週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 05月 18日号
水上アクロバットショー対決 "Le Reve" 対 "O"
 カジノやショッピング街の雰囲気がベラージオに似ているとされる最新ホテル・ウィンラスベガス。
 そんなウィンラスベガスで 4月末から鳴り物入りで始まった水上アクロバットショー・ラレブ (Le Reve。フランス語で夢)。
 これがめっぽうオウ (O。フランス語 eau の発音で水) に似ているというから興味深い。タイトルが共にフランス語で、オウの会場がベラージオというのもなんとも奇妙というか偶然だ。
 いや、じつは偶然でもなんでもない。ベラージオもウィンラスベガスもクリエイトしたのは Steve Wynn 氏。ラレブもオウもクリエイトしたディレクターは Franco Dragone 氏。似ていても特に不思議はない。

 「オウと同じじゃないか」。そんな声が聞かれるラレブだが、似ていることが必ずしも悪いとは限らず、また、少なくとも今回の場合、同一人物が関与しているわけで、盗作といわれる筋合いはまったくなく、ここは素直にどちらがよいか比較すればよいだろう。ウィンとベラージオの比較はさておき、今週はそんなラレブとオウを比べてみた。

 ハッキリいってよく似ている。オウの関係者は 「ラレブと一緒にしないでくれ」 というかもしれない。ラレブ側も 「オウとは次元が違う」 というかもしれない。また、それぞれのファンも 「まったく別物」 と言うに違いない。
 が、関係者や当事者がなんと言おうが、オウを観たことがある者がこのショーを観て、オウをまったく連想しないことなど万に一つもあり得ないだろう。
 ではどこが似ているのか。それはステージがプールということ、ステージの床面が上下に移動し、水深を自在に変えられるようになっていること、水中、水上、空中を使って演じるということ、演じる内容がアクロバット的なものが中心であること、などだが、ここまで似ていればもう十分だろう。むしろ似ていない部分を紹介した方がよさそうだ。

 両者の最大かつ唯一ともいえる相違点は、ラレブの会場はステージも客席配置も円形になっているということで、これは相違点であると同時に大いなるアドバンテージといってもよいだろう。(このショーのマーケティングを担当している Mixed Media 社と当社の連絡ミスなどで、会場内の写真を一枚も用意できなかったことをお詫びします)
 野球場よりももっと完全な円形で、ステージの回りを客席が一周ぐるりと取り囲むように配置されており、役者は空中、もしくは水中からステージに登場する。客席の中にわずかに3ヶ所だけ切れ目があるので、そこを使って役者が出入りすることもあるが、基本的には空中と水中が "花道" だ。
 そのような形状のため、この劇場には悪い席がない。ステージに向かって右側もなければ左側もなく、二階席もなければ遠い席もない。一番遠い席でもステージから 14列目で、これは通常の劇場ならばベストポジションといってもよいだろう。また、床の傾斜も十分すぎるほどあり、自分の前にどんなに大きな者が座っても視界をじゃまされることはない。とにかく劇場の構造 (特に観やすさ) に関しては天下一品で他を圧倒している。

 ところでこの劇場、多くの者が小さいと感じているようだが、それは完全な誤りだ。どの席もステージに近く、また、自分の後方に二階席などが見えないため狭く感じやすいが、それは円形劇場ならではの錯覚で、実はとんでもなく大きい。MGM やマンダレイベイなどに見られるアリーナ、それにアラジンの巨大劇場 「パフォーミングアーツ」 を除けば、ここの劇場の客席キャパシティーはラスベガス最大規模で、通常の劇場が 1000〜1500人であるのに対して、ここは 2087席となっている。ちなみに、大きいといわれているオウの会場でも約 1800席しかない。

 劇場の話ばかりになってしまったが、内容における相違点はどうか。基本的には限りなく似ていると考えてよいが、あえて微妙な違いを指摘するならば、全体のテーマやコンセプトに対するこだわりか。ちなみにオウでは音楽も衣装も役者の化粧も表情もすべてにおいて神秘的なコンセプトに統一されているが、ラレブでは特にそういった部分はあまり見られない。その証拠にラレブではコミカルな演出もあればセクシーな演出もあり、また、相撲取りに扮した役者も登場すればマジシャンやピエロも出てくる。良く言えばキャラクターが多彩だが、悪く言えば統一性がない。またラレブでは、わずかではあるが役者がしゃべる部分もある。
 あと、細かい違いとして、ラレブの方がステージが複雑に造られているように見受けられる。特に水面から上にせり上がる部分は、かなり細かく分割されているようで、ステージそのものに関してはラレブの方が複雑な変化を楽しめるだろう。一方、ステージに持ち込まれる仕掛けはオウの方が奇妙かつ興味深いものが多い。

 以上のように似て非なる部分はいくつかあるが、それでもどちらのショーも基本的にはアクロバット的な演出が中心であることに変わりはなく、またその危険度や難易度も素人の目からは似たようなレベルに見える。
 結局どちらを観るべきかは好みの問題で、意見もかなり分かれそうだが、テーマやイメージの洗練度と神秘的な美しさを求めるならオウ、円形構造とステージの複雑さ、さらに役者のキャラクターの多様性などを重視するならラレブといったところか。また、これはあまり根拠がない強引な分け方だが、「女性に受けそうなオウ、男性に受けそうなラレブ」 といえなくもないような気がする。

 公演スケジュールは現時点では火曜日と水曜日を除く毎日 7:30pm。
 「現時点では」 と書いたのには理由がある。じつはこのショー、まだ2週間半しか経過していないが、その間に方針が何度も変わっている。
 デビュー直前までは、「宿泊者のみ」 とされていたが、その後すぐに 「宿泊者は3ヶ月前から買えるが、非宿泊者は1ヶ月前から」 に変更になり、公演時間や公演回数も、当初の 「8:00pm だけ」 から 「5月 12日からは毎日 8:00pm と 10:00pm の2回」 に変わった。
 が、その数日後に 「やはり毎日一回だけ」 とアナウンスされ、結局今は 「7:30pm の一回だけ。3ヶ月前からだれでも買える」 に変更されているが、「いずれ毎日2回にする」(Mixed Media 社) とのことなので、このスケジュールもいずれ変わる可能性が高い。
 それでも、「売り切れになったことは今までにほとんどない」 (チケット売り場のスタッフ) とのことなので、公演回数が毎日2回に増えるまでにはまだしばらく時間がかかりそうだ。
 チケット購入は劇場前のボックスオフィスで。(右上の写真は Le Reve のオフィシャルショップ)。
料金は全席 $125。当日券が買える可能性が極めて高いが、売り切れを心配する者はチケットマスター www.ticketmaster.com/artist/971181 で事前に手配することも可能。(チケットマスターの場合、手数料を入れて $129)

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