週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2006年 01月 11日号
"馬の総本山" を目指すサウスコーストがオープン
 先月 22日、ストリップ大通りの中心街から南へ車で 15分ほどの場所に、1355室 (第1棟が 660室、第2棟が 695室。第2棟はまだ工事中で 6月頃オープン予定) のカジノホテル South Coast がオープンした。
 建設したのはスターダスト、バーバリーコースト、オーリンズなどを所有する Boyd Gaming 社で、総工費は約 6億ドル。

 あいにく同ホテルの広報部門側の準備が整っていなかったことや、写真撮影の許可の取得に手間取っていたことなどもあり、記事と関連する写真の入手に間に合わなかったが、とりあえず簡単にこのホテルの特徴などを紹介してみたい。(写真はすべてホテル側からの提供写真)

 まず一般観光客にとって知っておかなければならない重要事項は、やはり立地条件だろう。ストリップの中心街からかなり離れているので、レンタカーを借りる予定がない限り、日本からの一般観光客には向いていない。
 では、いわゆるローカルカジノ、つまり 「地元民向けのカジノ」 と同じかというと、必ずしもそうでもない。
 たしかにカジノ収益の大きな部分を地元民に頼らざるを得ない状況は他のローカルカジノと同じだが、ロサンゼルスからラスベガスへ入る際の通り道に位置しているため、カリフォルニアからの利用客にかなり期待がかかっており、そのへんの事情は他のローカルカジノとやや異なっているようだ。
 それだけならばプリム地区の中堅カジノホテルとあまり大差がないようにも思えるが、このホテルが非凡というか特異なところは Equestrian 施設、つまり馬場を持っていることで、これは世界でもほとんど例を見ない極めて珍しい特徴といってよいだろう。
 ではこのホテルは馬場で何をもくろんでいるのか。それはズバリ、馬に関するイベントの誘致だ。アメリカは競馬が非常に盛んな国のひとつだが、競走馬以外の分野においても、乗馬を趣味にしている者がごく普通に自宅の裏庭で馬を飼うなど、馬に関する文化や産業のすそ野が非常に広く、品評会から馬術競技まで、大小さまざまなイベントが毎日のように全米のどこかで行なわれている。それらイベントを根こそぎラスベガスに誘致しようというのがこのホテルのねらいで、まさに世界の馬の総本山を目指したい考えだ。ちなみにその馬場には 4400席を誇る客席スタンドがあり(現在工事中)、競馬以外のほとんどのイベントの誘致が可能という。
 当たり前のことではあるが、馬のイベントには馬場が不可欠なわけで、これまでは結果的に、都市部から離れた郊外や田舎町で行なわれることが多く、大きなイベントの場合、宿泊施設の不足が問題となってきた。このサウスコーストはそういった問題を一気に解決できる施設として、早くも関係者から注目を集めており、サイズ的には決して大きいホテルではないものの、将来が有望視されている。

 馬場以外の施設としては、約 7000平方メートルを誇るカジノ & スポーツブック、64レーンのボウリング場、16スクリーンのシネマコンプレックス、バフェィおよび 7つのレストラン、それにビンゴ会場、託児所など、普通のローカルカジノが持つ一通りのアメニティーはすべてそろっている (馬場と客室第2棟以外はすでにすべて完成し営業中)。これだけそろっていれば、馬のイベントが行なわれていない間でも、一般のローカルカジノとして十分にライバルと戦っていけることだろう。

 最後に、日本からの観光客にとってのこのホテルの位置づけだが、ストリップ地区のホテルよりも宿泊料金が安く、また、総じて使いやすい構造になっているので (駐車場から客室へのアクセスなどはかなりスムーズ)、価格重視派のリピーターなどには利用価値がありそうだ。ただしすでにふれた通り、あくまでもレンタカー利用という前提での話であって、そうでない場合は避けた方がよいだろう。
 なお、同系列 (Boyd 社) の類似ホテル、オーリンズとどうしても比較したくなってしまうが、こちらの方がストリップ地区からやや遠いものの、ストリップ大通りの延長線上にあるため (ラスベガスアウトレットのさらに南側の Las Vegas Blvd.沿い) 気分的にわかりやすく、距離のハンデをあまり感じないかもしれない。客室もすっきりシンプルにまとまっており、ストリップ地区の中堅ホテルと比べても遜色はないだろう。
 ちなみに先週大型コンベンション CES がラスベガスで開催されたが、そのようなイベントなどで宿泊料金が高騰している時期には、このホテルの存在意義がさらにアップしそうだ。


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