週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 11月 09日号
大仏で知られる話題のレストラン TAO がついにオープン
 ダイニングルームに大仏が鎮座することで知られるニューヨークで人気のアジア料理レストラン TAO (写真右、クリックで拡大表示) がついにラスベガスにもオープンした。

 「ついに」 というのには理由がある。2003年から工事が何度も中断し、そのつど現場に 「この夏オープン」、「来春オープン」、「まもなくオープン」 などと次から次へと開業予告の看板を付け替えてきたからだ。
 何ごとにおいてもあわただしく変化するラスベガス。ホテルにしろレストランにしろ、一度宣言した開業予定日が狂ってしまったり計画倒れになることはよくある話だが、2年も延々と引き延ばしながら最終的に開業にこぎつけた例はほとんど聞いたことがない。
 遅れた理由はいろいろあるようなのでそれには触れないこととして、とにかく先月始め、マライヤキャリーなど芸能人を招待しながら華々しくオープンした。(ソフトオープンは 9月末)

 場所はベネシアンホテルの二階。水路があることで知られるショッピング街 「グランドキャナルショップス」 の西端、つまり一番ストリップ大通りに近い側だ。左の写真はストリップ側から見たものだが、この写真の左半分のほぼすべてが TAO と考えてよい。4-5年前のラスベガスを知る者は、かつて STAGE-16 (ワーナーブラザーズの映画スタジオをテーマにしたレストラン。週刊ラスベガスニュース 158号で紹介) があった場所、と考えればわかりやすいだろう。

 和食、中華料理、タイ料理をベースとするアジアンフュージョン料理を出すこの TAO は、ニューヨークのグルメ界では知らない者がいないほど有名な店。大仏というビジュアル的にわかりやすいハードによる客寄せ効果もあるだろうが、味やサービスなどソフト面もよくなければそこまで有名にはなっていないはずで、ラスベガス店もそこそこ期待してよさそうだ。
 ちなみに高さ 5メートルほどのその大仏、ラスベガス店にもそっくりそのまま同じものが造られており、台座の部分が池になっているところも同じで、そこには本物の鯉が泳いでいる。
 大仏以外にも、店内の至るところに仏教的な工芸品や仏具、さらには書道などの芸術作品が飾られており (写真右上)、見かけだけはまるで寺か博物館にいるかのような雰囲気だが、現実はまるでちがう。なぜか…。

 寺や博物館と聞けば静かな場所というのが通り相場だが、なんとこの店、ラスベガスで最もやかましいレストランといってもよいほどにぎやかで (客の数的にも音楽的にも)、食事をしながらゆっくり会話を楽しめるような雰囲気ではない。
 それもそのはず、週末の夜遅く、この店はナイトクラブに変身するのだ (左写真はいかにもナイトクラブらしい派手な入口)。
 ならば早い時間帯や平日は静かな BGM でも流しておけばよさそうなものだが、一番下のフロアがかなりにぎやかなバーになっているためか (ナイトクラブは一番上のフロア。全体は変則的な吹き抜け構造の3階建)、店全体に常に騒々しい音楽を流している。照明も異常に暗い。となると客は若者ばかりかというとそうでもなく、往年のディスコ世代がその雰囲気を味わいに来ているのか 40〜50代の客も見かける。

 さて料理に関してだが、騒々しい店の雰囲気に似合わず、ラスベガスにいくつか存在しているアジアンフュージョンの店の中ではかなり日本の味に近い。良く言えば、日本人の味覚から大きくはずれた物は少ない、ということになるが、悪く言えば、驚きや新たな発見はあまり期待できない、ということにもなる。
 全メニューをチェックしたわけではないが、たとえば、447号のこのコーナーで紹介した FUSIA、同じく 322号の Ah Sin などに比べると、盛り付けはともかく (右写真は変則的な盛り付けの代表) 味的には明らかにおとなしいまともな料理が多く、不気味でアブナイ料理は非常に少ない。
 そのことを歓迎するかどうかは別にして、日本食に恋しくなることがある者は覚えておいて損はない店のひとつだろう。ただ、想像を絶するやかましさであることだけは忘れてはならない。

 営業時間は寿司カウンター (写真左、なぜか横綱・武蔵丸の写真が飾られている) も含めたダイニングルームが 5:00pm〜12:00am、バーラウンジが 5:00pm〜深夜、ナイトクラブが木〜土の 10:00pm〜5:00am頃まで。予約は 702-388-8338 。
 非常に混んでいる店ではあるが、英語が苦手な者は電話で予約したりするよりも、とりあえず現場へ行ってしまった方がよいかもしれない。待たされている間は呼び出し用の無線機を渡されるが、呼び出されてもすぐに現れない者が多いのか、あらかじめ告げられていた予定時間よりもかなり早めに入店させてもらえることがあるからだ。以下はメニューと、このたびの一連の取材で試食してみた料理の寸評。

