週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 08月 17日号
フュージョン + アジア = "FUSIA" で味の冒険
 海外旅行での悩みに 「日本食の禁断症状」 というものがある。日本を離れて数日たつと、多くの者が直面する問題だ。中にはラスベガスに到着したその日から日本食が恋しくなるという "重症患者" も少なくない。
 だからといって、わざわざ海外旅行中に和食店に入るのも気が引けるというか、エキサイティングさに欠け楽しくない。やはり食事のときでも、できる限り非日常的なワクワクした気分を味わいたいと思うのが世の常だろう。
 そんな時にうってつけなのが、和食のようで和食ではない変則的な料理を出す店ということになるわけだが、今週は、その種の店の代表格 FUSIA を紹介してみたい。

 場所はピラミッド型ホテルとして知られる LUXOR ホテルの2階。かつて中華系のフュージョン料理を出す店 PAPYRUS があった位置とほぼ同じ場所で、ピラミッド内部の巨大な吹き抜け広場 (写真左、クリックで拡大表示) の片隅にある。
 つまり、PAPYRUS が生まれ変わってできた店ということになるが、FUSIA のジャンルは中華ではなくアジアンフージョンだ。つまりエリアが中国からアジアに拡大された。
 ちなみにこの 「フージョン」 という言葉、日本ではさまざまな使われ方をしているようだが、英語では単純に 「融合」 の意味で、nuclear fusion (核融合) などのように使われる。

 したがってこの店のジャンルは 「アジア料理の融合」 ということになるわけだが、ちなみにマネージャーの Max Son 氏いわく、店の名称 FUSIA は、Fusion と Asia を合体させた造語とのこと。
 具体的には、日、中、韓、さらにベトナム、タイ、マレーシア、インドネシアなどの料理をベースにした創作料理が多く、見た目にも味的にも珍しいものが少なくない。
 それがゆえに、中にはとんでもないような味付けのものもあるが、やはりそこは同じアジア、味噌や醤油の味が恋しくなった者にとっては許容の範囲内であったりする。つまり洋食に比べ、少々冒険をして見知らぬアイテムをオーダーし、仮にそれがかなりハズレていたとしても、どこか身に覚えのあるようななつかしい味であることが多い。

 店内はかなり広く、天井も吹き抜けなので非常に高い。また、テーブルとテーブルの間隔も総じて広く (写真左)、開放感は抜群だ。
 間仕切りは透明な板の間に本物のイチョウの葉があしらわれているなど、どことなく日本的な情緒が漂っている。電気スタンドにトンボが描かれているあたりも、アジアンティストが感じられる。
 さらに数人用の個室 (写真右上)、そしてかなり広いバーも通路を挟んだ反対側に用意されているなど、規模的にも申し分ない。なお、規模が十分なためか、予約なしでもすぐに入れることが多い。

 ストリップ地区の南端に位置する 3大ホテル Excalibur、Luxor、Mandalay Bay (これら3ホテルはモノレールで結ばれている) には本格的な和食店がないだけに (かつて Luxor にあった Hamada はすでに閉店)、これらホテルに泊っていて 「和食的なものを食べたいが、少しは冒険もしてみたい」 という者は、ぜひこの FUSIA に足を運んでみるとよいだろう。
 ちなみに、着席してまず最初に出てくるのが和を代表する枝豆だ (写真右)。どんなものが出て来るかわからない緊張と不安を、この枝豆が一気に払拭してくれる。
 営業時間は 5:00pm 〜 11:00pm。料金や主なメニューおよび今回の取材で試食したアイテムの感想などは以下の通り。
 最後に蛇足ながら注意を二つ。日本語のメニューもリクエストすれば持ってきてもらえるが、翻訳がイマイチなのか意味不明の説明が多く、かえって混乱しかねないので、英語が苦手な者でも日英両方のメニューを受け取った方がよい。あと、一般的なアメリカの中華料理店と異なり、ライス (長粒米) は無料ではなく $6 となっていることも覚えておこう。

