週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 3月 24日号
モノレール、無線制御系ソフトの不具合で開業は夏以降か
 モノレールの開業予定日がまた延期された。5回目の延期というから開いた口がふさがらない。

 一般的に、ホテルにしろレストランにしろ、またナイトショーにおいてもアトラクションにおいても、新規開業の際、一度公表された開業予定日がずれ込むことは、ラスベガスでは日常茶飯事だ。むしろ予定通りにオープンすることの方が珍しい。
 また、開業予定日は守られても、一部未完成のままで見切り発車してしまういわゆる "ソフトオープン" というのもよくある。
 とにかくここラスベガスでは、「希望的観測で開業時期を前宣伝し、世間の注目を先に集めてしまおう」 というのがマーケティングの常套手段のようで、結果的に、「約束した開業日を守ること」 よりも 「まずは先に宣伝」 が優先されてしまっている。
 その是非は意見が分かれるところだが、公共機関までもがそんな価値観を持っているとなると、それは少々問題だろう。

 民間企業の戦略をあえてマネしようとしたとは思えないが、先週、公共機関的な団体 (日本でいうところの第三セクターに近い) Las Vegas Monorail 公社が、5回目の開業延期を公式発表した。慢性的な渋滞に悩むストリップ大通りを南北に走る待望のモノレールだっただけに、関係者はもちろんのこと利用者にとってもショックは大きい。
(右上の写真も左の写真も試運転中のもの。3/23 撮影)

 当初の開業予定は今年の1月。それが何度も小刻みに延期され、そしてつい先日 「3月中にはオープン」 と発表されたばかりで、だれもが 「今度こそは」 と思ったが、その矢先に、「開業時期は不明」 と、このたび無期延期が発表された。
 「安全確認のため、試運転にもうしばらく時間を要する」 といわれてしまえばそれまでだが、公社側に 「ここはラスベガス。予定通り進まなければ、また延期発表すればよい」 という甘い考えはなかったか。旅行代理店などでは、その都度発表される開業予定日を元に印刷物などを制作してしまっているところもあるだけに、たびかさなる延期の発表は無責任といわざるを得ない。

 さて、ラスベガス大全は印刷物ではないので訂正作業という意味では特に影響はないが、今回のモノレールに関しては読者の関心も高いのか、開業が延期になるたびに、「本当の開業日はいつなのか」 といった問い合わせが寄せられている。
 ゴールデンウイークも近いこともあり、早期の 「最終発表」 が待たれるところだが、ここ数日の公社側のコメントは、先週発表された 「開業時期は不明。遅延の原因は試運転が必要のため」 からまったく進展がない。
 そこで今回 Las Vegas Monorail の本社を訪れ、現場で何が起っているのか、遅延の本当の理由は何か、真相をせまってみた。

 今回取材に応じてくれたのは営業から管理、さらには広報も担当している Jerry Harr 氏 (写真右)。
 結論から先に書くならば、彼も営業開始時期はまったくわからないという。
 スケジュールが遅れている最大の理由は、無線関連および自動制御系のソフト的な不具合とのことで、つまり、駅や軌道の工事の遅れなどではないようだ。また、車両そのもののハード的な問題でもないらしい。
 ようするにこのモノレールは、運転手無しの無人自動運転となるため、あらゆることを自動制御および管制室からの無線でコントロールする必要があり、そういった部分に不具合があり、数ヶ月の試運転が必要とのこと。(参考までに、モノレール本体およびシステムのすべては、カナダに本拠を構える輸送機器の大手 Bombardier 社が一手に引き受けている)
 ちなみに本年1月、テスト走行中の車両からドライブシャフトが落下するという重大事故が発生しているが (けが人などは無し)、それに関して Harr 氏は、「すでに解決済み」 とし、また、一部で噂されている 「摂氏 45度を超える猛暑の環境下でのテストを真夏に行なう必要が出てきているのでは」 に関しては、その事実関係を否定した。
 なお、Harr 氏によると、駅の工事に遅延はないとのことだが、コンベンションセンター駅など、一部の駅ではまだ工事が続けられているように見受けられた。

 さてだれもが知りたい開業日だが、「まったくわからない」 と言い続ける Harr 氏に、「4月末までの開業はあり得るか?」 と質問してみたところ、「それは 99% あり得ない」 とのこと。「5月は?」 に対しても、かなり自信を持って 「それもほとんどムリ」 とのことなので、ゴールデンウイークの開業は事実上ないと考えた方がよいだろう。
 「日本の読者に開業時期をどのように伝えるべきか?」 と尋ねると、「本当にまったくわからないが、あえて時期的なことにふれる必要があるならば、"夏のいつか" という表現が一番可能性としては高い」 と、ホンネを明かしてくれた。
 最後に、同席していた女性スタッフから、「日本人観光客のためにJCBカードでも乗車券が買えるようにする予定なので、それを書いておいてね」 と笑顔で言われた。わずか数ドルの乗車券を (3日券などは高いが) クレジットカードで買う者がどれほどいるのか気になるところだが、使えないよりは良いといったところか。参考までに開業後の運賃などは以下の通り (あくまでも予定)。

 ■ 乗車運賃: 1回券 $3.00、2回券 $5.75、10回券 $25.00、1日券 $15.00、3日券 $40.00。
 ■ 運行時間: 6:00am 〜 2:00am
 ■ 運行区間: MGMグランドホテルからサハラホテルまでの約6km

 なお、開業直後の3ヶ月は開業キャンペーンとして上記料金が以下のように割引される予定。

 ■ 乗車運賃: 1回券 $3.00、2回券 $5.50、10回券 $20.00、1日券 $10.00、3日券 $25.00。


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