週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 5月 5日号
噂の "セグウェイ"、 レンタル業者がついに登場!
 5月2日、「革命的な乗り物」 として注目されている "セグウェイ" のレンタル業者 Fun Transport 社が、ファッションショーモール前の広場に登場した。
(写真は今回インタビューに応じてくれた社長の Larry Lambeth 氏)

 セグウェイは、まだベールに包まれていた 2000年初頭の開発段階から、そのユニークな開発コードネーム "ジンジャー" として、「夢の乗り物」、「都市交通に革命をもたらす」、「ライフスタイルが激変する」 など、夢に満ちた前宣伝や噂が先行し、「空飛ぶ自転車か」、「水陸両用の軽自動車か」 とまで騒がれた話題の乗り物。

 その約二年後、鳴り物入りでデビューしたこの乗り物は、空こそ飛ぶことはなかったが、画期的なメカニズムとその運転方法の奇抜性で (アクセルもなければブレーキもない) 世間の注目を集めた。
 もっとも最近は 「夢の乗り物というほどではない」、「直立型の単なる電気スクーター」 との評価が定着しつつあり、騒ぎも沈静化してきているが、その一方で、自転車でも自動車でもないというその珍妙な乗り物は、交通法規の盲点に一石を投じるなど、法律論争の分野で話題にこと欠かない存在となっている。

 ちなみに日本では、原動機付きの乗り物であるにもかかわらずブレーキや方向指示器がないなどを理由に、道路交通法上ではまだ市民権を得ていないようだ。
 アメリカでも州や都市によって判断はまちまちで、製造メーカーであるセグウェイ社 (本社:米国ニューハンプシャー州) は政治家に対するロビー活動に余念がないようだが、少なくともここラスベガスではストリップ大通りを走行する許可はまだ下りていない。Lambeth 氏によると、セグウェイは車両なのか歩行者なのか、その定義付けすらまだできていないという。
 車道を走る "車両セグウェイ" を一般車両からどうやって守るか。歩道を走る "歩行者セグウェイ" から一般歩行者をどうやって守るか。どちらを走ることになるにせよ、結論を出すのはむずかしそうだ。

 さてそんな事情を背負ったセグウェイだけに、レンタル業者がデビューしたからといって、今すぐに公道を走れるわけではない。走行可能な範囲は、ファッションショーモール前の広場に設けられた専用のエリア内だけで、25m プールの面積よりもさらに狭いスペースだ。
 したがって今回のレンタルサービスも、あくまでもどんな乗り物か体験試乗してみるというだけのものであり、移動手段として使うとか、爽快なドライブを楽しんだりするためのものではない。

 試乗料金は 5分 10ドル、10分 15ドル、20分 20ドルだが、現在は開業直後ということもあり試験的に 1分 1ドル (ただし最低5分) という特別料金が提示されている。

 初心者には (といってもほとんどが初心者のはず)、現場スタッフが付き添って指導してくれるので、特に心配はない。
 操作方法は非常に簡単で、前述の通りブレーキもアクセルもない。ハンドルを前に押したり後ろに引いたりする動作を特に意識することなく、「前に進みたいな」 と思うと前に進み、「止まりたいな」 と思うと停止する。
 実際には、特種なジャイロセンサーが、乗っている者の意思の変化から現れる微妙な体重移動を感知し走行をコントロールしているとのことだが、ピタリと完全に停止させる動作だけは慣れるまで少々コツを必要とするかもしれない。
 加速は、もっと速く走りたいという気持、つまりハンドル全体を前に押し出す気持や体重の前方への移動の調整によって行なう。
 右折左折は自転車やオートバイのハンドル操作とは異なりハンドル全体を動かすのではなく、左手のグリップ部分にある回転スイッチを回す。

 最高速度は始動時に使うキー (左写真) によってあらかじめ設定され、今回の現場では、黒のキーが時速 6マイル、黄色が 8マイル、赤が 12マイルとなっている。ちなみに 1マイルは約 1.6km。
 したがって、「初めて乗る」 といえば、現場スタッフが黒のキーを差し込んでくれる。

 営業時間はまだ試験営業のため最終的に決まっているわけではないが、とりあえず午前 10時から午後 10時までにしたいとしている。
 保有台数は 10台。取材時の様子では供給過剰といった感じで、待ち時間などは無い様子だった。なお試乗には体重制限と年齢制限があり、体重 75 から 250ポンド (1ポンド=0.453kg)、18才未満は保護者の立ち会いと同意が必要で、7才未満は不可となっている。

 「見かけることはあってもなかなか乗る機会がない」 というのが現状のセグウェイ。一台約 4500ドルという値段の高さもあってか売れ行きは芳しくないようで、セグウェイ社はまだ利益を出していないという。製造メーカーとしての今後の存続が保証されているわけではなく、ましてやこのレンタル業者もいつまで存続できるかわからない。日影もない炎天下の現場の状況を考えると、特にこれからの猛暑の季節にどれほどの利用者が期待できるか大いに不安だ。当局から公道走行の許可が下り、事業拡大のチャンスが訪れる前に、このレンタル業者は力尽きてしまう可能性もある。興味がある者は機会があるうちに乗っておいた方がよいだろう。


バックナンバーリストへもどる