週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 03月 02日号
バリーマニロウの "music and passion" がヒルトンで始まる
 2月 23日、バリーマニロウのコンサート "music and passion" がラスベガスヒルトンで始まった。

 このコンサートは単発のスポットショーではなく、2年契約の常駐ショーで、予定ではこれから 2006年に渡って 120回行なわれることになっている。
 ラスベガスヒルトンといえば、ロケーション的にも話題的にも最近はすっかり目立たない存在になってきており、発展著しいストリップ地区の "本流" からはやや取り残されてしまった感が否めない。セリーヌディオンやエルトンジョンの会場がシーザーズパレスのゴージャスな新シアターであることを考えると、マニロウファンにとってはもう少し格上のメジャーな場所でやって欲しかったと感じているに違いないが、ここヒルトンはなんといってもかつてあのエルビスプレスリーが常駐コンサートをやっていた名門ホテルで、コンサート会場としては伝説的な場所だ。
 富も名声もすべて手に入れたマニロウが、世界を転々とするコンサートツアーからの引退を宣言した今、あえてここを常駐のステージとして選んだのだから、マニロウファンはセリーヌディオンやエルトンジョンのファンに対して引け目を感じることもないだろう。また、ホテル側と結んだ契約金も彼らよりも高く、ラスベガス史上最高額と伝えられている。

 さてコンサートの評価についてだが、それについてはあえてコメントを避けることとしたい。そもそもこの種のコンサートは、アクロバットショーやマジックショーと違い、ファンにとっては夢のような空間であると同時に、非ファンにとっては理解しがたい部分もあったりすることが多く、万人が納得する最大公約数的な評価をすること自体、始めから無理というもの。ということで、実際にコンサートを見ての事実関係だけをレポートしてみたい。

 会場はもちろん新しくはないが、キャパシティーは 1700席と、サイズ的には十分で、伝統的な落ち着いた雰囲気が漂っている。
 他のビッグネームのコンサートと違い、入場に際してセキュリティーチェックもなければ、カメラを預けなければならないということもない。そのあまり緊張感のないほのぼのとした雰囲気はマニロウらしく非常に好感が持てる。ちなみにマニロウは、ファンの撮影に対して寛大なことで知られており、ここの会場でも撮影禁止のアナウンスメントはなかった。

 客層の中心はやはり 40〜60代の女性が中心のようで、女性グループや中高年のカップルが目立つ。熱狂的なファンもかなり見受けられ、オウやミスティアなど人物的な偶像が無いショーのファンとはちがったエネルギーを発しているところが人間味があって、見ている方としては興味をひかれる。
 席に案内される際には現場スタッフから、「コパカバーナを歌う時に振ってください」 と、ケミカルライト (ペンライト) が手渡され、とりあえずひと安心。なぜひと安心か。じつは、広報部門からの事前情報として、「公演ごとに毎回曲目が変わる」 と聞いていただけに、「まさかコパカバーナをやらないこともあるのか」 と少々気になっていたからだ。(それを歌わないわけはないが)

 スポットライトを浴びながら華々しく登場するマニロウが最初に歌うのはフランクシナトラでもおなじみの Luck Be A Lady 。マニロウは他の歌手の歌も積極的に取り入れることで知られているが、特にシナトラとは関係が深く、ラスベガスを題材としたこの名曲はまさにオープニングの曲にふさわしいといえるだろう。
 その後は、It's a Miracle、Daybreak と続き、さらに 70年代の彼自身の映像をスクリーンに映しながら Mandy を熱唱。
 あとは途中簡単なスピーチを交えながら Could it be Magic、Weekend in New England など有名どころを歌い、8曲目に Can't Smile without You が飛び出し観客をステージに。
 続いて、このラスベガス公演のために作ったという Here's to Las Vegas、そして New York City Rhythm、Even Now、そのあと得意のピアノを披露しながら I write the Songs など数曲歌い、最後はお待ちかねの Copacabana。会場も黄緑色のペンライトを振りながら興奮が絶頂に達すると、Copa の熱を冷ますようにアカペラの One Voice で静かに幕となる。

