週刊ラスベガスニュース バックナンバー   2003年 04月 30日号
アラジン消滅、新テーマはプラネットかアジアか?!
 アラジンホテルが年内にも姿を消すことになりそうだ。といっても名前やテーマが消えるだけで、ホテルそのものが爆破解体されるわけではない。今週は、消えゆくアラジンの今後の行方をさぐってみた。

 2000年8月にオープンした新生アラジンホテルは (初代アラジンホテルは 1966年オープン)、わずか1年後の 2001年9月に倒産し、現在は会社更生法の管理下で経営が続けられている。そして今、倒産時の取引業者や銀行などで構成される債権者グループが、今後の経営を引き継ぐ受皿企業を探しており、そのための入札が大詰めを迎えている。

 現在アラジンの買い取りに興味を示しているのは 2つの企業グループで、有力視されているのがテーマレストランなどでおなじみの Planet Hollywood 社とシェラトンやウェスティンホテルなどを運営する Starwood 社のグループ、もう一つがカリフォルニアに拠点を置く Financial Capital Investment 社などを中心とした投資グループだ。

 どちらの企業グループが落札するにせよ、両陣営とも 「今のままのテーマでの経営はむずかしい」 としているため、アラジンの名称が消え去ることは確実視されている。ラスベガス・ストリップに 37年も歴史を刻んできたブランドだけに、その消滅を惜しむ声は少なくないが、テロ事件やイラク問題などでイメージを落としたアラブ地域をテーマとし続けることのメリットを見い出せない以上、名称変更もやむを得ないといったところか。
 参考までに右下の写真はつい最近まで見られた同ホテル内の警備員のユニフォーム姿だ。イラク戦争勃発後の最近はさすがにあまり見かけなくなったが、いくら遊び心といえども利用客にサダムフセインをイメージさせるような戦略は、営業上マイナスになることはあってもプラスになることはないだろう。

 ちなみに Planet 陣営が買い取ることになった場合のテーマはもちろん "映画" で、カジノ内には映画にまつわるさまざまな物品が展示され、また、同社のシンボルである巨大な地球儀が正面玄関前などに飾られることになるという。ホテル名は Planet Hollywood Hotel & Casino になる予定で、とりあえずシェラトンやウェスティンの名前は前面には出てこない模様だ。

 一方、Financial 陣営が買い取った場合だが、こちらはかなり過激な変化を計画している。
 まず巨大劇場 "Aladdin Theatre for the Performing Arts" を取り壊すという。7,000席を誇るラスベガス最大の劇場だが、この存在が諸悪の根元とのことで、これを立派なエントランスに改造するとしている。もともとこの劇場は初代アラジンの時代から引き継いだ施設で、「新生アラジンホテルを建設する際に思い切って解体できなかったことが、今日のアラジンホテルの構造上の欠陥を招き、経営をおかしくしている」、とする声は以前からあり、そういう意味ではこの劇場の解体は、過去を完全に切り捨て新たに生まれ変わるためには必要な英断なのかもしれない。
 そして Financial 陣営の最大の注目点はテーマの変更だ。Planet 陣営が映画をテーマにしてもだれも驚かないが、こちらはなんとそれを "アジア" にするという。ホテル名も ASIA Hotel & Casino を候補に上げており、そのテーマへの思い入れは半端ではなさそうだ。そのアジアが具体的に何になるのかはまだ明らかにされていないが、日本もテーマにからんでくるのであれば、日本人にとっても興味が尽きないところだろう。

 さて落札の予想だが、関係者の間では Planet が落札すると見る者が多いようだ。ただ、たまたま4月28日にウォールストリートで発表された Starwood 社の四半期決算が予想よりかなり悪かったため、Financial 説もにわかに浮上し、かなり混沌としてきている。また、まったく別の企業が名乗りを上げる可能性も完全に否定されたわけではなく、今後予断を許さない状況だ。
 とりあえず現時点での情報をまとめると、Planet 陣営の落札が 60%、Financial 陣営が 30%、その他が 10% といったところか。
 今日の不況、特にホテル業を含む旅行業界全体を苦しめているのが、アラブ諸国に端を発するテロや戦争と、アジア諸国に端を発する新型肺炎SARS であることを考えると、アラブからアジアへのテーマ変更をもくろむ Financial 陣営にとってはなんとも皮肉な情勢で、ここはツキの流れを変えるためにも Planet に落札してもらいたい気がしないでもないが、アジアテーマのホテルも興味が尽きない。最終的な落札先の決定は 6月下旬ごろになるという。


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