテキ、ナムル (野菜の和え物のたぐい) など、小皿に乗ったおかずのことをパンチャン(panchan) というが、これはアメリカでも韓国でもすべて無料が常識だ。また、おかわりも自由だ。店によって出てくる数は異なるが、ラスベガスの店では一般的に 5〜8 種類出てくる (右写真)。これだけでも十分おかずになるので、あれこれたくさんオーダーすると食べきれなくなるので注意したい。

ライスも無料が一般的
 ライス、つまりご飯も日本とちがい無料が普通だ。ごくまれに有料の店もあるが、それは極めて少数派と考えてよいだろう。もちろん無料の場合、おかわりも自由だ。また、パサパサした長粒米が主流の中華料理とちがい、韓国料理で出てくるライスは日本人が日ごろ食している短粒米や中粒米なので非常においしい。ラスベガスに長期滞在し洋食に飽きた者はまず中華料理店に足を運ぶようになるが、中華料理もすぐに飽きたりする。その最大の理由はこの米のちがいといわれているが、とにかく日本の米が恋しくなった際、韓国焼肉店は強い味方だ。

スープも無料だが、ラスベガスの店では出ない場合も
 金属製の器に入った軽い味付けのスープは韓国料理に欠かせない定番だが、これも無料だ。ただ、ラスベガスの場合、なぜかこのスープが出てこない店が少なくない。

サラダも無料で必ず付いてくる
 日本以外の焼肉店ではサラダも無料が常識だ。内容はほぼ決まっており、細かく切った葉物野菜 (サニーレタスのたぐいなど) を中心に、それに細切りのネギが少々。味付けはあっさりした塩味にオイル、もしくは軽めの透明系ドレッシングだ。
 パンチャン、ライス、スープ、サラダがすべてタダとなると、「それで満腹。無料で食事ができる!」 などとバカなことを考えてはいけない。当たり前のことだが、あくまでもカルビなど、有料アイテムをオーダーしないとこれら無料アイテムは付いてこない。

ラスベガスは安くない
 一人前の量が多く、パンチャン、サラダ、ライスなどが無料となると、かなり割安のようにも感じるが、じつはラスベガスの焼肉店の価格は決して安くない。ロサンゼルスなどに比べるとかなり割高であるばかりか、日本と比べても高いように思われる。
 ラスベガスの焼肉で 「一人前一皿」 は、家賃が高いホテル街の店で 22〜25ドル前後、郊外店でも 20ドル近くする。日本の焼肉チェーン店で 400円の皿を 3人前オーダーして有料キムチと有料ライスを食べても 20ドルは超えないだろう。ということで、同じ量で比べた場合、価格的なメリットはあまりないと考えたい。また、消費税 7.75% と 18%程度のチップの存在も大きい。

一気に焼かれてしまうので要注意
 決して少なくない 「一人前」 の肉がテーブルに運ばれてきたと思ったその瞬間、ウェイトレスやウエイターがそれらを一気にグリルに乗せてしまう。肉厚があるカルビやミノはともかく、焼きすぎたらうまくないタンなどの場合は本当に困ってしまう。薄切りのタンは 1分もすれば火が完全に通ってしまうが、1分以内にすべてを食べることなどほとんど不可能だ。カルビやミノだって焼きすぎはうまくない。
 とにかく黙っていると、よほどサービスが悪い店でない限り、そのようにされてしまう。これが韓国流のサービスらしいが、おいしく食べたい者は、あえてそのサービスを丁重に断り、自分で一枚一枚焼いて食べた方がいいだろう。何やら韓国人にいわせると、一枚一枚焼いて食べるその日本人の姿はみみっちく見えるらしい。
 なお、日本では一口サイズに切ってあることが多いカルビもアメリカでは通常、骨に付いたままの長い帯状の肉でテーブルに運ばれてくる (メニューの段階で、骨付きと骨無しがはっきり区別されている店も少なくない)。その場でウェイトレスやウエイターがそれをハサミで一口サイズに切ってくれたりするわけだが (焼いてから切ってくれる店と、切ってから焼く店がある)、油断していると一気に焼かれてしまう。だからといって、「一枚一枚自分で焼いて食べるからサービス不要」 とか言ってしまうと、今度は二度と来てくれなくなり、自分でハサミで切るハメになるが、おいしく食べるためには、その程度の労力は惜しむべきではないだろう。

