週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 09月 21日号
噴水ショー、曲目すべての徹底分析と撮影ポイントの考察
 ラスベガスに数ある無料アトラクションの中で、圧倒的人気を誇っているのがベラージオホテルの噴水ショー。
 開業以来早くも7年が経過し、リピーターにとってはそろそろ新鮮味がなくなりつつあるのも事実だが、それでも毎年新たな曲が追加され、マンネリ化を防ぐ努力もなされている。
 ちなみに前回このセクションで噴水ショーを取り上げて以来、新たに 7曲 (クリスマスソングなどの季節ものの曲は除く) が追加された。
 以下にその新曲も含めた全曲目の徹底分析と、その最新のスケジュール表、そして問い合わせが多いこの噴水ショーの撮影ポイントに関する考察をまとめてみた。

現在行なわれている噴水ショーのスケジュール表 ← クリックで表示

[撮影アングル1] ベラージオ本館を背景にするのが "定番"
だれもが思いつくアングルのためか、旅行ガイドブックなどに掲載されている写真の大部分はこのアングルから。噴水全体を見渡せるというメリットは絶大で、無難な写真を撮りたければ、やはりこの位置がベストと思われる。
[撮影アングル2] エッフェル塔 & 凱旋門を背景に
定番に次ぐ人気のアングル。激しく動く噴水のシャッターチャンスを逃しても、ゴージャスなエッフェル塔がアクセントを添えてくれるのでそこそこの写真が期待できる。凱旋門を噴水でかくさないように撮りたい。
[撮影アングル3] シーザーズパレスを背景に
背景は完成したばかりのシーザーズパレスの新館 "Augustus Tower"。壁面と噴水が同じ白のため単調な写真になりがち。湖面がブルーに、そしてベラージオの壁面がピンクに照らし出された瞬間がシャッターチャンス。
[撮影アングル4] アラジンホテルを背景に
忘れられがちな存在のアラジンホテルだが、壁面の照明の色にはかなりしっかりした主張があるので、背景としてはそれなりに使える。ただ、このアラジンを背景に撮り込める位置はそう多くない。
[撮影アングル5] バリーズホテルを背景に
噴水に対する面積的な存在感はそれほど大きくないバリーズだが、その赤と青は暗黒の夜空に添えるアクセントとしてはおもしろい。エッフェル塔が映りすぎるとバリーズが負けてしまう。噴水の切れ目がシャッターチャンス。
[撮影アングル6] フラミンゴホテルを背景に
位置的に遠いばかりか、夜間照明が比較的おとなしいフラミンゴをきれいに撮るには望遠が不可欠だが、それを使ってもなかなかうまく撮れるものではない。いっそのこと、夜景はあきらめ昼の景色がねらい目かも。
[撮影アングル7] エルメスを背景に
湖畔に面したエルメスのショップの壁面は黄色。その周囲には少ないながらも緑がある。湖面がブルー、ベラージオの壁面がピンクに照明された瞬間をねらうとカラフルな写真が撮れるが、噴水の動きに合わせるのはむずかしい。
[撮影アングル8] レストランから
湖面に沿って並ぶ各種レストランからの景色はすばらしいが、噴水が近すぎ背景が隠れてしまいがち。噴水が低い時をねらって背景を撮り込んでも、遠すぎてあまり見栄えがしない。ここからの景色は肉眼用で写真には不向き。
[撮影時間帯] 日没直後
空が明るすぎると目的の噴水やホテルの壁面などの背景が映えず、空が暗すぎると写真全体に鮮やかさが不足してしまう。ちょうどその境目の時間帯がベストということになるが、日没後 20〜30分と、その好機は意外と短い。
[撮影時間帯] 
明るすぎると良い写真が撮れないという失敗例。特に曇りの日は、白い噴水と空のコントラスト差がないためまったくダメ。昼に撮るならやはりスカイブルーが不可欠。基本的にこのアトラクションは 「夜のもの」 と考えたい。
[撮影時間帯] 
これも失敗例。「夜のもの」 である噴水ショーだが、完全に日が沈んだあとでは空が真っ黒に映ってしまい、見栄えのする写真にならない。日没直後のタイミングをのがしてしまった場合は、カラフルな背景を撮り込む工夫が必要。
[噴水以外をターゲット] 色を撮る
色を意識して撮ると、ありきたりの構図でも見栄えがする写真に。もしこの写真にピンクがなければ平凡きわまりない写真のはず。ちなみにこのホテルの壁面がピンクに照らし出される瞬間はそう多くない。
