週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 06月 08日号
中村、ラスベガスが嫌いでもいいが、ファンの存在は忘れないで!
 日本を代表するホームランバッター元近鉄バファローズの中村 (写真右、6月 5日撮影、クリックで拡大表示) がラスベガスの地元プロ野球チーム 51s (マイナーリーグ 3A所属) で活躍している。
 マイナーリーグは日本ではあまり報道されないため、現場へ足を運ばなければ知り得ないことが少なくない。球場の雰囲気も選手との距離感もメジャーリーグとはまったく違う。ダッグアウト真上の席も簡単に確保できる。
 中村ファン、野球ファン、そしてマイナーリーグに興味がある者、ぜひスタジアム (キャッシュマンフィールド) に足を運んでみよう。行けばきっと新たな発見があるはずだ。

 ◎ こんなに小さな少女がバックネット裏最前列まで行って写真を撮ることも可能
 ◎ 美女たちもビールで観戦  ◎ 客の入りはパリーグより多い?! ◎ 球場全体の様子

 さて、チームについて簡単にふれておこう。51s はロサンゼルス・ドジャース傘下のチームで、日本的に言えば 「ドジャースの二軍」 ということになる。が、二軍をバカにしてはいけない。選手の年俸こそ天と地ほどの差があるものの、実力的にはメジャーリーグとほとんど差が無いと言われている。
 その証拠に中村のみならず、野茂も伊良部も田口も多くの一流選手がこの3Aリーグを経験しており、3Aはメジャーリーガーにとっても常に身近な存在なのだ。

 そんなレベルの高さもさることながら、なんとこの 51s は全米に数あるマイナーリーグチームの中でも、その ロゴグッズ の売り上げがナンバーワンだという。
 ラスベガス北西部の砂漠の中に潜む、かの有名な謎の空軍基地 "エリア-51" にちなんで付けられたチーム名だが、基地上空にUFOが飛来することから (真偽はともかく、そういうことになっている)、チームキャラクターはなんと宇宙人だ。
 どうやらそれが子供たちに受けているようで、グッズが飛ぶように売れているらしい。日本にも隠れファンが多いと聞くが、ちなみに球団オフィシャルショップは三塁側スタンドの通路にある。

 さて話は中村に戻るが、現時点での活躍はすばらしい。6月 6日の試合が終了した時点で 24試合に出場し、打率 318、打点 27、ホームラン 10。目下チームのホームラン王だ。打点も一位ではないが、打席数の少なさを考えると (4月はドジャースでもプレーしていたため、51s での打席数は他のチームメートに比べかなり少ない) 事実上ナンバーワンといってよい。
 地元メディアも 「日本で 500万ドルの年俸を蹴ってアメリカにやって来た男」 と報じるなど、かなり注目されており、少年ファンなどからの認知度も極めて高く、まだわずか二ヶ月足らずという露出期間を考えるとその大物ぶりがうかがえる。

 が、そんな中村が 6日、地元ファンを裏切ってくれた。好機にヒットが出なかった、という話ではない。
 じつは 6日はファン感謝デーで、試合終了後、グラウンドで選手とファンが一緒になってのバーベキューパーティー & サイン会が開かれたわけだが、中村はそれに顔を出さなかったのである。
 入場者全員に野球帽やロゴグッズなどが配られる一般の感謝デーと違い、この日は年間チケット購入者のみを対象とした感謝デーで、いわば "タニマチ" を招待してのパーティーだ。
 企業スポンサーなどのサポートにより、料理だけでなく、アルコール類までもが無料で提供されるなど (子供を交えたこの種のイベントでアルコールが無料で振る舞われるのは極めて異例)、ファンにとっても関係者にとってもそれなりに力を入れたイベントだった。もちろん年間チケット購入者も企業スポンサーも、チャリティー的な意味合いでサポートしているわけだが、そんな大切なサポーターたちを目の前に中村はゲームセットと共に姿を消したのである。

