週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 10月 05日号
ハリケーンで被災、コマンダーズパレスを応援しよう!
 先週のこのコーナーでニューオリンズ一帯のハリケーン災害について書いたが、今週はそのハリケーンで壊滅的な被害を受けた超有名レストラン Commander's Palace のラスベガス店を紹介してみたい。(写真右、クリックで拡大表示)

 ニューオリンズで誕生したコマンダーズパレスは全米屈指の老舗レストランで、創業はなんと 1880年。日本でいえば明治14年、伊藤博文や大隈重信らの時代だ。
 そのあまりにも長い歴史や由緒ある建物から、今では単なるレストランという域を超え、ニューオリンズの観光スポット的な存在にまでなっており、さしずめ重要文化財といった感じの店だ。

 クレオール料理の元祖として、ニューオリンズ市民はもとより、世界中の観光客に知られる有名店ではあるが、創業者一族の一貫した方針により、ニューオリンズにこだわり、他の都市への多店舗展開は拒み続けてきた。(テキサス州に系列店 Brennan's があるが、名称も異なり、ジャンルも微妙に違う)
 そんな頑固一徹のこの店が、創業後 120年以上たって初めて出した支店がアラジンホテル内にあるラスベガス店で (写真左)、あとにも先にもコマンダーズパレスという名前での支店はここだけだ。
 ただ、この一族は、別の名称でニューオリンズ一帯にカジュアルな店を 10店近く持っており、そういう意味では多店舗展開していることになるわけだが、その 「ニューオリンズ一極集中」 が裏目に出て、不幸にも、それら店舗のほとんどがこのたびのハリケーンで浸水してしまった。開業のメドはまだ立っていないという。

 そのような事情があり、現在、一時的に職を失ったウエイターがニューオリンズからラスベガス店に多数来て、本場南部流のサービスを提供してくれている (事実、南部なまりのウェイターが多い)。
 その結果、4人グループの客に対して、同時に4人のウェイターが一皿ずつ運んでくるといった光景もめずらしくない。過剰サービスといってしまえばそれまでだが、被災という事情を考えると素直にそのサービスを喜び、応援したい気持になる。
 また、スタッフの数が多いというだけでなく、それぞれのスタッフのサービスも実によい。メニュー内のひとつひとつの料理の説明は言うにおよばず、後述する 「25セントマティーニ」 などでさえも、オーダーの際、種類や材料のチョイスを延々と説明してくれる。英語が苦手な者は困ってしまうほどの手厚いサービスだ。

 さて、ニューオリンズの料理といえばクレオールとケイジャン。クレオール料理は、比較的身分が高いフランス系の移民がアメリカ南部の食材を生かして作り上げた料理で、ケイジャン料理はカナダやアメリカ北部から渡ってきたフランス系移民がこの地に根付かせた料理といわれている。どちらかというと前者が高級、後者が庶民的とされるが、どちらも基本的にはメキシコ湾沿岸地域の海産物や農産物を素材としており、両者の間にあまり差異は見られないという意見も少なくない。
 店側の宣伝文句やメニュー内の説明によると、とりあえずコマンダーズパレスの料理はクレオールで、ケイジャンではないことになっている。
 いずれにせよ、ラスベガスの一般的な店で出される味とは微妙に異なっているので、ラスベガス滞在中、「高級店に入ると結局はフレンチかイタリアン。それに飽きたら和食か中華」 というワンパターンの食生活に変化が欲しくなった際は、ぜひ足を運んでみるとよいだろう。南部料理特産のワニやカメの肉を出されたらマンネリ感などすぐに吹き飛ぶはずだ。

 場所はアラジンホテル内の南西端 (ストリップ大通りとハーモン通りの交差点に近い側)。
 通常、高級レストランはディナーのみだが、この店は朝も昼もやっている。ちなみにそのランチタイム、創業の年の数字にちなんだ 「$18.80 セットメニュー」 が人気だ。あと、出血大サービスの 「25セント、マティーニ」 も人気で、アルコールに弱い者ならば 25セントで十分に酔っぱらえる。
 本格的なクレオール料理を食べたければやはりディナーということになるが、料金は、「7品セットメニュー」が $88、「3品セットメニュー」 が $39、単品メニューの場合はアペタイザーが $20〜$30、メインが $30〜$40 程度 。それにワイン、ビール、ミネラルウォーターなどのドリンク類、デザートが $8 (セットメニューには含まれている)、そしてチップが必要になるのでかなりの金額になる。なお、英語が苦手な者は、無条件でセットメニューにするとよいだろう。細かいことは聞かれないので簡単だ。それでも他の一般の店に比べるとウェイターと客の会話はなぜか多い。南部流のもてなしか。セットメニューをオーダーする際のそれぞれの名称は以下の通り。

