週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 05月 25日号
カジノと提携するスーパーカーのショールーム Exotic Cars
 このたびラスベガスにスーパーカーのショールーム (もちろん販売もする) がほぼ同時期に二軒出現した。
 4月 28日、ウィンラスベガス内にオープンした Penske-Wynn Ferrari Maserati と、5月 10日、フォーラムショップス内にオープンした Exotic Cars at Caesars Palace だ。
 前者はウィンラスベガス自体が注目を集めているため、メディアに取り上げられる機会も多く、すでにかなり知られているようだが、後者を知る者はまだ少ない。しかしビジネス的にもアトラクション的にも、後者の方が興味深い存在なので、今週はその Exotic Cars を紹介してみたい。

 カジノ一辺倒から総合エンターテーメント都市を目指すラスベガス。カリスマシェフによる高級レストランや豪華ナイトクラブがブームになったかと思うと、大型ショッピング街の開発や高層コンドミニアムの乱立など、ジャンルを問わず、さまざまな分野でダイナミックに変化を続けている。また、カジノ都市に似合わない高尚な美術館がベラージオホテルやベネシアンホテルに登場したことなども記憶に新しい。
 今回のスーパーカーのショールームもそんなラスベガスの変化の中の新たなトレンドのひとつと言えなくもなさそうだ。商品の値段や需要の大きさから考えると、この種の店が今後 5軒も 10軒も出現するとは思えないが、 新たなビジネス分野の登場という意味では非常に興味深い。

 たしかに全世界から超大金持ちがバケーションにやって来るラスベガスは他の都市とは異なる環境にあり、カジノで大勝したギャンブラーが衝動買いで彼女にフェラーリをプレゼント、などということもあり得そうな話で、スーパーカーの需要は確実にありそうだ。
 事実この Exotic Cars の社長 Richard Weinsman 氏も、そのようなラスベガスの特殊性に目を付け、5年以上も前から市場調査を続けていたという。
 ちなみに Exotic Cars 社も Weinsman 氏自身も、これまでフロリダ州でスーパーカーの販売に関わってきてはいるが、多店舗展開していたわけではなく、今回のラスベガスはまったく新しいゼロからの挑戦とのこと。

 場所はフォーラムショップスの一番奥。無料アトラクション 「アトランティス」 が行なわれている円形広場の脇で、かつて 3Dモーションライド Race for Atlantis があった場所だ。
 取扱っているブランドは、フェラーリ、ランボルギーニ、ベントレー、ロールスロイスを始めとするスーパーカーや超高級車全般で、新車も中古車も扱うという。また四輪車に限らず、ボンダッチのカスタムメイドの二輪車なども販売している他、各ブランドのロゴグッズなどもかなり多岐に渡って販売している。

 店員の数や店舗の広さなどを見ていると、経費や採算性が気になり、どの程度売れているのか現場スタッフに聞いてみたところ、「まだ開業二週間ということもあり当局から車両販売の許可が降りていないため販売を始めていない。今は展示だけ」 とのこと。
 販売許可が下りたところで、この種の高級車が毎日売れるとも思えず、ロゴグッズだけの販売で採算が取れるのかどうかそのへんのところをたずねてみると、興味深いカラクリを教えてくれた。カジノと提携していたのである。

 つまりこの Exotic Cars は、シーザーズパレスのスロットマシンのジャックポット賞品に同社のスーパーカーを採用してもらい (写真左)、またシーザーズパレス側はスーパーカーの展示による 「人間の交通量の増加」 というカタチで恩恵を受け、互いに協力し合っていたというわけだ。そして Exotic Cars 側は、ただ単に車をカジノで採用してもらうだけではなく、すでにシーザーズパレス側に それ専用のスロットマシン (←クリックで写真表示) を作ってもらっていたのである。

 店長にウィンラスベガスの Ferrari Maserati との相違点を聞いてみたところ、「納期が我々の方が圧倒的に早い。同じフェラーリを買う場合、あちらでは何ヶ月も待たされるが当店はすぐに納車できる」 と胸を張るので、その理由をたずねると、「人脈的なコネクションの違い」 とのこと。どこまで信じてよいのかわからないが、かなりライバル意識を持っていることは言葉や表情からうかがえた。それでも修理部門などで提携も考えているとのことなので、今後両社が接近する可能性もありそうだ。

 いずれにせよ、車を買うという意味では一般庶民には縁遠い店だが、車の見学という意味では入場無料なので一般庶民も大いに楽しめる。またフェラーリやボンダッチのロゴグッズなどに興味がある者も大いに期待してよいだろう。
 展示車両はひんぱんに入れ替えるとのことなので (現在は四輪車 17台、二輪車 12台)、ラスベガスリピーターも毎回楽しめそうだ。営業時間は平日が午前 10時から午後 11時、金曜日と土曜日が深夜 12時まで。
 最後に蛇足ながら、ウィンラスベガスの Ferrari Maserati は、先週から $10 の入場料を取るようになった。「買いっこない一般庶民にタダで見せても意味がない」 と考えるのも当然で、結局今回オープンした2つのディーラーは、「車を売るためのディーラー」 と 「カジノへの交通量を増やすためのディーラー」 という立場の違いを鮮明にしながら独自の道を歩いていくことになりそうだ。


バックナンバーリストへもどる