週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 4月 7日号
ホースシュー、復活したものの、かつてのカラーは過去のもの
 経営難を理由に今年 1月 9日から閉鎖されていたダウンタウン地区の老舗カジノホテル・ホースシューが、4月 1日 午後4時15分、営業を再開した。
 開業に先立ち行なわれたオープニングセレモニーでは、ラスベガス市長 Oscar Goodman 氏も駆けつけ祝辞を述べるなど (写真右。クリックで拡大表示) 、再開業に対する関係者の期待の大きさがうかがえた。
 ちなみに Goodman 氏は、官民共同プロジェクト Neonopolis (2002年にダウンタウン地区に完成した複合レジャー施設。現在、採算が取れず存続が危ぶまれている) に深く関与するなど、ダウンタウン地区の活性化に力を注いできた人物で、今回のホースシューの経営難を最も危惧していた人物のひとりとされる。

 さて今回の復活劇だが、老舗カジノがひしめくダウンタウン地区の中でも、特に人気が高いカジノだっただけに、単なる再開業 (新たな施設やサービスが追加されたわけではなく、インテリアなどもほとんど以前のまま) であるにもかかわらず、開門時には多数のパトロンが詰めかけた (写真左)。
 開門と同時にカジノ内に流れ込んだそれらパトロンの多くは、クラップス (クリックで写真表示。開門直後にプレス専用台から撮影。以下同じ)、ルーレットブラックジャック などの各テーブルに競い合うように押し寄せ、現場はいかにも開業日らしいにぎわいを見せていたが、その一方で、ブラックジャックのルールなどに対する落胆の声も聞かれた。
(新生ホースシューのブラックジャックのルールは こちらをクリック。ちなみに 6デックでもミッドエントリーに賭け金の制限が加えられている)

 これまでのホースシューは、その創業者 Benny Binion 氏 (右のポスターのモデルになっている人物) の意向もあり、特にブラックジャックのルールなどにおいて客側に寛容なルールが取り入れられてきたことで知られるが、Binion 氏が 1989 年に他界したあと (その後は家族が経営を引き継ぐ)、そういったサービス精神的な部分が次第に薄れ (それが原因で人気が落ち、経営難に陥ったともいえる)、さらに今回の倒産&再建を機会に、Binion 氏時代のカラーは完全になくなってしまったといってよいだろう。
 結局今回の経営再建では、ノースラスベガスなどで中堅カジノを運営してきた MTR Gaming 社が新オーナーに、現場の運営はカジノ大手の Harrah's 社が担当、という変則的なカタチが取り入れられている。

 かつては個人経営であったがゆえに、オーナーのひと声で 10万ドル単位の賭けにも OK が出せ、「超ハイローラーからの高額勝負も受けて立つ」 ことで知られていたホースシュー。そんな Binion 氏の時代は、大勝負にまつわる話題にこと欠かなかった。
 1980年、現金 77 万ドルを引っ下げてクラップスの一発勝負に挑んできたギャンブラーとの大一番などは特に有名だ。ちなみにそのギャンブラーは 「DON'T PASS」 に賭けて勝ち去って行ったという。その男の度胸もさることながら、それを受けて立ったオーナー Binion 氏も立派だ。

 そんな話も今は過去のものとなり、今回の再開業によって、ごく平凡なカジノになってしまったことが確認されたわけだが、それでもカジノ内に漂う雰囲気などは、かつての怪しい鉄火場を彷彿とさせるものがあり、懐古的なものが好きな者にとっては興味が尽きないだろう。マフィア映画に出て来るシーンさながらの不気味なほどに暗い照明や低い天井は、豪華路線をひた走るストリップ地区のカジノとは一線を画しており、今日のラスベガスにおいては異色の存在だ。
 新体制になった今、そんなインテリアもすぐに変わってしまう可能性があるが、興味がある者はぜひ足を運んでみるとよいだろう。ストリップの豪華カジノでは味わえない何かを体験できるに違いない。
 なお、往年のハイローラーの高級ダイニングとして名高い "Binion's Ranch Steakhouse" (夜景が楽しめる数少ないステーキレストラン) は今も同ホテルの最上階で営業を続けているので、ここも興味がある者は訪れてみるとよいだろう。

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