   メニュー1、  、  、  、  、  、  、  デザートメニュー日本酒リスト

FUSIA CHILLED SEAFOOD  $26
カニ (キングクラブ) の足とエビの盛り合わせ。3種類のソース (カクテルソース、わさびソース、レモン醤油) が添えられてくる。ソース 3種類はうれしいが、値段のわりに、料理としての楽しみに欠ける。
BLUE CLUB AND ROCK SHRIMP ROLLS  $13
日本語のメニューには、「カニとエビの手巻き…」 と書かれていたので、手巻き寿司のようなものを想像しながらオーダーしたが、高級な春巻きといった感じの食べ物。SWEET CHILI の甘すっぱい辛いソースがアクセント。
SHEF’S SELECTION OF WHOLE CRISPY FISH  $29
日によって魚の種類が異なるらしいが、この日はカレイ。食べやすく切り分けられているところが日本と違うが、味的にはまさに日本のカレイの唐揚。付けダレは甘味のある醤油。箸が突き刺さって出て来るのはいただけない。そのうちだれかが日本の習慣にそぐわないことを指摘するだろう。
FUSIA SPECIAL FRIED RICE  $12
チャーハンのつもりでオーダーしたが、豚、ソーセージ、鶏肉、海老、ベーコン、きのこ、白菜、ピーマン、赤ピーマン、ニンジンなど、具の種類が異常に多く、焦点がボケたパンチのない味に。もっと味付けに主張が欲しい。この店にしては珍しくコショウなどのスパイスも効いていない。
VIETNAMESE DUCK SPRING ROLLS  $8
2種類のソースがかかった冷たい生春巻き。いわゆるベトナムのゴイクンに近いたぐいのものだが、それよりは日本人の味覚に近い味付け。この店のメニューの中では万人向けの無難なアイテムといってよいだろう。
FUSIA NIGIRI STYLE SUSHI PLATTER  $14
寿司そのもので、特にどこかの国の料理とフージョンされているわけではない。ネタは薄めで、しゃりは大きめ。手で握った感じではなく、型に押し込んで作ったと思われ、シャリの部分は四角くカド張っている。もちろん日本の回転寿司よりもレベルは低い。
FU-STYLE CHOW MEIN  $12
FU-STYLE とは、ある特定の地域の料理かと思いきや、ここでは風水を意味しているらしい。ただ、その風水ヤキソバが本来どのようなものかは不明なので、ここではあえてコメントを避けたい。麺はスパゲティーのような形状で、味付けは醤油ベースのサラリとしたスープスタイル。
TATAKI STYLE AHI SALAD  $14
いわゆるアヒツナを使ったタタキ風サラダ。タレはピリ辛系で甘味がある。周囲を軽く焼いたツナ自体はよいが、そのタレはイマイチといった感じ。野菜は鮮度も味もグッド。細く切られたニンジンも美しい。
FOUR-WAY MASHED  $6
サイドディッシュの "マッシュポテト4種"。左からワサビ、ジンジャー、ガーリックチリ、バジルの4種類の味が楽しめる。どうということのない料理だが、見た目にも味的にも楽しめ、アイディアとしてはおもしろい。
ROASTED CHILI TIGER PROWNS  $18
中華のエビのチリソース風のものかと想像しながらオーダーしてみたところ、出てきたものはタイ風の味付けで、かなり甘め。野菜は白菜などをあっさりと味付けたもので、エビのソースを絡ませて食べるとちょうどよい。
SPICY SALT AND PEPPER CALAMARI $12
いわゆるカラマリフライだが、これは珍しい。他のレストランでは小さいイカの胴部分を輪切りにして使う店が多い中、この店では大きなイカの胴をスティック状にカットして使用。肉厚でやわらかいイカをかなりスパイシーなアイオリソースで味わう。
TWICE COOKED DUCK  $28
メニューに Moo-shu pancake が添えられていると書かれていたが、出てきたものは、かなり薄目の乾燥した小麦粉の皮だった。ダックは料理に問題があるというよりも、たまたまその日のダック自体に油が乗っていなかったようで、ややパサパサ感があった。ソースは、さわやかな甘酸っぱさでグッド。
FUSIA CHOCOLATE DECADENCE  $8
ダークチョコレートムースケーキ、チョコレートボム、ゴディバシェイク、ナッツチョコレートの盛り合わせ。この中で一番うまかったのはシャーベットっぽい舌触りのゴディバシェイク。 アメリカのチョコレート系デザートとしては甘さ抑え目。それにしてもなぜチョコレートのデザートは、チョコレートばかりをまとめるのだろうか。クレームブリュレも 「トリオ」、シャーベットも 「サンプラー」 など、同じカテゴリーのものをまとめたメニューがこの店には多すぎる。
TRIO CREME BRULE  $8
名前の通りクレームブリュレが 3つ出てくる。フレーバーは左から、バニラ、グリーンティー、ココナツ。標準よりもややバターが多めに感じられるような食感だが、通常クレームブリュレには材料としてバターは使われないので、生クリーム、砂糖、卵黄、牛乳の何かのバランスが普通とはやや違っているのかもしれない。なお、厚さが 1cm ぐらいしかないので、キャラメライズされた砂糖部分の比率が相対的に多い。フレーバーにあまり大きな差は感じられないが、見た目にも味的にもそこそこ楽しめる。
ティー各種 $2.50
紅茶以外に、日本茶、ジャスミン茶、ウーロン茶なども用意されている。ちなみにすべてティーバッグ。紅茶はさまざまな種類の中から選べるが、日本で最近話題のべノアは置いてなかった。
COFFEE  $2.50
一般的にアメリカ人はコーヒーの味にあまりこだわらないためか、ここのコーヒーもごく平凡なもので、可もなく不可もなくといった感じ。もちろん特種なコーヒーをオーダーすればその限りではないはず。


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