[噴水以外をターゲット] 虹を撮る
「夜のもの」 である噴水ショーだが、虹だけは昼しか撮れない。自然界で虹を見るチャンスはそう多くないが、ここでは簡単。背中から太陽光を受ける位置で噴水に向かえば、ほぼ間違いなく虹が出現。もちろん晴れが条件。
[噴水以外をターゲット] 人を撮る
ひと気を感じないクールな噴水も、このように人物を撮り込むことによりまったく別の雰囲気に。現場を見ていない家族や友人に臨場感を伝えたい場合は効果的。全自動カメラの場合、ストロボが光らないように設定する必要あり。
[噴水以外をターゲット] 煙を撮る
噴水ショーではあるが、じつは煙も出る。写真としてはきれいなものではないが、現場で見るとかなり幻想的なので、思い出として撮っておくとよいだろう。ちなみに煙が使われる曲は少なくない。4-5曲も待てば遭遇できるはず。

 以下の 1〜7 までが、前回のレポート以降、新たに追加された曲。

 Viva Las Vegas ( Elvis Presley 2:25 )
 エルビスプレスリーが残した数あるヒット曲の中では、比較的日本人にはなじみが薄い曲だが、当地ラスベガスにとっては、日本における 「君が代」 のような存在で、これを聞かずしてラスベガスを語ることはできない。軽快で楽しいリズムに合わせた噴水は終始激しく動き回り、ダイナミックさではピカイチ。噴水の高さも十分で迫力満点。圧巻は矢のような細い一直線の一本の噴水が舞い上がるシーンで、この装置での限界の高さに迫るとか。一方、華麗かつ繊細な演出を期待する者にとってはまるでダメで、特にエレガントな噴水ショーを観ながら愛を語り合おうなどと思っているカップルにはまったく不向き。幸運とエネルギーをもらってカジノに直行したくなるような曲なのでギャンブラーにはお勧め。
 Rhapsody on a Theme of Paganini ( Mikhail Rudy 2:55 )
 ユナイテッド航空のコマーシャルなどにも採用されたラフマニノフの名曲。エレガントでゴージャスな旋律にマッチした光と水の演出は華麗そのもの。上品な中にもしっかりした力強さが感じられ、その部分で舞い上がる噴水は圧巻。多くの曲が最後に高々と打ち上げる噴水を持って来ているのに対して、この曲は静かに噴水が消えていくように終わる。気品漂う演出はカップルにお勧め。
 All That Jazz ( Catherine Zeta-Jones 4:37 )
 華麗なトランペットの音色で始まり、その後すぐに軽快なピアノに引き継がれる。前半は総じてスローだが、後半から登場するボーカルに合わせたジャズはダイナミックで噴水の動きも活気を帯びてくる。水の動きとしてはグニャグニャ系だが、ラスト1分はグニャグニャ系とダイナミック系が融合されおもしろい。そこそこ楽しめる演出に仕上がっているが、カップルが愛をささやくような場面には不向きのように思える。
 This Kiss ( Faith Hill 3:00 )
 スタート前に幻想的な煙が湖面に広がったかと思うと、それをゆっくり見ている間もなく突然ドカンとダイナミックな噴水で始まる。おなじみのさわやか系の軽快な曲だが、噴水の量はかなりヘビーで重量級。高く舞い上がるシーンも総じて多く、特に後半は水量が増え見応えがある。最後の一発も度肝を抜く迫力。ただ、「観たぁ!」 という満足感は得られるが、ゴージャス感から来るような感動は得られないかもしれない。
 Ayeshe's Dance ( Khachaturian 4:12 )
 ハチャトリアン作曲の名曲だが、ラスベガスのこの雰囲気にはあまり似合わないように思える。クラシックが悪いとか、弦楽器やオーケストラが似合わないということではなく、この曲自体、盛り上がりに欠け、噴水ショーとしての見せ場がないからだ。最後に一発ドーンと上がる部分以外は、あまりにも単調 (なおかつ短調) で、楽しさにも欠ける。ただ、横一直線に噴水が走る場面が非常に多く、シャープな直線的な動きはこの演目の持ち味で、それなりに観ている者を楽しませてくれる。華麗さもあるので、カップルはロマンティックな気分を味わえるかもしれない。
 Fly Me To The Moon ( Frank Sinatra 2:28 )
