週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2005年 02月 23日号
レストラン MIX、常識を破って最上階にデビュー
 「ラスベガス」 と聞いて、だれもが連想するのが 「カジノ」、次に 「ナイトショー」、そして 「ネオン街」 や 「夜景」 といったところか。
 今週はその 「夜景」 の話題、そして夜景が見えるレストランについてレポートしてみたい。(右の写真はレストラン MIX から撮影、クリックで拡大表示)

 夜景といえば、丘の上やホテルの最上階など、高いところから見るのが万国共通の通り相場だが、なぜかラスベガスではそうなっていない。ストラトスフィアタワーとエッフェル塔はたしかに高く、夜景観光の名所となっているが、それらが出現したのはここ十年以内の話だ。
 つまり長い間ラスベガスでは、「夜景は地上から見るモノ」 という暗黙の了解、いや、だれも了解していない物理的な事情があり、今でもまだそれが常識として根強く残っている。
 ラスベガス以外の他の都市のホテルでは、最上階もしくはそれに近い高層階はおおむねお洒落なレストランというのが通り相場で、通常そこからはきれいな夜景が楽しめるわけだが、ラスベガスではそういった場所にレストランがない。ホテルの最上階はいつも決まってハイローラー向けのゴージャスなスイートルームだ。

 最上階にレストランがない理由はこのラスベガス大全の [基本情報] セクション内の "ホテルのウラ情報" を参照してもらうとして、とにかく寂しいことにラスベガスには最上階レストランが今まで無かった。いや、厳密に言えば 「ラスベガス」 ではなく 「ストリップ大通りに無かった」 が正しい。
(ダウンタウンのホースシューホテルには最上階レストランがあり、また、ストリップ地区でも西側に少し離れたところには高層階レストランを持つホテルが二つばかりある。なおストラトスフィアタワーにもレストランがあるが、あのタワー自体はホテルではない)

 前置きが長くなってしまったが、このたびその暗黙の了解というか、暗黙のしきたりを破ったレストランがストリップ地区に出現した。マンダレイベイホテルの新館 (通称 ザ・ホテル) の最上階にオープンした MIX がそれだ。
 もともとマンダレイベイはその本館において、メンバー用の高層階ラウンジを持っていたため、今回の MIX の出現はまったく予想外のことではないが、ストリップ地区のホテルに高層階レストランが出現したことは革命的出来事といってよいだろう。

 この MIX、昨年末にオープンした直後、「花火大会が一番きれいに見られるレストラン」 とのふれこみで、「大晦日スペシャル、ひとり $550」 という超強気なオファーをして話題を集めた。べらぼうな値段であるのは事実だが、そのような環境でディナーを楽しめるレストランはストリップ地区には他にないので、その金額も驚きに値しない。
 ちなみにストラトスフィアタワーのレストランは夜景の中心街からかなり遠く、エッフェル塔のレストランは高度が低い (展望台は高い位置にあるが) という欠点をそれぞれ抱えている。

 もっとも、MIX にも欠点がないわけではない。すべての席から夜景が見えるというわけではなく、むしろ夜景がきれいな窓際の席は少数派だ (右写真)。
 したがって、もし夜景が見えない席に案内されたら (ハイローラー以外、たぶんそうされる)、景色という意味では普通のレストランとなんら変わらないことになるが、行けば行くだけの感動はあるので、とりあえず行ってみることをおすすめする。
 ちなみに監修シェフはフランス生まれフランス育ちの知る人ぞ知る Alain Ducasse 氏。もちろん彼がここに顔を出すことはめったにないとのことだが、「アメリカンフレンチ」 と称するその料理はなかなかのもので、総じて日本人の味覚に合っているように思える。
 まだアペタイザー、メインディッシュ、デザートをそれぞれ4種類しか食べていないので、断定的なコメントは慎まなければならないが、在ラスベガスの他の著名カリスマレストラン、たとえば Bouchon、Bradley Ogden などより、環境的にも味的にも勝っているように思える。ただ、デザートはいまだに "当たり" にお目にかかっていないので、過大評価は禁物かもしれない。
 ちなみに左の写真は、柚とオリーブオイルで味付けをしたカンパチのカルパッチョで、醤油で食べるばかりが刺身ではないことを思い知らされる絶品だった。

 夜景に話が戻るが、窓際の席に座れなくても、あきらめるのはまだ早い。食事のあと (食事の前でもいいが) 併設されているバーラウンジに行けばなんとかなる。
 そこではグラスを持ちながらある程度自由に移動ができるので、どこの席に座ることになったにせよ、夜景がきれいな窓際まで行くことは可能だ。
 なお、このバーへ行ったら、女性は必ずトイレへ行ってみよう。そして 3つあるブースのうちの奥の 2つにサプライズがあるので、そこを使わなければ意味がない。なんとそこの窓は天井から床まで一枚の大きなガラス張り。
 用を足しながら下界が見える (下界から見られる?) トイレは世界広しといえどもここだけかもしれないので、ゆっくり夜景も楽しもう。ただ、窓の外はストリップ地区の中心街とは逆の方向を向いているので、あまり大きな期待をしない方がよいかもしれない。

 場所は左の写真の最上階の黒い窓の部分でフロアは 43階。ただ、なぜかエレベーターでは "64F" のボタンを押すようになっている。より高く見せたいということか。
 予約は必要で 702-632-7777。また 「それなりのドレスコード」 もあり、それなりの服装と、それなりの英語力も必要。
 営業時間は 6:00pm 〜 10:30pm。だいたいの予算は、ボトルドウォーター $8 前後、前菜 $25 前後、メイン $40 前後、グラスワイン $20 前後、デザート $10、コーヒー $5、それにタックスとチップで、ひとり約 $140 前後といったところか。メニューの一部は以下をクリック。

 メニュー・アペタイザー、  メニュー・メイン、  メニュー・デザート

 なお、この記事により、日本人観光客が多数押しかけ、現場がごった返すようなことは店側も望んでいないようなので (日本人は行動が分散せずに、特定の話題のスポットにみんなが一斉に集中的に押しかける傾向があるため、記事などによる影響が非常に出やすい)、ただ単に夜景が見たいがために MIX で食事をしようと考えている人には、ストラトスフィアタワーやエッフェル塔をおすすめしたい。
 特にエッフェル塔の展望台は、その下層階にあるレストランよりも高度がはるかに高いばかりか中心街にも近く、ストリップの南端に位置している MIX に比べ、抜群の夜景が期待できる。したがって、「Alain Ducasse 氏の料理が食べたい」 という人以外は断然エッフェル塔の展望台がおすすめで、地理的にも南端にある MIX より便利だ。もちろんストラトスフィアタワーもその圧倒的な高度を生かした一種独特な景色は捨てがたく、やはりこちらも夜景としては必見なので、食事を抜きに純粋に景色を楽しみたい場合は、MIX よりもこれらタワーを訪れるべきだろう。


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