週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 10月 06日号
ストリップ地区にブランド品の格安アパレル店 ROSS がオープン
 10月 2日、ブランド品の格安販売で知られるアパレルショップ ROSS が、スターダストホテル前にオープンした。

 ROSS は、"Off-Price Apparel Retailer" (以下 OPAR) と称される業種に分類され、中堅ブランドの商品を定価の半値程度で販売することで知られている。ライバルの TJ-Maxx、Marshalls と肩を並べる業界の御三家で、店舗数は 596店。もちろん上場企業だ。
 OPAR の業界では、ミドルクラスの地元民を相手に郊外に出店するのが通例となっており、今回のロケーションのような繁華街への出店は極めて珍しい。
 したがって、業界アナリストなどからすれば賛否両論ありそうな今回の出店だが (十分な駐車スペースがなければ成功しないとする意見が多い)、観光客にとっては新たな流通形態の店に接する機会が増えた分だけ朗報だ。これまでストリップ地区での買い物といえば、リッチなショッピングに偏りがちだっただけに、格安ショッピングが楽しめる OPAR の出現はストリップ地区でのショッパーの行動に少なからず影響を与えることだろう。
(OPAR に関する詳しい解説は こちらをクリック

 全米の店舗数では TJ-Maxx (約 700店)、Marshalls (約 650店) の後塵を拝しているが、ラスベガス地区に限れば ROSS 10店、TJ-Maxx 4店、Marshalls 4店と、ROSS の健闘ぶりが目立っており、ラスベガスを重視している同社の姿勢がうかがえる。(ちなみに TJ-Maxx と Marshalls は経営母体が同じ)
 そんな ROSS がライバルに先んじてストリップ地区に出店したのが今回オープンした店で、ストアマネージャーのロブ・ステベンソン氏によると、「地元民がアクセスしづらいこのような立地条件の出店は全社的に見てもあまり例がないが、事前調査で把握している "観光客 80%、ストリップ地区に近い地元民 20%" という客層で十分に採算が取れる」 とのこと。

 カジノやナイトショーを目当てにやって来る観光客が、わざわざ OPAR に足を運ぶのか、とのこちらからの悲観的な質問に対しても、「自分の町に ROSS が無いという人も少なくない。彼らがラスベガスに来れば当店に足を運んでくれる。また、海外からの需要も少なくない」 と自信のほどをうかがわせ、さらに、「JCBカードも使えます」 と、日本人観光客への売り込みにも余念がなかった。
 一等地であるがゆえの高い家賃コストと、それに伴う高めの価格設定も気になるところだが、それに対してもステベンソン氏は、「同じ商品である限り、ラスベガスの他の 9店と同じ価格です」 と、キッパリ我々の危惧を否定した。
 ステベンソン氏によると、郊外店との唯一の違いは駐車場の狭さと営業時間だけのようだ。ちなみに駐車場は裏側にある。たしかに狭いが特に不便は感じない。営業時間は、不夜城のストリップ地区らしく月曜日から土曜日までが 9:30am 〜 11:00pm、日曜日のみ 10:00am 〜 9:00pm と、郊外店よりもやや遅くまで営業している。

 さて、気になる商品ジャンルや取り扱いブランドに関してだが、それは日々変わる可能性があるためここで個別に紹介することはむずかしい (その理由は前述の "こちらをクリック" を参照のこと)。
 参考までに、10月 4日時点における店内の様子は、店舗面積 (約 3000平方メートル) の7割ほどを占めるアパレル (下着やベルト類なども含む) 以外に、シューズ、ハンドバッグ、スーツケース、リネン、キッチン用品、一般家庭雑貨、玩具、香水、時計、貴金属の売り場があり、それぞれさまざまなブランドの商品が売られていた。ただし時計と香水だけは品数もブランドの数も少なく、時計はアンクライン、ゲス、ケネスコールのみ、香水はエスカーダ、ニナリッチ、ジバンシーのみとなっていた。
 価格はおおむね定価の 50〜60% 引きといった感じだが (定価の値札も残されているので常に定価がわかるようになっている)、中には 80% 引きのようなものも散見され、割引率にはかなり幅がある。

 基本的には、「中堅ブランド品の余剰品」 などがこの店の主力商品だが、今の時期はハロウィン用の雑貨類など (写真右)、いつもとは違ったショッピングも楽しめるので、ブランド族のみならず、その種の商品に興味がある者もぜひ足を運んでみるとよいだろう。
 最後におもしろい話をひとつ。この店のショッピングカートにはすべて長さ 1.5メートルほどの金属パイプが垂直に取り付けられている (写真左下、クリックで拡大表示)。床からその棒の先端までは 2メートルをゆうに超える。
 見慣れない者にとっては、まるで細長い煙突のようで実に奇妙な光景であるばかりか、その意味もまったく理解できないことだろう。
 その理由をクイズのように質問すると、多くの日本人観光客は 「カートを押す母親と、小さな子供がはぐれた際、子供が親の位置を簡単に見つけられるようにするため」、「商品棚の陰に隠れていても、カートの位置がどこからでも確認できるので万引き防止」 といった答えが返ってくるが、どちらも違う。
 実はこの "煙突"、客がカートを店の外に持ち出せないようにするための対策だ。
 アメリカの一般のスーパーやディスカウントストアでは、レジを通過したあと、商品をカートに乗せたまま駐車場まで出て行ってもかまわないことになっているが、この店ではカート利用は店内のみとなっており、カートを店外に持ち出してはいけない。つまりこの "煙突" は、カートを店外に持ち出そうとすると出入口の上部にぶつかるようにするための仕掛けというわけだ。もう少し見栄えがする方法で対処できないものかとも思うが、これが単純明快でコストもかからないらしい。

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