 ランチ 3品セット  $18.80 : Commander's Palace 1880, Three Course Lunch Special
 ディナー 3品セット $39.00 : Commander's Creole Favorite, Three Courses
 ディナー 7品セット $88.00 : Commander's Tasting Menu, Seven Courses

 なお、これらセットメニュー、ディナー3品セット以外の内容は毎週変ることになっているので、以下の写真で紹介した料理が必ず出て来るとは限らない。そのつど内容を確認した方がよいだろう。

 ダイニングルームは、入口近くのバーカウンターと一続きになっているオーソドックスな部屋、約2000本のワインに囲まれた部屋 (写真右上)、古き良き時代の写真が多数飾られた部屋、ストリップ大通りに面したゴージャスな部屋 (写真右) など、趣が異なった複数のダイニングルームが用意されている。
 営業時間は以下の通り。店が広いので、予約なしでもすぐに入れる可能性が高い。

 ・ Breakfast 月〜金  9:00 am - 11:00 am
 ・ Lunch 月〜木  11:30 am - 2:00 pm
 ・ Dinner (毎晩)  5:30 pm - 10:00 pm
 ・ Brunch 金  11:30 am - 2:00 pm
 ・ Brunch 土 & 日  0:30 pm - 2:00 pm

Turtle Soup au Sherry  $7.50  [3品セットメニューだと $39.00]
単品でもオーダーできるが、下の2アイテムと一緒のセットメニューにすると $39.00。ウェイターが、金属の器に入った熱いスープを、客の目の前で熱々の白い皿に流し込んでくれる。亀の肉は鶏肉のような食感。ほのかな臭みをシェリー酒で消してあり、少々スパイシーでクリーミーで GOOD。
Louisiana Pecan Crusted Fish  $29  [同上]
支配人の LYNN さんに、ここのお勧め料理は? とたずねたところ、最初にすすめてきたのがこの料理。白身魚の下にコーンクリームと茶色いムニエルソースの2種が敷いてあり、軽くてマイルドな味。
Creole Bread Pudding Souffle  $10  [同上]
スフレの部分は、普通のものよりさらにフワフワ感があり、表現が難しいが、メレンゲに似ていると言えばよいだろうか。食感はとても素晴らしいが、中のバーボンウィスキーソースがかなり甘すぎるのが残念。
Gumbo du Jour  $7.50
クレオール料理でおなじみのガンボスープ。ガンボ(gumbo) とはオクラのこと。このレストランのスープは、一般的に見られるオクラや他の野菜がコロコロ入ったガンボスープとは異なり、クリーミーで程よくスパイシーな味付けが高級感をうまく演出している。タートルスープと似て非なるものがあるが、どちらも同様に非常にうまい。
Crispy Louisiana Soft Shell Crab  $39.00
まずこのソフトシェルクラブの大きいことに驚かされる。アメリカの寿司店などで見かけるソフトシェルクラブの4倍はあるだろうか。パン粉をつけて揚げてあり、トマト、キノコ、オリーブなどが添えられて、やさしい味に仕上がっている。
Creole "Opera" Cake  $8.00
このチョコレートケーキは大きく(縦5cmx横10cmはある) 非常に甘い。このケーキが出てくるまでに食べた繊細な料理の味を忘れさせるような甘さで、まるでおすすめできない。
Heirloom Tomato Salad  $13.50  [7品セットメニューだと $88.00]
単品でもオーダーできるが、下の6アイテムと一緒のセットメニューにすると $88.00。3種類のトマトとオニオンスライスをマヨネーズ風のソースとオイルで食べる。クセがない味付けなので、誰もが好き嫌い無く食べられるシンプルなサラダ。上品なうまさに感動。
Wild and Foraged Mushroom Ragout  $11.50  [同上]
一見アワビの様に見える大きなキノコとパイの料理。キノコの名称は Abalone Mushroom、まさにアワビだ。パイのサクサク感が印象的で、そのパイの間には、別のきのこ(Oyster Mushroom と Lobster Mushroom)が隠れている。バジルがほんのり香る緑のソースと調和して美味。