 日本人にもおなじみのシナトラのナンバー。最初は湖面に広がる煙でスタート。どちらかというとエレガントでロマンティックな曲だが、シナトラがうまく軽快に歌い上げているためか、噴水の動きが曲のイメージよりもかなりな直線的でダイナミック。そこそこお洒落でゴージャス感も味わえ、カップルが愛をささやく場面にも十分使えそうだ。
 Ecstacy of Gold ( Ennio Morricone 3:22 )
 このエンニオ・モリコーネの傑作は湖面に広がる煙から始まる。神秘的なこの曲の振り付けは、噴水よりも煙やライティングに注目したい。点滅するライトの光が煙に当たって湖面に浮かび上がる光景はまさに幻想的。ダイナミックさには欠けるものの、この曲のイメージを考えると、これはこれで十分うまく出来上がっているように思える。
 Hey, Big Spender ( Gwen Verdon & Original Broadway Cast 3:35 )
 これも曲の主旨としてラスベガスらしい曲ということになるが、Viva Las Vegas のようなダイナミックさや軽快さはなく、むしろスローテンポ。おもしろおかしく、かつ怪しげでセクシーなメロディーに沿った演出なので、感動的な要素は少ないかもしれない。独創性は感じられるが、ダイナミックさを期待する者からも、華麗さを期待する者からも支持されないように思える。
 Con Te Partiro/Time to Say Goodbye ( Andrea Bocelli & Sarah Brightman 4:04 )
 この噴水ショーのテーマソングで、どの曜日のスケジュールにおいても、この曲が国歌と並び最初に演奏される。エレガントな旋律とシンガーの歌唱力、それに噴水の流れるような動きが絶妙にマッチしているのか、女性からの人気は圧倒的で、男性が観てもそれなりに感動できる。ロマンティックさでは他の追随を許さず、カップルでの鑑賞にはこの曲をおいて他にない。ただ、ダイナミックに噴水が舞い上がる豪快なシーンがやや少ないので、派手な演出を求める者には物足りなさを感じるかもしれない。
 God Bless the USA ( Lee Greenwood 3:57 )
 湾岸戦争の時に大ヒットしたリー・グリーンウッド作のこの曲は、911テロ事件以降 "第二の国歌" と称されるほど、愛国心を高揚するような場面でよく歌われている。ゆったりしたテンポに反して噴水の動きは終始ダイナミックで、牧歌的イメージが漂うのどかな旋律にもかかわらず、アメリカという国の底力を感じさせる力強い演出がすばらしい。
 Hoe-Down ( London Symphony Orchestra 3:30 )
 前半は弦楽器の調べが美しく、噴水の動きは軽やか。後半はオーケストラならではの荘厳な雰囲気の中で突然水面から煙が出てきたり、空高く爆発的に水柱が舞い上がるなど、水の動きは変化に富んでいる。可もなく不可もなくといったところで、万人向きかもしれない。
 Luck Be A Lady ( Frank Sinatra 5:14 )
 ラスベガスにゆかりのあるスーパースター・故フランクシナトラの最も "ラスベガスっぽい歌"。「マイウェイ」 や 「夜のストレンジャー」 とちがい日本人にはあまりなじみがない曲だが、ここラスベガスではエルビスプレスリーの 「ビバラスベガス」 と並び最も親しまれている曲のひとつ。噴水の豪快さは天下一品で、時間も 5分 14秒と最も長く、軽快なリズムに合わせて噴出される水の総量はダントツの1位と思われる。明るさ、楽しさ、元気さ、三拍子そろっており、ダイナミックな噴水を観たい者にはこれしか無いといった感じの曲。ただ、この歌を初めて聞く者にとっては少々とっつきにくいメロディーなので、あまり楽しめないかもしれない。数回聞いていると、この演出のすばらしさがわかってくるだろう。
 My Heart Will Go On / Titanic ( Celine Dion 5:08 )
 かの有名な映画タイタニックのテーマソング。最初の1分ほどは煙による演出で噴水は一切無し。途中から出てくる噴水も動きは終始おとなしく哀愁が漂っている。曲のエンディングは再び煙が出てきて、潮が引くように静かに終わる。悲劇を題材とした映画のテーマ音楽らしく、情緒的な描写が多く、派手な演出はほとんどないが、これはこれでよいといった感じ。どんなに噴水の演出がすばらしくても知らない曲ではあまり感動できないもの。そういう意味では、この曲はだれもが知っている曲なので万人向きと言えるかもしれない。
