週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 7月 28日号
夏だ、猛暑だ、デスバレー! 究極の "50度体験" に挑戦!
 いよいよ夏休みも本番。これからお盆休みに向けて日本人観光客がラスベガスにどっと押し寄せる。
 ラスベガスで夏といえば、なんといっても砂漠気候ならではの乾燥型の猛暑。今の時期はほぼ毎日 40度を超える。
 "非日常の体験" こそが旅の醍醐味とするならば、湿気のないカラリとした超高温もラスベガスの魅力のひとつと言ってよいだろう。
 そんな "猛暑体験" を楽しみにしている日本人観光客も少なくないと聞くが、今年は日本も猛暑のようで、40度程度の体験では日本に帰って自慢話にも土産話にもならない。

 そこでおすすめなのが、猛暑の本家本元デスバレーだ (写真。クリックで拡大表示)。
 日本では 「死の谷」 と訳されるこの観光地、名前だけは広く知られているようだが、どこにあるのか知る者は意外と少ない。主要都市で表現するならば、ロサンゼルスとサンフランシスコとラスベガスに囲まれた位置にあり、ラスベガスからが最も近い。その距離、車でわずか 2時間。レンタカー利用が一般的だが、ラスベガス発の日本語ツアーでのアクセスも可能で、ようするにデスバレー観光のゲートウェー都市はラスベガスということになる。
 ちなみにこのデスバレー、1994年に国立公園に指定され、以前に比べ自然保護などの管理が厳しくなった反面、各種施設がきちんと整備され、大自然を堪能する上での利便性はかなり向上している。

 その死の谷で 1913年に観測された 57度は、その後 1921年と 1922年にイラクのバスラとリビアのサハラ砂漠で相次いで観測された 58度が飛び出すまで世界記録だったというから恐れいる。危険なイラクの政情や、サハラ砂漠の交通事情の悪さなどを考えると、現時点での猛暑体験最適地はデスバレーをおいて他にあるまい。そんな極限の地をこのたび取材してみた。
(なお、上記の記録は、どれも測定機器の精度があいまいで、なおかつ観測基準も統一されていなかった時代のものであり、あまり厳密に比較しても意味がないと思われる。事実、文献によってはこれらデータは多少異なっている)

 取材日は 7月 26日。目指すは大台突破の "50度体験"。訪問ルートや時間帯など、できる限り一般観光客と同じ体験ができるように、当社の車で行くのではなく、あえて最も一般的と思われる 「デスバレー日帰りツアー」 に参加してみた。

 ラスベガス出発は 7:40am。天気はもちろん快晴。途中一回の休憩を含め、約2時間ほどで国立公園の境界に到着。
 最初に訪れた展望スポットは Zabriskie Point (写真左)。黄金色に輝く砂山で有名なポイントだが、景観の説明はさておき、ここでの気温は摂氏 42度だった。10時前後という時間帯と、標高がやや高いことが災いしてか、目指すところの 50度の猛暑体験にはならなかった。
 ちなみに気温測定は可能な限り公式の測定方法に近い条件でおこなった。つまり、地上から 1.2m〜2.0m の位置 (国立天文台発行の理科年表で定義づけられた百葉箱の条件)、地表からの熱の影響が少ない風通しのよい場所、測定器に直射日光が当たらないこと、測定器を十分な時間その条件に置く、などの条件を満たしての測定だ。

 Zabriskie Point を出て、ゆるやかな下り坂をしばらく走り続けると、"海面と同じ高さ" であることを示す道路標識 (写真右) に遭遇。いよいよその先は海面下だ。
 この 「標高の低さ」 こそが 「猛暑のデスバレー」 を支えている最大の要因であることはいうまでもないが、その低さに加え、この地は周囲を高い山に囲まれており、いわゆる 「盆地効果」 が気温をさらにアップさせている。ちなみに西側にそびえる山は 3300m を超えている。