味付けのちがいにも注意
 ここからは注意というよりも事前知識として知っておいた方がよいので紹介しておきたい。カルビなどの味付けは日本に比べ総じてやや甘い傾向にある。それはそれで特に問題ないと思われるが、日本とのちがいは、その味をタレで調節できない、ということ。日本では、すでに味が付いている肉を焼いたあとに、さらにさまざまなタレに付けて食べるが、アメリカではタレがない (タレを出す店もたまにあるが、かなり少数派)。つまり、事前の味付けが最終の味ということになる。

タン塩は逆に事前の味付けがない
 日本ではタンにあらかじめ塩味が付いているのが一般的のようだが、アメリカではタンに味が付いていることはまずない。その代り専用のタレが出てくる。タレといってもたっぷり盛られた塩にごま油がたらしてあるシンプルなものだが (日本ではレバ刺し用のタレか)、これはこれでなかなかいける。タンを集中的に食べる者はこのタレがすぐなくなるが、その場合は遠慮なく追加リクエストしてかまわない。

味のバラツキが大きい
 カルビやミノなど、タレ系の肉は、タレそのものの甘さ辛さのちがいのみならず、肉をそのタレに漬け込んでいる時間の長さによって、味が大きく違ってきてしまう。したがって、同じ店でも毎回かなりバラツキがある。日本のようにつけ込む時間をマニュアルなどでしっかり管理している店は少ないようだ。
 タンのバラツキはもっと大きい。そもそもタンは、タンそのものの品質のバラツキだけでなく、そのタンの部分によってもかなり味が違う。つまり舌の先っぽなのか、奥の方の根本に近い部分なのかで味が異なる。「先っぽは、いつもペロペロ動かしているから筋肉質になりやすく、奥の方はあまり動かないから脂が乗っている」 などといわれるが、その傾向はたしかにあるようで、実際にタンを解体してみるとその様子がよくわかる。そのような理由から、同じ店でもタンの味は毎回異なることを承知しておいた方がよい。(根本しか出さないという高級店も日本には存在しているようだが、少なくともラスベガスではそこまでやる店はないと思われる。ただし、常連客に根本の部分、一般客には先っぽを出す、などということはあり得るかもしれない)

熱源はガスが多数派で炭は少数派
 ラスベガスの焼肉店の場合、今回の取材で調べた限りではガスが主流で炭は少数派。その炭の場合も 「完全に炭」 ではなく、ガスバーナーの上に専用の網みたいなものを置き、その上に炭を置くという 「ガス/炭 併用方式」 だ。黙っているとガスだけになってしまう (炭を上に置いてくれない) ので要注意だ。ちなみに炭の charcoal の発音は、日本の 「チャコール」 では通じにくい。cha にアクセントを置く。いずれにせよラスベガスで完全炭火は期待しない方がよい。

行儀作法も日本とはかなり異なる
 最後に行儀作法や習慣の違いについて。日本ではご飯を食べる際、茶碗は手に持つのが常識だが、韓国では茶碗(金属であることが多い) はテーブルから持ち上げないのがマナーだ。だから金属の茶碗を見て、「熱くて持てないじゃないか!」 と言ってはいけない。はじめから持ち上げるべきものではないのである。
 また、そのご飯はハシではなくスプーンを使って食べる。そのため韓国料理で出てくるスプーンは深さが浅く平べったい。したがって、肉やパンチャンを取ってからご飯を食べる際は、ハシからスプーンに持ち替える必要がある。が、実際に現場で見ていると、韓国系の人でも持ち替えないことがあるようだ。将来的には消え去る習慣ということか。
 あと知っておきたいこととして、パンチャンを取る時は直箸で取らなければならない。日本式に箸をさかさまに持ち替えて小皿に取り分けてから食べるなどということは、日本では上品でも韓国流では不作法になる。
 また、興味深い習慣として、ビールなどを目上の者からお酌してもらった場合、目下の者はそのビールを飲む際、その目上の者の方向を見ながら飲んではいけない。つまり横を向いて飲む。日本的に考えば、先輩の顔を見ずにそっぽを見て飲むことは失礼極まりないことになるが、韓国ではそれがマナーというからおもしろい。
 また、座敷で女性は正座ではなく、あぐらをかいたり、膝を立てたりしていいのも韓国文化の特徴だ。伝統衣装にミニスカートがあったらこのような習慣は生まれていなかったと思うと、じつに興味深い。


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