 One, Singular Sensation ( Original Broadway Cast 4:43 )
 Hey, Big Spender 同様、少々セクシーな雰囲気が漂う水のダンス。曲のイメージと噴水の動きがうまくマッチしており非常に愉快な演出だが、遊び心ばかりが目立ち、感動は少ないかも。全体的にくにゃくにゃした動きが多く、最後のフィニッシュの場面でやっと豪快なシーンを見ることが出来る。
 Pink Panther ( Henry Mancini 2:39 )
 なじみの曲ではあるが、この噴水ショーでの評価はイマイチか。怪しげなムードに合わせた噴水の演出は独創的ではあるものの、華麗さやダイナミックさに欠け感動がない。遊び心を楽むようにすれば、それなりに満足できるかも。
 Rondine al Nido ( Luciano Pavarotti 3:23 )
 パバロッティの力強い歌に合わせた水の動きはどこか重厚感が漂っており一種独特な味わいがある。曲から伝わってくるイタリアンな雰囲気が、アメリカにいることを忘れさせてくれると同時に、ベラージオホテルのテーマがイタリアであることを再認識させられる。そこそこゴージャス感もあり、カップルにお勧め。
 Simple Gifts ( London Symphony Orchestra 3:12 )
 曲が始まる前に水面に煙が漂い、静かに木管楽器の調べで始まる。前半は美しい旋律で、その後次第に力強い荘厳な旋律に変わる。後半はかなりパワフルで感動的な部分が多いが、せっかく盛り上がったところで曲が終りに近づいてしまうのが少々残念。
 Singin'n in the Rain ( Gene Kelly 3:32 )
 日本でもおなじみの曲だが、軽く聞き流すタイプの曲のためか、インパクトや感動に欠ける。美しい演出ではあるものの、水の動きに主張が感じられず、見せ場や盛り上がりを探すのがむずかしい。ただ、最後の部分がユニークで、曲が終ったあとも水がしばらく噴出し続けるあたりは、テーマの雨をイメージしているようでおもしろい。
 Star Spangled Banner アメリカ国歌 ( Whitney Houston 2:14 )
 湾岸戦争時の 91年のスーパーボウル (プロフットボウル NFL の決勝戦) の開会式でホイットニーヒューストンが国歌を斉唱したことを機会に、彼女のバージョンは国歌の定番に。そんな彼女の熱唱が 911テロ事件後、この噴水ショーに採用され、毎日大とりを務めている。米国のナショナリズムに特別な嫌悪感を持っていない者であれば、日本人でもかなり感動できるのではないだろうか。とにかくこれを聞いていると 「アメリカに来ているんだ」 という気にさせてくれる。また、曲の流れと噴水の動きが絶妙にマッチしており、盛り上がりの部分などは非常に華麗かつダイナミック。なお、この曲だけは毎日出番が決っており、その日の最初と最後に必ず登場することになっている。ちなみに最後は深夜 12時ではないので注意が必要だ。原則としてアトラクションは 12時までとなっているため、この曲は 11:55pm から始まる。
 Your Song ( Elton John 4:10 )
 エルトンジョンの歌自体は悪くないが、噴水をデザインした者にセンスがないのか、この演出では歌と動きがあまりマッチしていないように思える。見せ場にも欠け、噴水はほとんどふにゃふにゃした動きばかり。ちなみに、噴水が軽快に横一直線に走る場面と高く舞い上がる場面は歌の後半に一回あるだけ。
 Winter Games ( David Foster 3:00 )
 ピアノの軽快なリズムとダイナミックな水の動きが見事にマッチ。ロマンティックな雰囲気はないものの、スピード感があふれるさわやかなイメージはそれなりに楽しめる。ただ、テンポが速く演奏時間がやや短いので、ゆっくり味わう暇もなくも一気に駆け抜けてしまう感じなのが少々残念。

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