Roasted Foie Gras Gumbo  $14.50  [同上]
クリーミーなガンボスープにフォアグラとキノコが入ったコクのある一品。写真はセットメニュー (Tasting Menu) の一部なので量は少なめ。非常にうまい。
Hawaiian Opaka-paka with Gulf Shrimp  $39.00  [同上]
Opaka-paka とはハワイで獲れる鯛の様な白身の高級魚。ゴマをまぶして調理した魚の上に海草と海老のサラダ、ゆずワサビ、トビコソースがのせられており、どこか日本風ともいえる親しみやすい味。下にあるピンク色の物はスモークサーモンではなくビーツ (赤色のかぶの様な根菜)。周りはトビコのソース。カラフルな見かけのわりには、味にパンチがない。
Commander's "Surf and Turf"  $45.00  [同上]
フィレミニオンとクラブミートの春巻き、ポテト添え。フィレミニオンは、焼き方は聞かれなかったが、綺麗なミディアムレアに仕上がっていた。ソースは赤ワインを煮詰めたような感じもするが、複雑で表現できない。春巻きは、皮のサクサク感は良いが、中のクラブミートは味付けがいまひとつで、中華の春巻きともかけ離れた味。春巻きの下にあるアズキ色の物は、紫芋をサワークリームとバターとネギであえたもので美味。
Chefs Selection of Cheeses  $12.50  [同上]
セットメニューの6番目、デザートの直前に出るチーズの盛り合わせ。左から、カマンベール、ゴートチーズ、牛乳のチーズ、ブルーチーズ、奥はピーカン&ドライフルーツのハニーコンポートとラズベリー。薄切りのフランスパンが添えられてくる。
Chocolate-Peanut Butter Gateau  $8.00  [同上]
チョコレートとピーナツバターを使ったケーキは、クリーミーでこってりとしている。ハッキリ言って甘すぎまるでダメ。
Louisiana Alligator "Cordon Bleu"  $12.50
アメリカ南部料理の象徴的食材アリゲーター (ワニ)。食感は鶏肉に近い味だが、パサパサした感じは無く、臭みもまったく無い。肉の間にモッツァレラチーズを挟んで、パン粉を付けて揚げてある。ほんのりスパイシーなクリームソースにのせられてくる。これは素直にうまい。
New Orleans Seaffod Barbecue Stew  $36.00
エビ、カキ、白身魚が入り、魚介のダシが十分に引き出されたシチュー。中央には白いライスが盛られており、分りやすく説明すると、「魚介類のハヤシライスをスパイシーにした感じ」 といったところか。スパイシーといっても程よい感じで、ライスが付いてくるところが馴染みやすく、お勧めの一品。
New Orleans Style Po-Boy Sandwich  $17.50
Po-Boy とは Poor Boy の略で、貧乏な少年が腹一杯になるサンドイッチを意味するらしいが、写真をご覧の通り、このレストランの中では庶民的名雰囲気が漂うメニュー。 カキフライとエビフライをマヨネーズであえて、トマトとレタスを一緒に挟んだフランスパンのサンドイッチ。 添えられているフライは、スイートポテトのフライでほんのりと甘く、ジャガイモのポテトとは違う。
Creole Tomato Bisuque  [3品セットメニューで $18.80]
ランチタイムのみ、下の2アイテムとセットで $18.80。トマトの程よい酸味とスパイスがマッチし、トマト嫌いの人でも食べられそうな一品。金属の器から、熱いスープを目の前で皿に注いでくれる。
Pan Roasted Gulf Fish  [同上]
フライパンでローストした白身魚と、ワイルドライスのコロッケ。魚はあっさりした味で、コロッケはワイルドライスが香ばしく歯ざわりが楽しい。
Frozen Banana Foster Mousse  [同上]
いわゆるバナナフォスターとは違い、ナマのバナナにブラウンシュガーをまぶしてバーナーで焼いたものが、ムースの上に乗っている。ムースというよりは、しっかりした感じのナッツとバナナ味のデザートで、このレストランでこれまでに食べたデザートの中では一番甘みが少ない。


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