週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 03月 30日号
ダークアーサー、ストリップ地区デビューも、短命に終わるか…
 猛獣を多用するマジックでおなじみのダークアーサーが 3月 28日、ついにストリップ地区でデビューを果たした。

 ダークアーサーといえば、トラやヒョウなどネコ科の大型動物を扱うマジシャンとして地元ではそこそこ知られているが、残念ながらスターというよりは苦労人という印象が強い。
 これまでさまざまなホテルのステージに登場してきたが、ジュビリーやスプラッシュなどの総合レビューの中の一コマを担当するカタチでの出演か、シルバートンやプラザなどマイナーなホテルを転々とするばかりで、日の当たる場所での主役の経験はほとんどない。また、どれも総じて短命に終わっている。

 そんな彼がこのたび自身の名前を冠したショー "Extreme Magic, Dirk Arthur" をストリップ地区のトロピカーナホテルで行なうことになったわけで、これはもう大出世といってよいだろう。
 ちなみにこのトロピカーナは、つい先日まで、彼と同様なマジックを行なうリックトーマスが 8年間も定期公演ショーを行なってきた場所で (リックはスターダストホテルに移籍)、結果的にそのあとを引き継ぐカタチでのデビューとなったが、そんな理由もあってか、会場のみならず時間帯もリックトーマス時代とまったく同じ 2:00pm と 4:00pm となっている。つまり、このショーはナイトショーではなく、アフタヌーンショーだ。

 3月 26日に初公演が行なわれる予定だったが、いろいろなトラブルがあり、実際に始まったのは 28日。なにやら出足からつまずいてしまった格好だ。
 メディア向けの広報資料もまだ用意されていないなど (左の写真はシルバートンホテル時代のもの)、見切り発車的な部分も散見されたが、とりあえずショーそのものはまずまずの出来だった。

 トラというだけでだれもが Siegfried & Roy (主役の Roy がトラに噛まれるという事故により、すでに公演終了) を連想してしまうが、このショーでもまさにそれと同じ仕掛けのマジックがいくつか行なわれる。つまり、瞬時に人間がトラと入れ替わったり、トラが消えたりするマジックだ。ちなみに動物はトラだけではなく、ヒョウや黒ヒョウも使われる。
 美女のカラダを切断したり、ヘリコプターを瞬時に出すなど、動物を使わないマジックもあるが、すべて大がかりな 「仕掛けモノ」 で、ハトを出すような小手先のテクニックを要する 「わざモノ」 はない。ハンカチが生き物のように空中を飛ぶやや小ぶりのマジックもあるが、それも基本的には仕掛けモノだ。
 そんな彼らしく、最後はとんでもなく大きな物体を瞬時に出して (消すのではなく出す) 幕となる。軽飛行機でもヘリコプターでもスポーツカーでもなければトラやゾウでもないが、それは見てのお楽しみということで。

 したがって、小技系のマジックを見たいという者にとっては期待に添わないショーということになるが、それをこのショーに求めてはいけない。彼はもともとそういうマジシャンではなく、仕掛けモノ専門だからだ。
 ただ、仕掛けモノはどうしても、それを考案した者から使用権を買って披露することになるため、「どこかで見たマジック」 ばかりになってしまいがちなのも事実。
 それでもさまざまな動物を使っているので、動物好きはそれなりに楽しめるし、このショーよりもはるかに高い値段だった Siegfried & Roy と同じようなマジックがいくつも楽しめると考えれば十分満足できるはずだ。
 ちなみに料金は $24.95。公演時間こそ約 45分とやや短めだが、$100 を超えるショーが珍しくない昨今、これはお値打価格といってよいだろう。大型動物の維持費を考えるとなおさらだ。

 ところで彼のショーはいつも安めの料金設定だが、それでも集客はあまりパッとしない。何が原因だかよくわからないが、やはり風貌から来る貫禄や印象といった部分に原因があるのか。たしかに声のトーンは高く、身長もかなり小柄など、マジシャンとしては肉体的な部分にハンデがあるような気がしないでもない。
 カッパーフィールドのようなカリスマ性、ランスバートンのような甘いマスクとお洒落なイメージ、マッキングやペン&テラーのようなエンターテーナーとしての資質、彼にはそれらが不足しているのかもしれない。それでもマジックそのもので大きく劣っているわけではないので、なんとか頑張ってもらいたいところだ。
 が、初演を終えた翌日の 3月 29日、彼にとってはうれしくないニュースがラスベガスを駆けめぐった。トロピカーナホテルの業績不振を示す決算発表で、業界アナリストらの間では、できるだけ早い時期に爆破解体して建て替えるべきだという意見が支配的だ。苦労人ダークアーサー、今度は居場所の消滅で短命に終わってしまうのか…。

 公演は前述の通り毎日 2:00pm と 4:00pm で金曜日のみ休演。料金は一般席が $24.95、ブース席が $5 増しとのことだが、一般席を $29.95 にするという話も出ており、まだ多くの部分が流動的のようだ。ちなみにここの会場でいう 「一般席」 とは、縦長のテーブルに 10〜12人が肩を寄せ合って座る席のことで、ステージに対して横向きに座ることになるため首が疲れるばかりか、となりの人がじゃまになり見づらい。できればブース席がよいだろう。(ブース席は半円形の 4〜5人掛けの椅子)
 なお、子供料金は特に用意されていないが (3才以下は無料とのこと)、子供大歓迎とのこと。時間帯的にも、料金的にも、動物が多く登場するという意味でも、子連れ家族にはかなりおすすめだ。


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