 我々が、日本人とわかる顔をして取材していたためか、「ナカムラはどこへ行った?」、「ナカムラは日本でもファンサービスが悪いのか」 というような質問を約1時間の間に 20人ほどから受けた。地元メディアも少年ファンもみんな中村を間近で見たかったのである。
 我々も彼らと一緒になって球団関係者に中村不在の理由をたずねると、「わからない。彼は一番最初にここに飛び出してくるべき選手なんだが…」 と肩をすくめた。
 何か特別な用事があったのかもしれないので一方的に中村を非難することは慎むべきだが、中村以外の主力選手のサインを集めたボールを手にした少年ファンからの 「ナカムラは帰っちゃったの?」 には日本人としてつらいものがあった。

 もっとも、中村もこのラスベガスが好きではないことは想像に難くない。ラスベガスから早く卒業してロサンゼルスへ行きたい、そう思っているはずだ。また、少年ファンにサインをしている暇があったら少しでも多く練習したい、そう考えていても不思議ではない。たしかにスポーツは実績がすべて。ファンサービスの回数でメジャーに昇格できるわけでもない。
 それでもファンあってこその職業であることもまた事実で、野球選手もいわば客商売。そういう意味では少年ファンの前に姿を現さなかったのはいささか寂しい。
 「ロサンゼルスの少年ファンは大事にするが、ラスベガスは無視」 という考えが少しでもあるとしたら、それはいつかしっぺ返しが来るだろう。ラスベガスのファンの声は必ずロサンゼルスにも届くからだ。キャッシュマンフィールドのスコアボードに NAKAMURA と表示された瞬間 (写真右上) の大きな声援をいつまでも忘れないで欲しい。

 そんな中村だが、メジャーに昇格できないつらさやフラストレーションはチームメートのだれよりも大きいことだろう。日本の元ホームラン王としてのプライドが大きければ大きいほど、ラスベガスにいることがつらいはずだ。おのずとラスベガスという街が嫌いになる。
 そんな中村の心境を察するとラスベガスのファンにやさしくできないのもわからないではない。いくら地元民が声援を送っても、「オレはこんな町から早く出て行きたいんだよ」 と思っていたら笑顔を作れないだろう。たしかにラスベガスで中村が笑っているシーンはほとんど見たことがない。この日もヒットを打っても笑顔はなかった。やはり 51s のファンとしてではなく、日本の野球ファンとして応援してあげるべきかもしれない。中村頑張れ。

キャッシュマンフィールドの場所:
電飾アーケードでおなじみのダウンタウンのフリーモントエクスペリエンスの東端から Las Vegas Boulevard を北へ約1km 行った地点の右側に見える広い駐車場の奥。

キャッシュマンフィールドへの行き方:
ダウンタウンから徒歩で行くこともできるが、途中人通りが少ない場所もあるのでタクシーを利用した方がよいだろう。CATバスを使う方法もあるが、バス停周辺も決して人通りが多い場所ではないのであまりおすすめできない。なお、試合終了後は、タクシーを拾うことがむずかしいばかりか、おびただしい数の車で周辺道路が大渋滞となるため、徒歩でダウンタウンまで歩いた方が早いかもしれない。歩行者は決して多くないが、試合開始前と違い、スタジアムからダウンタウンまで車で埋め尽くされるため、あまり物騒な雰囲気を感じることはないだろう。それでも環境があまり良くない場所であることだけはたしかなので、少人数で歩くことは絶対に避けたい。結局、治安のことを考えたらレンタカーで行くのが一番ということになる。

チケット料金:
座席の位置によって異なり $7 〜 $12。売り切れになることはまずあり得ないので、事前手配は不要。現場で買い求めれば十分。

今後の試合スケジュール (ホームゲームのみ掲載)
 2005/06/17 〜 2005/06/20 対 Tacoma Rainiers
 2005/06/21 〜 2005/06/24 対 Sacramento River Cats
 2005/06/30 〜 2005/07/03 対 Portland Beavers
 2005/07/14 〜 2005/07/17 対 Tucson Sidewinders
 2005/07/26 〜 2005/07/29 対 New Orleans Zephyrs
 2005/07/30 〜 2005/08/02 対 Oklahoma RedHawks
 2005/08/12 〜 2005/08/15 対 Tucson Sidewinders
 2005/08/20 〜 2005/08/23 対 Portland Beavers
 2005/08/29 〜 2005/09/01 対 Tacoma Rainiers
 2005/09/02 〜 2005/09/05 対 Salt Lake Stingers

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