週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2004年 1月 28日号
卒業旅行シーズン到来、格安ステーキディナー味くらべ
 90年代半ばまで、ラスベガスでの食事は安かった。ギャンブラーたちがたくさんお金を落としてくれたためだ。ところが、巨大テーマホテルが次々と誕生し、家族連れなど "非ギャンブラー" が増えるにつれ、激安ディナーはすっかり影をひそめ、今ではほとんど見かけることがなくなった。カジノ収益に頼らなくても単独で利益を出せるよう、各ホテルが飲食部門の経営方針を変えたためだ。

 それでも、豪華なインテリアや遊園地さながらのアトラクションで客の注目を集めることができない地味なホテルにとって、低価格メニューは依然、強力なマーケティングツールのようで、安さそのものを武器にギャンブラーの獲得を行っているホテルも少なくない。
 そこで今回、卒業旅行シーズンということもあり、「予算はないが食欲はある」 という若者向きの企画として、安さ自慢の客寄せ料理を食べ比べてみたので、その結果をお届けしてみたい。

 店名San Remo 内の " Ristorante Dei Fiori "
 メニュー/料金Prime Rib Dinner / $5.95
 時間24時間
 内容プライムリブ、フレンチフライ、マッシュドポテトまたはベークドポテト、ゆでたミックスベジタブル(いんげん、とうもろこし、にんじん)、パン3個、サラダ

 経営母体が日系ということで、日本人にはなじみの深いカジノホテルながら、巨大ホテルに囲まれて存在感の薄さは否めないサンレモ。そんなサンレモが誇る格安プライムリブがこれだ。ちなみに今は $5.95 だが、昨年までは $4.95 だったというから恐れ入る。
 ボリューム的には、パン3個にサラダも付いて大満足。サラダもミニサイズではなく、いわゆるディナーサラダで量は十分だ。肉のほうも、厚さ 1.5センチと申し分ない。
 味もこの値段にしては予想以上で、スジっぽい部分は多少あったものの、柔らかさは抜群。肉そのものの味も、今回試したなかでは間違いなく最高レベルだった。また、付け合せのフレンチフライもカリッとしており、激安料理とは言え、手を抜いていないことが伺えた。

 他の多くのホテルと異なり、24時間いつでも食べられるという点もありがたい。ただし、気をつけなければならない点がひとつ。このアイテムは当ホテルの玄関前のマーキーで宣伝 (←クリック) されているのみで、現場のメニューには掲載されていない (メニューでは "プライムリブ $12.95" となっている)。
 つまり、「$5.95 のプライムリブ」 (Five ninty-five Prime Rib, Please) とオーダーしないと、同じ料理に $12.95 を請求されてしまうことになるので注意が必要だ。



 店名Barbary Coast 内の " Victorian Room "
 メニュー/料金Midnight Teasers / $5.95
 時間11:00pm〜7:00am
 内容ステーキ、玉子2個、ポテト、トースト

 ストリップ地区のど真ん中に位置するバーバリーコースト。そんな立地条件抜群のこのホテルが深夜にオファーしているメニューがこの "Midnight Teasers"。
 炭火で焼かれたような香りが漂うステーキは (たぶんガスで焼いていると思われるが)、やや固いものの、味的にはかなり満足できるレベル。焼き方もアメリカにしては珍しく、レアで頼んだらレアで出て来た。ポテト (フレンチフライかベイクドポテトかマッシュポテト)、パン (各種)、そして玉子の焼き方なども好みのものを選ぶことができる。
 このホテルが "ステンドグラスの殿堂" であることを知る者は少ないが、ダイニングルームにも自慢のステンドグラスがふんだんに使われており、雰囲気もなかなか良い。
 深夜のみのサービスだが、立地条件が抜群なので、カジノに疲れた際の夜食などにちょうどよいだろう。(広告看板には 「深夜 12時から」 と掲載されているが、実際には 11時からOK)



 店名Las Vegas Hilton 内の " Paradise Cafe "
 メニュー/料金Steak & Pasta Dinner / $4.95
 時間5:00pm〜11:00pm
 内容Tボーンステーキ、ペンネのトマトソースかけ、蒸し野菜(いんげん、ブロッコリー、カリフラワー、にんじん)、パン2個、ミニサラダ

 コンベンション客には高い人気を誇るものの、ストリップから離れているために、観光客にはなじみの薄いラスベガス・ヒルトン。そんなヒルトンが、ギャンブラー獲得のために高級ホテルのプライドをかなぐり捨て提供しているのがこの Steak & Pasta。
 価格はなんと $4.95。5ドル以下でステーキが食べられるというインパクトは、肉の安いここアメリカでも相当なものがあり、さらにパスタ付き、となれば期待は大きい。
 が、実際に運ばれてきた料理は、いい意味でも悪い意味でも予想に反したものだった。
 まず、パスタだが、Steak & Pasta と強調している割には量が少ない。一方、パスタの付け合せ程度の小さなものかと予想していた肉のほうが、なんと Tボーンではないか。これなら、T-Bone Steak Dinner with Pasta としたほうが客寄せ効果も増大するのではないか。
 味のほうは、肉はややパサついているものの、粒こしょうが効いていてまずまず。肉質的にはやや固めだが、5ドル以下という値段を考えれば上出来だろう。
 一方、パスタは 「アルデンテ」 という概念を完全に無視したゆで加減で、ソースの味もパッとせず、これならフレンチフライのほうがましといった感じだ。それでもサラダ、パンも付いており、5ドル以下でステーキが食べられることを考えると、特筆に値する格安料理といってよいだろう。