 前述の通り、披露する曲目は毎回変わるという。したがって、劇場前のギフトショップ (写真右) やスタートレック施設の脇にあるギフトショップ (写真左下) などで売られている有料パンフレットを買っても事前に曲目を知ることはできない。本人いわく、「同じ内容のコンサートは2つとない」 とのこと。単なるシンガーと違い、作曲からプロデュースまでをひとりで全部こなしてしまう多才な彼らしい芸当だ。事実マニロウを見ていると、何をやらせても本当に器用で、またそれがさまになっているところがすばらしい。70年代、80年代の全盛時代の勢いはなくなりつつあるものの、かつてジュリアード音楽院で学んだというテクニックと非凡な才能はまだまだ健在のようだ。

 さて会場に関して気になったことをひとこと。フロアの傾斜がほとんどないばかりか、ステージ面とフロアの高低差も少ないため、常にほぼ水平方向を見ていなければならず、前の人の頭と背中がひどくじゃまになる。高低差を設けて、ステージを見下ろすか、見上げるようなカタチで見せるようにしないと、背が低い者にとってはかなりきつい。中高年の客が多いためか、総立ちになる場面は少ないが、総立ちになったらもう何も見えないと考えた方がよい。

 料金は、そんな一階席 ("Main Floor" と呼ばれている) の前半分の "Front" と呼ばれている席が $165.50、うしろ半分の "Back" 席が $132.50。
 参考までに二階席 ("Balcony" と呼ばれている) の現場の様子もチェックしてみたが、こちらは非常に傾斜がきついので、前の人の頭が気になることはなく、見下ろすカタチでステージがよく見える。ただ、高低差がありすぎるため、ステージからかなり遠い印象を受けた。また角度的にも、マニロウの頭のてっぺんばかりを見るようなカタチになってしまいがちで、やはりこの二階席も決して良い席とは言いがたい。ちなみにこの Balcony 席は $99.50。
 なお、ステージの両サイドに "Stage Seat" と呼ばれる $253.50 もする高級な席が左右に 30席ほどある。こちらはステージに非常に近いばかりか (というかステージの延長線上の一部といった感じ)、Main Floor よりも一段高い位置に設定されているため高低差の問題はあまりないが、左右の位置があまりにも端にあるため、この料金に見合った席かというと大いに疑問だ。「ステージなど正面から見えなくても、マニロウが出入りする際に一瞬だけでも間近で見ることができればいい」 というマニアックなファン以外にはおすすめできないような気がした。
 結局どの席がよいかということになると、その答えは非常にむずかしいが、予算重視派は Balcony 席でよいだろう。料金差のことは考えずに少しでも近くで見たいという者は消去法で Main Floor Front ということになるが、前述の通り、背が低い人にとっては厳しい条件も覚悟しておかなければならない。Stage Seat は料金も環境も極めて特種なので、一般の人は手を出さない方がよいだろう。Main Floor Back は、Front に比べ、心持ちフロアに傾斜があるようにも見受けられるので、背が低い人にはここがおすすめかも知れない。が、やはりステージから遠いことだけは覚悟しておく必要がある。ということで、ここなら絶対にOK という席がないのが現状だ。

 チケットはヒルトンのオフィシャルサイト www.lv-hilton.com もしくはマニロウのオフィシャルサイト www.barrymanilow.com から買うことができるが (どちらも最終的には同じ場所にたどり着く)、当日券も買える可能性が高いので、もし事前に手配していなくても、とりあえず直接現場へ行ってみることをおすすめする。幸いモノレールも開通したので、ストリップ地区からのアクセスも以前に比べかなり便利になった。
 なお、チケット売り場はホテルのフロントロビー脇にあり、劇場前にはないので注意が必要だ。ちなみに劇場の場所は、ロビーから見てカジノフロアを通り越した右奥。今後の 8月までの公演スケジュールは以下の通り。開演時間は、水、木、金が 9:00pm の一回だけ、土曜日は 7:30pm と 10:00pm の二回。日、月、火は原則として休演。
 公演を楽しんだあとは、カジノフロアにマニロウスロットマシン (写真右上) があるので、ファンはここで少々遊んでみるのもよいだろう。

■ 8月までの公演スケジュール ■
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4月
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5月
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6月
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7月
     12
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8月
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