 その後、地平線の彼方まで一直線に延びる道 (←クリックで写真表示。以下同じ) を走り続けること 20分。ついに 海面下 85.5m と表示 された "Badwater" に到着。 知る人ぞ知る 「西半球最低の地」 だ。さっそく温度計を取り出し測定を開始すると、目盛りは残念ながら 47度 (←これは撮影のためにこの位置に持ってきたもので、撮影直前までは日影の状態に置かれていた)。やはり 11:00am という時間帯では目指す 50度は無理のようだ。

 Badwater をあとにしてから約 20分、珍妙な地形で知られる "Devils Golf Course" (悪魔のゴルフコース。写真左) へ立ち寄ったが、50度には達していないと思われたため、体力温存の意味からも気温測定は断念。ちなみに炎天下での気温測定には、風通しのよい日影を工夫して作ったりしなければならず、時間と体力を要する。

 その後、昼食休憩を兼ねて、デスバレーの基地とも言える Funace Creek に到着。そこには冷房が効いたレストラン、ギフトショップ、ビジターセンターなどの施設があるので、とりあえずひと息つくことが可能だ。まるでオアシスといった感じだが、それにしても外はすさまじく暑い。ちなみにここの標高はほぼ海抜ゼロメートルだ。
 ランチを終えたあとの 1:00pm の時点で、ビジターセンターから発表された気温は 48度。手元の温度計も 48度。やはり時間帯的には理想に近づいたものの、標高が Badwater よりもやや高い分だけ条件が悪く、50度には及ばなかった。
 ちなみに今の時期は夏時間が採用されているため、午後1時は、標準時では正午ということになる。最高気温を迎える時間帯としては早すぎたようだ。Funace Creek はデスバレーの中ではかなり標高が低い方なので、あと2時間ほど待てば 50度の期待もかかったが、残念ながら社有車ではなく団体行動のツアーだったため、後ろ髪を引かれる気持でやむを得ず次の観光スポットへ。

 次に行ったのは、広大なデスバレーを見下ろせる壮絶な絶景スポット "Dantes View" だ (写真右。後方の山は 3000m 級。白く見える部分は塩が浮かび上がったドライレイクで、見えている部分の幅は約 20km)。
 最高気温を迎えるにはちょうどよい時間帯に近づいていたが、車から出るとなんとそこには涼しいそよ風が。温度計を準備するまでもなく測定を断念。じつはこの Dantes View、1600mを超える高地にあるのだ。
 参考までに、気温は理論上、高度が 100m 上昇するごとに 0.6度低下する。そよ風が吹くのも無理はない。
 そんな涼しい展望スポット (といっても 40度前後) から眼下に広がる絶景をながめていると、皮肉にも遙か彼方に、50度に達したと思われる Badwater 地区が視界に入ってくる。もう一度そこへ行けないものかとあれこれ考えていると、ツアーガイドの方から 「はい、それではこれからラスベガスに戻ります」 との無情の声が。

 さように 50度体験は実現しなかったわけだが、翌日、デスバレー国立公園管理当局が運営するサイト ( www.nps.gov/deva ) で 「過去24時間の最高気温」をチェックしてみたところ、49度となっていた。たぶんこの数値は Funace Creek で計測されたものと思われるので、そこよりもやや低い Badwater ではちょうど 50度前後になっていたにちがいない。
 まだ 8月の中旬までは 50度体験のチャンスがある。興味がある者はぜひ行って見るとよいだろう。たかが気温ではあるが、未体験のものを体験するということは、良くも悪しくも思い出になること間違いなしだ。ちなみに今回の Funace Creek での 48度も、湿度が異常に低いので、日本の夏の蒸し暑さのような不快感はなかった。猛暑を恐れることはない。大いに楽しむべきだろう。
 なお、道順など、レンタカーでの行き方は、このラスベガス大全の [観光スポット]セクションを、デスバレーツアーに関しては [ツアー]セクションを参照のこと。

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