週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 9月 1日号
デスバレー国立公園、集中豪雨の土石流被害でしばらく閉鎖
 集中豪雨による土石流被害で 8月 15日以降、デスバレー国立公園の主要部分が閉鎖されている。
 被害はかなり深刻で、一部の道路は通行できるものの、ラスベガス側からの幹線道路においてはほとんどが不通となっており、復旧の見通しが立っていない。
 この事実を知らずに現地へ向かってしまう者がいるといけないので、今週は、デスバレー閉鎖に関するニュースをお届けしたい。
(このページに掲載されている写真は、デスバレー国立公園管理当局 National Park Service から提供を受けたものです)

 ラスベガスからレンタカーで片道約2時間ほどの場所にあるデスバレー国立公園の広さは長野県とほぼ同じ。区域の境界線が描くカタチも、どことなく長野県に似ている。その広大なエリアがこのたび集中豪雨に見舞われた。

 もともとは雨が少ないことで知られる地域だが、国立公園管理当局によると、なぜか今年の夏は大気が不安定で、8月の前半は連日のように局地的な雷雨に見舞われたという。
 砂漠地帯とは言っても、その地面は砂丘で見られるような吸水性のあるやわらかい砂ではなく、固まった土や岩盤がほとんどで、保水能力が低く、降った雨のほとんどは地面にしみ込まずに表面を流れる傾向にある。

 そんな環境のデスバレーに、連日雨が降り、その直後、記録的な集中豪雨が襲ったというからひとたまりもない。
 つまり、もともと少ない保水能力が限界に達していたところに、8月 15日、集中豪雨が襲い、大量の水が土砂と共に一気に低い場所へ流れ込んだというわけだ。
 運が悪いことに、低い場所こそがデスバレーのハイライトとなっており、「海面下 85.5m の場所」 に代表されるような観光名所の多くは非常に低い場所にある。おのずと国立公園内の幹線道路もそういった低地を走っており、結果的にそれら道路が土砂に飲み込まれてしまった。

 被害がなかった道路や、被害が少なくすでに復旧している道もあるが、それらは一般的なデスバレー観光とは無縁の場所が多く、ラスベガスからデスバレーへ向かう幹線道路や、主要ビューポイント周辺の道は未だ復旧の見通しが立っていない。
 ちなみに現在通行が可能となっている区間は、サンフランシスコ側から 190号線でアクセスする西側のルート (これは山越えとなるため一般的なルートではない) および北部の Scottys Castle 周辺の 267号線のみで、ロサンゼルス側からの幹線ルート 178号線の Shoshone と Furnace Creek の区間、およびラスベガス側からの幹線ルート 190号線の Death Valley Junction と Furnace Creek の区間は閉鎖されたままだ。
 また、Zabriskie Point などの主要ビューポイントへ通じる細かい道路も不通となっており (土砂に飲み込まれた Zabriskie Point の駐車場 ← クリックで写真)、現在デスバレー国立公園は事実上、「完全閉鎖の状態」 と言ってもあながち大げさではないだろう。
 場所にもよるが、「復旧作業には数週間から数ヶ月を要する」 (国立公園管理当局) とのことなので、少なくともラスベガスからのデスバレー観光は、しばらくは無理と考えた方がよいだろう。

 さて、今回の洪水によって、デスバレーの景観は少なからず変化することになるわけだが、それに対して 「あの美しいビューポイントが破壊されてしまった」 などと考えることは正しい発想とはいえない。
 いくら雨が降らないデスバレーといえども、何百年、何千年というタイムスパンで考えれば、この種の洪水は過去に何度もあったわけで、それによって現在のデスバレーが形成されてきたと考えると、今回の洪水は単なる 「変化の一部」 であって 「破壊」 ではない。破壊されたのはデスバレーの自然ではなく、人間が造った道路ということになる。当局側のコメント、「今回の災害では Mother Nature から多くを学んだ」 という言葉は印象深い。


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