 店名Bourbon Street Hotel 内の " French Market Cafe "
 メニュー/料金Steak & Lobster / $7.77
 時間24時間
 内容ステーキ、ロブスターテール 2個、ポテト

 フラミンゴホテルの東側に位置するこの場末風の弱小カジノホテルは日本人観光客になじみが薄いが、ロブスター2匹にステーキが付いて $7.77 は、行ってみる価値があるだろう。この縁起を担いだような価格設定も好感が持てる。
 予想通りダイニングルームは場末風でナイフ、フォークや食器類もかなり古ぼけているが、味は予想に反してまずまずといったところか。ポテトも選べ、焼き方もリクエスト通りに出てくる。24時間いつでもOKなのもうれしい。



 店名Stardust Hotel 内の " Island Paradise Cafe "
 メニュー/料金Steak & Lobster / $10.99
 時間11:00am〜1:00am
 内容ステーキ、ロブスター、ベークドポテト、いんげんのソテー、ディナーロール3個、サラダまたはスープ付

 紫とピンクの派手な外観で人目は引くものの、巨大テーマホテルの陰に隠れ、今となっては存在感のないスターダストが提供する客寄せメニュー。カジノフロアにあるカジュアルレストラン Island Paradise Cafe で食べることができる。
 料理のほうは、ボリューム的には及第点。サラダはレタスにきゅうりとプチトマトを乗せただけのミニサラダだが、パンは3個と十分だ (写真左下)。ステーキは厚さ約 1センチと、ステーキと呼ぶにはダイナミックさに欠けるが、まあ、ロブスターも付いているので、かなりの大食漢でもない限り、腹いっぱいは間違いないだろう。
 ボリューム的には合格でも味はイマイチで、「ミディアムレア」 をオーダーしたにも関わらず、出てきたものは中までしっかり火が通ったウェルダン。ロブスターも妙にボソボソしており、プリプリしたあの食感にはほど遠い。
 値段についても、ステーキとロブスターの両方が曲りなりにも味わえて $10.99 というのは確かに安いが、他ホテルに比べれるとインパクトは弱い。どうしてもステーキとロブスターの両方が食べたい、という者以外は避けた方がよいだろう。



 店名New Frontier 内の " Orchard Cafe "
 メニュー/料金Steak and Shrimp Dinner / $8.99
 時間4:00pm〜2:00am
 内容ステーキ、エビフライ4尾、コーンのバターソテー、パン1個、ベークドポテトまたはライス

 こちらもホテルとしては地味なことこの上ないニューフロンティアの客寄せメニュー。
 さっそく料理についてだが、サラダは $1.95 で追加できるものの、ボリューム的にはやや不満が残る。一般的な日本人なら腹いっぱいの量であることは確かだが、他ホテルに比べると貧弱。また、緑の野菜が付いていないので、栄養的なバランスも問題ありそうだ。
 味的にも合格とは言いがたい。ステーキは焼きすぎで、エビフライも揚げ時間が長すぎるのか、油が古いのか、パサパサしていてまるでダメ。レアをオーダーしたら、カチカチに火が通ったウェルダンが出てきのでウェイターに文句を言って作り直してもらったが、再度出てきたものはやはりレアと呼ぶにはほど遠いものだった。ただひとつ評価できる点があるとすれば、焼きすぎにも関わらず、スターダストのものよりは肉が柔らかかったということだろうか。
 ステーキだけでは物足りないだろうとエビフライを付けてみたところまではよかったが、いかんせん味がこれでは苦しい。客寄せメニューだからと手抜きせず、焼き加減ぐらいはちゃんとしてほしいところだ。



 店名New Frontier 内の " Orchard Cafe "
 メニュー/料金Slow Roasted Prime Rib Dinner / $8.99
 時間4:00pm〜2:00am
 内容プライムリブ、フレンチフライまたはベークドポテト、コーンのバターソテー、パン1個

 同じくニューフロンティアのもうひとつの客寄せ料理 Slow Roasted Prime Rib Dinner。
 前出の Steak and Shrimp Dinner との違いは、ステーキとエビフライがプライムリブになった、というところだけだが、肉がとにかく大きいのでボリューム的には合格。
 味もなかなかよい。柔らかいくジューシーで、肉そのもののうまみも、かすかではあるが伝わってくる。高級店のプライムリブには遠く及ばないものの、10ドル以下でこれが味わえれば、文句は言えない。
 マイナス点を挙げるとすれば、付け合せが貧弱なところか。アメリカではただ同然のとうもろこしとじゃがいもでコストを下げようとしているのはわかるが、サラダのようなフレッシュな野菜も一品足してもらいたいところ。フレンチフライも揚げてから時間が経過しているのか、サクサク感がなかった。


-------[ 補足説明 ]---------------------------------------------------------

 * 掲載したのはごく一部のホテルのものであり、すべてではない。
 * 観光客がアクセスしづらい地元民向けのカジノは調査の対象から除外した。
 * ホットドッグやハンバーガーの方が安いが、今回はステーキに焦点を絞ってみた。
 * 一般的に、看板や広告などに掲載されている格安アイテムは、店内に置かれたメニューに
  書かれていないことが多く、その場合は、ウェイトレスやウェイターに 「広告に出ていた $7.77
  のステーキ」 などといってオーダーするとわかってもらえる。

 * 格安アイテムは、「深夜限定」 など、時間指定されていることがある。
  (上に示された時間は、店の営業時間ではなく、オーダー可能な時間)

 * 肉の焼き方はもちろんのこと、多くの場合、ポテトもフレンチフライ、ベイクドポテト、
  マッシュポテトの中から選べる。パンも選べる場合もある。
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