   メニュー1、  ワイン & デザート、  各種ティー、  カクテル、  日本酒リスト

Tao Temple Salad   $8
ミックスグリーン、エンダイブ、枝豆、ウォーターチェスナッツの上に揚げたワンタンが乗っている。少し甘めの醤油ドレッシングは日本人の味覚にも合っている。器がどんぶり型なのが印象的。
Peking Duck  $68
この北京ダックは最小オーダー単位が2人前 ($34 x 2)。ダックを包む皮は、メキシカンのトルティーヤ風のものが 6枚付いてくる。ダックと一緒にネギやきゅうりも挟んで食べるが、欲をいえば、ネギをもう少し多めに添えて欲しい。味は想定内のレベルで悪くない。
Hijiki Stuffed Negimaki   $13
ひじきやネギが肉に巻かれて出てくる。ひじきという名前につられてオーダーしてみてが、ひじきの量はごくわずかで、主役は肉や野菜。バター醤油系のあっさり目の味で美味。
Sashimi Tasting with Three Dipping Sauces  $16
ハマチ、サケ、アルバコア(ビンナガ)、タイ、マグロの5種類がわずか1枚ずつだけ出てくる。それにハニーソース、ポン酢、醤油ドレッシングが小皿に添えられてくる。普通の醤油を付けたい者はテーブルに置いてあるのでそれを使えばよいが、ワサビはリクエストしないと出てこない。
Mandarin Sizzled Fried Rice with Peking Duck  $14
Sizzled と書いてあるので鉄鍋か何かでジュージュー音を立てながら出てくるものを期待したが、そうではなかった (それは sizzling か)。ウォーターチェスナッツやブロッコリーが具に使われているところが日本で食べるチャーハンとは違っていたが、味は平凡すぎるほどおとなしい。
Chefs Roll with Tuna, Salmon Tobiko & Tempura Flakes  $16
マグロ、サケ、とびこ、揚げ玉などが入った巻物ではあるが、巻いているのが海苔ではなく大豆で作ったラップ。アメリカでは、海苔は黒い紙のようで美味しそうに見えないのか、海苔を裏巻きで使うか、海苔の代りにこの種のソーイビーンラップ(ピンクやグリーンに着色している場合もある)を使うことが多い。味は想定内。
Handcut Tuna Tartar with Ginger Juice & Wasabi Oil  $14
薄切りキュウリの上に、型に入れてひっくり返したマグロが乗り、周りに味付け海苔が飾られている。それにワサビ風味のほのかに甘い和風ドレッシングがかかっている。Sashimi Tasting with Three Dipping Sauces よりは量があって味もよい。
Thai Fish Hot Pot with Lobster, Scallops, Shrimp, Squid  $32
これはタイの代表料理のトムヤムクンの豪華版で、ロブスター、ホタテ貝、かなり大きめのエビ、イカ、アサリが入っている。スープの酸味、辛さ、甘さはすべて想定内で、意表をつくような変則的なものではない。添え物のライスは当然のことながらタイ米。
Bamboo Steamed Vegetable Dumplings Crunchy Cucumber  $9
Crunchy Cucumber (カリカリしたキュウリ) とは何ぞや? と思いきや、単なるキュウリの酢の物だった。ただし日本の細いキュウリではなく、ズッキーニ風の太めのアメリカンキュウリ。ダンプリングの中身はシイタケ、ニンジン、タケノコ、キクラゲなど。ソースは刻みネギが入ったやや甘めの醤油。
Tempura (Japanese Eggplant)  $3
天ぷらそのものも漬け汁も極めて日本の味に近い。大根おろしが付いているところも評価したい。おろしショーガが付いていればパーフェクト。これで $3 は安すぎ (価格設定ミスか)。なお、Japanese Eggplant となっているが、実際には日本のナスよりはるかに大きいナスが使われていた。
Tempura (Sweet Potato)  $3
これも上と同じく極めて日本の味に近い天ぷら。ひょっとしたら日本のサツマイモか? と、かすかな期待をしながらオーダーしたが、やはりアメリカでの Sweet Potato は日本のサツマイモではなくヤムイモ系のものだった。それはそれでまずくはないので、この値段では文句を言えない。
Tempura (Enoki / Yuzu Dusted Avocado)  $4 / $4
エノキとアボカドは独立したメニューだが、同時にオーダーするとひとつの皿に盛られてくる。付け根部分に海苔が巻かれて出てくるエノキの品種は日本のものとまったく同じ。アボカドは楽しみにしていたが、やはり生の方がうまく、天ぷらで食べるべきものではないことがわかった。
Fuji Apple Springroll  $8
リンゴを春巻きの皮で包んで揚げたもので、アップルパイ風に仕上がっている。甘さ控えめでバニラアイスと一緒に食べるとうまい。
Chocolate Zen Parfait  $8
基本的には日本で言うところのチョコレートパフェのようなもの。シャーベット、チョコレートアイス、苦めのチョコレートソース、リキュールナッツなどが層になって入っている。甘さは見た目から想像できる範囲内のものだが、やはり全部食べるのは苦痛かも知れない。
Gen Mai Cha  $4.50
鉄瓶の急須で出て来るところがなかなか風情があってよい。このサイズは「2〜3人分」 ということで $4.50。シーザーズのオグデンやMGMのロブションでもこの鉄瓶風の急須が使われていたので、これが最近のトレンドか。湯呑みのほかにスプーンと砂糖も付いてくるところがアメリカらしい。
Chai  $6
露出オーバーで撮影に失敗しているが、現物は完全な真っ白ではない。ブラックティーにカルダモンやシナモンなどのスパイスと牛乳をブレンドしたお茶。ほんのり甘いハチミツ味。


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